苦手なあの人をどうにかしたい!

●苦手な人が職場にいる●

苦手な人がいて、でもどうしてもその人と関わらなくては仕事が進まなくて困っていますというご相談を伺うことがあります。

わかります。
例えば私にはこんな経験があります。

普段はその人と特別に関わらなくても済むのだけれど、あるプロジェクトでどうしてもその人に確認しなくてはならないことがあって、質問したいのだけれどできない。
とても仕事ができて、クールで淡々としていて、喜怒哀楽がよくわからない他部署の女性上司。

質問したら「そんなこともわからないの?」とか「自分でちゃんと調べてから聞きに来たの?」とか叱られそうな気がする。
調べてもわからなくて、その人に確認しないと仕事が進まないのだけど、いつ聞こう?とか、どうやって話そう?とか考えてしまって、抵抗があって近寄れない。

今までその人に叱られたことなんかないし、そんなに関わったこともないのに、なんでこんなに苦手なんだろう?

そんなご経験はないでしょうか?

この上司みたいなタイプに関わらず、【ちょっと苦手】から【嫌い】まで、私たちの心の中には、残念ながら人に対してネガティブな思いを持ってしまうことはありますよね。
このネガティブな思いを感じると、心がザワザワして楽しくありません。

でも、この「ザワザワ」をうまく自分に落とし込むと、苦手な人が苦手でなくなったり、より素敵で魅力的な自分になれる可能性があるのです。

この苦手な人のことを、心理学では「シャドー」といいます。

●シャドーの4つのパターン●

心理学ではシャドーには4つのパターンがあると言われています。

1.「自分とよく似た人」
これは自分のことを嫌いだと思っていると、自分と似ている人に対して嫌な気持ちになるパターンです。
例えば、自分のことをのろくてだめだと思っていると、同じようにゆっくり何かをやっている人を見てイライラしたりすることがあるかもしれません。

2.「自分の知っている苦手な誰かに似ている人」
これは多くのの場合、家族だったりします。
私の場合ですが、子供のころから父親を怖いと思っていました。
いつどこでカッとされるかわからなくて、突然げんこつが飛んでくることも多かったので、いつも顔色を見てびくびくしていたのです。
そうなると、他の人は違うと頭ではわかっていても、年配の男性が苦手と長い間思っていました。

3.「自分と正反対の人」
自分は優秀じゃないと思っている人にとっては、すごく立派で優秀に見える人が苦手と思うこともありますし、また逆に、立派な人になろうと思って精いっぱいがんばっている人にとっては、平気でさぼっている人を見ると腹が立つということもあると思います。

4.「自分にとって全く未知な人」
人間というのは、全く未知なものは信頼できないし怖いと感じる性質があります。
次に何を言うか、何をするか想像もつかない相手というのは、嫌いとまではいかないまでも、近くにいると不安になっていやだと思うこともあるかもしれません。

そしてこの4つのパターンに共通して言えることは、「本当は相手が悪いんじゃない。その人といる時に自分が感じる感情がいやなんだ」ということです。
同じその人のことを大好きな人もいたりするわけですから。

●シャドーが教えてくれること●

こうやって自分の感じる感情を見ていくと、シャドーが教えてくれることがたくさんあるようです。

「自分とよく似た人が苦手な場合」は、私は自分のこういうところを嫌ってるんだなあと気づかされるかもしれません。
でも、自分が嫌っているところは、人から見たらすごく魅力的だったり、個性だったり、才能が眠っていたりすることがあります。
それを人から認めてもらったり、褒めてもらったりすることで、嫌な気持ちを解消していける可能性があります。

「自分の知っている苦手な誰かに似ている場合」は、私は昔、傷ついたんだなあと教えてくれます。
カウンセラーやセラピーの力を借りて癒していくこともできるし、家族や仲間とのつながりで癒されていくこともできます。

「自分と正反対の人が苦手な場合」は、私は何か自分に禁止していることがあるんだな、でもそうせざるを得なかった理由があるよなと思うことができます。
それはきっと何かのため、誰かのためにがんばっている自分です。
そのがんばりを少し緩めるか、がっつりお休みしてしまって自分をいたわってあげる時期に来ているのかもしれません。

「自分にとって未知な人が苦手な場合」は、私は何かを怖がっているのかもしれないと考えることができます。
何が怖いんだろう?どうしたら怖くなくなるかな?と考えることもできるし、人に「これが心配」と相談してみると良いと思いますし、または、バンジーを飛ぶときのように「怖い怖い!」と言いながらトライしたらできてしまった、ということもあるかもしれません。

こうやってみると、「あの人は苦手」と思っている自分がなんだか愛おしくなってきませんか?
「苦手な人を大きな心で許そう」と思うことも、とても素晴らしいことですが、苦手と思っている自分も許せれば良いなあと思います。

そして、そこから気づくことができるメッセージを、ご自分がより魅力的で楽しくなるために使っていただければと思います。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

離婚やハードワークによる鬱、親の介護など、さまざまな経験をしてから心理学を学び、【心が変われば、いつからでも人生は変えられる】ことを体験した。企業の人事や人材サービス会社など、人に関わる仕事歴30年。その人らしさを大切にし、新しい希望を見出すためのサポートをモットーにしている。