恋の達人

彼があなたにしているのと同じようなことを、あなたはだれに対してしていますか?

こんばんは。

神戸メンタルサービスの平です。

「大好きな彼が会いたがってくれなくて、デートもなかなかできないのです」

「好きな人との距離をなかなか縮めることができません」

このようなご相談を受けると、私たちカウンセラーはよくこんなことを質問します。

「彼があなたにしているのと同じようなことを、あなたはだれに対してしていますか?」

こう言うと、「どういうことですか?」と聞き返されることも少なくありません。

「つまり、彼があなたに冷たいように、あなたもだれかに冷たくしているのではないでしょうか、という質問なんです」

そう答えると、多くの人はきゅうにモジモジしはじめ、「いやー、べつにー、そんな人はいませんけど‥‥」とおっしゃったりします。

そして、こうしたみなさんに多いのが、もう長年、実家に帰っていないとか、父親や母親からの連絡にめんどくさそうに対応しているということです。

「そんなことがどう男女関係に影響するの?」と思う人は多いかもしれませんね。

私たちは心のどこかで、「愛されるべきは自分であり、愛する側には行かない」と思っています。

しかし、「愛されるべきは自分」と依存の立場にいるかぎり、あなたは自分では気づいていないのですが、じつは愛されにくい悪い態度をとっています。

反対に、ご両親と自立した大人どうしという関係にあるのであれば、男女関係でも成熟した関係をつくることができるのです。

距離をとっていたご両親と近づこうと思うならば、心の中にはたちまち罪悪感や気恥ずかしさといった感情が湧いてくるでしょう。

そして、ほんとうは自分がちょっと優しくしたり、実家に帰ったりしてあげるだけで、両親を簡単によろこばせることができるにもかかわらず、それを先送りにしている自分に出会います。

そうしているあなたは、「自分という存在が、だれかのよろこびになれる」という思いを否定しているといえます。

自分がだれかのよろこびになることよりも、だれかに自分をよろこばせてもらいたいとばかり思っていると、ついつい、愛してもらうことばかりを要求してしまいます。

そして、相手をよろこばせてあげることを忘れてしまうわけです。

母親あたりから「なんで帰ってこないのよ、たまには帰ってきなさいよ」などと言われると、罪悪感を刺激され、「うるせーよ。仕事が忙しいんだよ」などと言ってしまいがちですよね。

同じように、あなたが彼に「最近、ぜんぜんデートしてない。なぜ、会ってくれないの?」と言うことが、彼の罪悪感を刺激して、二人の関係を遠ざけていくわけです。

母親と同じいやなことをあなたはしているわけですが、依存の立場にいるかぎり、あなたはそれに気づくことができません。

あなたはご両親に対し、「もっとこんなふうに言ってくれれば、実家に帰ってやってもいいんだけど‥‥」と思うかもしれませんが、あなたもまた彼がそう思うようなことを言ってあげることができないわけです。

大人どうしの関係とは、子どものように一方的に親から愛されるということではなく、愛し、愛される相互関係を言います。それは、私たちが親を人間扱いしてあげるということでもあります。

どんな人も不完全で、完ぺきな人間など存在しません。だから、ご両親だって、あなたの愛や思いやりを必要としているのです。

ご両親に限らず、たとえば、食事や買い物に行った先で出会う店員さんなどに思いやりや愛情をかけることができて、そんな人まであなたの言動によって笑顔にすることができたなら、あなたはすでに“恋愛の達人”といってもいいでしょう。

あなたという存在が、だれかのよろこびになったり、だれかの笑顔をつくったりする。

それが男女関係だけでなく、ありとあらゆる対人関係で使えてこそ、あなたは恋の成功者になれるようなのです。

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。