自分には関係ないと考えがちな人の心理 〜影響力を受け容れ、よりよく意識しよう〜

影響力を受け容れ、よりよく意識すると気分も良くなります

「自分には関係ない」「自分が〇〇をしても大した影響はないだろう」と思ったことってないでしょうか。
いいか悪いかは別にして、このような「自分には関係ない」といいはじめたことが原因で問題が起きる場合も少なくないようです。
そこで今回は、「自分には関係ない」と考えがちな人の心理を解説しながら、私達自身が持つ影響力についてお伝えしていきます。

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○影響力を自覚するかどうかで自分の気分が決まる

例えば、あるオフィスでのできごと。

緊急事態宣言が出たことから、オフィス内で「明日から自宅勤務に切り替える」との通達がまわりました。オフィス内は明日からの仕事の段取りで、騒然とし始めます。

そこに、取引先を訪問していたAさんが帰ってきました。

もちろんAさんはこの時点で、明日から自宅勤務に切り替わるとは知りません。そのAさんは仕事熱心で、いつも通りオフィスに戻って早々に別の取引先に「明日、お伺いします」とアポイントをとっていました。

その話を聞いていた向かいのデスクのBさんは、「明日から自宅勤務に切り替わるのに、約束なんか取り付けていいのか?」と思っていたのですが、「別に自分が言わなくてもいいか、誰か言うだろう。自分も忙しいし。」とAさんに何も伝えませんでした。

その後、Aさんがアポイントをとりおえたあとで、C部長が「Aさん、明日から自宅勤務だから」と伝えました。

AさんはBさんの方を見て、まるで「え?そうなの?」といった顔をしながら、慌てて取引先に事情を説明し始めます。その姿を見てBさんは「自分は関係ないよ、C部長がもっと早く言うべきだし、Aさんもオフィスの様子をみて気づくべきだよ」と感じていたのでした。

これは一つの事例ですが、このようなことは日常で起こり得ることですね。

ここでお伝えしたいのは、物事の善悪ではなく「Bさんの気分と影響力」についてです。

Bさんが、Aさんが明日のアポイントメントを取り始めたことを知ったとき、Aさんに自宅勤務になる旨を「まぁいいか」と伝えなかったことによって、Bさんはの気分が悪くなったわけです。

ここで感じる感情は「自分は(分かっていて)何もしていない」という罪悪感です。

人は罪悪感を感じると、自分が悪いと感じるだけでなく、他人は自分を傷つけるだろう、と感じるようになります。

Bさんは「自分には関係ない」と思うことで嫌な気分を感じないようにするだけでなく、面倒なことは避けたい、傷つきたくないと感じはじめたわけですね。

ただ、そもそもBさんには「Aさんが自宅勤務になった事実を知らなかったこと」に対して責任はありませんよね。かつ、Aさんの存在がBさんの気分を悪くする要因になったわけでもありませんし、Aさんが事情を知らずアポイントをとったことに関してはAさんの行動の結果ですよね。

しかし、Bさんが今の状況を見て、自分にできることを行わなかったので、Bさん自身の気分が悪くなり、結果、「自分には関係ない」と思い、いいわけ、他者を批判する気持ちが生じた、というわけです。

この事例からお伝えしたいことは、「自分には関係ないと考えがちな人」は「罪悪感」を感じているということ、かつ、そもそも自分が悪いわけではなかったのにも関わらず、自分の気分が悪くなり、人から責められると感じてしまう、ということです。

 

○自分の影響力を自覚する

私たちは「他者の心の状態などを推測する心の機能」を有しています。

今回の事例では、BさんがAさんの様子を見て、察することはできた(Aさんが自宅勤務になることを知らないことを理解できた)から罪悪感が生じた、ということなのですね。

自分の「他者のことを察する能力」を、自分がどう使い、どのような行動・選択につなげるのかがポイントで、その選択次第で、私達の毎日の気分は随分と変わってくるというわけです。

また、どんな人にも「影響力」があります。有名人でなくとも、少なくとも自分の身近な周りの人に対しては何かしらの影響力を持つものです。

自分が使う言葉、感情、態度、姿勢、視点によって、人は何かしらの影響を受けていますし、逆に自分自身も他人の影響を受けているものです。

だから、「自分に影響力がある」ということから逃げようとすると、更に気分が悪くことが多いです。

「自分には関係ない」といった否認的態度は、「自分にはそんな大きな影響力はありません」と自分で認めることにつながり、自ら自分の価値を否定することにつながるからですね。

自分には影響力があると自覚して、自らの創造性を発揮し「では相手にどんな自分を見せようかな」考え、より自分にも相手にも愛ある行動を取ることができると、自分の気分は良くなっていきます。

つまり、影響力を自覚しているかどうか次第で、自分の気分が変わってくるということなのですね。

なんだか大層なことを書いているように見えるかもしれませんが、実際の行動はとてもシンプルなことばかりなのです。

自分のできることを人に与える、困っている人をサポートする、人に感謝する、相手のことを無視せず挨拶する、笑顔でいる、気分良くいる、そんな「今できること」でいいのです。

そういった行動の積み重ねによって、自らが自分のいい意味での影響力を知ることにもなり、実際に人と関わり合いながら生きている感覚につながっていきます。

いい意味で「自分は人と関係あるよな」と感じられるようになるのです。

ただし、自分自身に「こうあるべき」という強い観念・ルールがあったり、「人は自分のことをこう見ているのではないか」と不安や恐れを強め、ついつい自分を見てしまったり、自分の価値を認めていないなどの状態にあると、なかなか「自分がより良い影響を与えられる」と自覚できないこともあります。

そのようなときは、自分自身を見つめて受け容れることや、自分と関わる人の「良い側面の反応」をあえて探してみたり、自分の長所を認めるなどのプロセスを通じて、自分に(よい)影響力があることを自覚していくことも大切です。

自分の価値を認めれば認めるだけ、「相手の喜びになれる影響力」を感じられるのです。

すると、たとえ他人に自分の好意を拒絶されても「相手にも相手の事情があるのだろう」と察することができるようにもなりますよ。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

浅野 寿和

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。