リーダーシップに女性性を取り入れて、チームを生かす

これまでのリーダーシップは、戦略を練り、決断し、方向性を指し示し、引っ張り、指示を出し、責任を取り……と男性性の要素の多いものでした。
指揮を執るリーダーがいて、メンバーはリーダーに従ってついていくというスタイルです。
けれど、ボス的存在がすべてを把握し「オレについてくればいい」というやり方では生み出せる成果はさほど大きくはなりません。
リーダーがいくら優秀だとしても自分ひとりの知恵や経験って、限られているものだからです。

チームみんなで成果を出していく。
チームひとりひとりが自分の得意を活かしながら、知恵を出し、トライしながら、チームみんなで成果を生み出していく。
そのほうが、実りが大きくなりますよね。

ではどうすれば、チームのひとりひとりが力を発揮しながら、みんなで成果をあげられるチームづくりができるのか。
そのキーワードは女性性にあるようなのです。

サンリオピューロランドというテーマパークがあります。
キティちゃんやマイメロディなどサンリオのキャラクターと触れ合い、サンリオの世界観を味わえるテーマパークなのですが、このサンリオピューロランド社長の小巻亜矢さんがチームみんなの力を引き出す達人なんです。
NHKのプロフェッショナルという番組で、小巻亜矢さんの仕事現場を映像で見る機会がありました。
そこには、社員だけでなくその仕事にかかわる人たちひとりひとりの想いを引き出すマネジメントスタイルがありました。

例えば、ある男性社員はサンリオのキャラクター愛があふれる人です。
けれど以前は、その突出したキャラクター愛をぜんぜん生かせず、職場の中でちょっと変わった人というポジションにいたのだそうです。
それを、これほどのキャラクター愛を持っているなら、サンリオキャラクターの一番いいところを引き出してくれるはずと宣伝素材のカメラマンを任せたところ、男性社員はあふれんばかりのキャラクター愛を生かして、各キャラクターのいいところを引き出す名カメラマンになったそうなんです。

また、イベントのプロモーションサイトの制作ミーティングでは、制作会社が出してきたプランに対して、「実は、このサンリオキャラクターにはこんな裏情報もあるんですよ」という情報をあえて提供して、「うわ、面白いですね」と興味を惹きだしたあとに「どうでしょう。もっと面白いものできるんじゃないかしら」と、制作会社スタッフの意欲を引き出す光景も描かれていました。

社員やアルバイトはもちろん、外部スタッフも含めて、サンリオピューロランドで仕事をするすべての人の中の「このテーマパークが好き」「キャラクターが好き」「お客様にもっと楽しんでほしい」「もっと面白いものを作りたい」といった想いをどんどん引き出していく。

想いこそ、創造の元だから。
この場が好き。好きなものをもっとよくするために、自分にできることはどんどんやりたい。

場やプロジェクトにかかわるひとりひとりが、そんな想いで取り組めたら。
場やプロジェクトはどんどんよくなります。
たくさんの想いはお客様にも伝わり「あそこに行ってよかった」「あの製品、すごくよかった」と感じてもらえたりするのです。

かかわる人、ひとりひとりの想いを生かすマネジメント。
それは、ひとりひとりの想いを理解しようとすること、よさや持ち味を見つけて応援すること、いきいきと力を発揮する姿(ビジョン)を見続けること、可能性を信じること、応援すること。
あなたにお願いしたい、あなたならできると思うからあなたに任せたいと信頼して任せること。
チャレンジしている姿を見守ること。
それぞれが、それぞれの持ち場で頑張ってくれていることに、感謝を伝えること。
このような女性性の力が大切になってくるんですね。

もちろん、リーダーシップには男性性も欠かせません。
戦略を立てる、決断する、実行する、方向を指し示すなどの男性性に加えて、お願い、頼る、任せる、理解、共感、直感、感謝、受け入れる、育む、受け取るなどの女性性も発揮していくことが求められるようになっています。

ひとりの人の中に男性性と女性性の両方を持っているものです。
男性にも女性性があるし、女性にも男性性があります。
これまで自分が頑張るやり方をしてきたなら、男性性はすでにたくさんお持ちではないでしょうか。
それに女性性の要素を加えていくことで、チームの力を大きくして、より大きな成果を生み出していけるのではないかと思います。

参考になれば幸いです。

この記事を書いたカウンセラー