一番、愛されるポイント

いちばん隠したいと思っていることを人にコミュニケーションすると?

こんにちは 平です。

彼は対人関係がとても苦手でした。

相手が男性であれ、女性であれ、人といると非常に気を使ってしまうタイプだからです。

だから、趣味は登山と釣り。人と接することなく、ただ黙々と山や海と向き合っていることが、彼にはラクで心地いいのです。

元はサラリーマンだったのですが、対人関係に疲れて転職。現在は造園業の職人さんとして、人との関わりは最小限で働ける環境にいます。

そんな彼ですから、男女関係はものすごく苦手。

とくにタイプの女性が近づいてくると、「緊張する」、「あがる」、「自分でいられなくなる」だそうで、すぐに自分のほうから離れてしまいます。

が、それもままなりません。というのも、彼は身長178cm、学生時代はラガーマンだったというイケメンで、モテるタイプだったからです。

もちろん、本人も結婚したくないわけではありません。家族にも心配されているので、なんとかしたいとは思っています。

が、しかし、「毎日、好きな女性と一緒に同じベッドで寝るなんて、緊張して朝まで眠れないに違いない」などと考えてしまったりするのです。

その彼がカウンセリングを受けにきてくれたわけです。

彼は大好きな人の前では何重にもバリケードを築き、とにかく自分を隠すことに忙しいタイプでした。

そこで、私は聞きました。

「いったい、なにを隠してるんでしょうね?」

「いやー、隠しているつもりはないんだけど、んー、やはり、隠したいのか‥‥」

「じゃあ、なにを?」

「うーん‥‥」

その後、彼の心の中を一つずつ見ていったところ、「女性にものすごく甘えたがっている自分がいる」というのが出てきました。

あまりに恥ずかしいので、彼自身、自分の中にそんな自分がいるということは認めたくないようでした。

そんなことを大好きな人に知られると、ぜったいバカにされるし、笑いものにされるという強力な自己概念があったからです。

だから、それを隠すために、「女なんか、べつにほしくねぇよ」というニヒルで悪い態度の彼が女性陣の前に立ちはだかり、心のバリケードを作っていたのです。

それを見た女性陣は無価値感を感じるばかり。「自分は相手にしてもらえない。仕方ないよね、こんなに素敵な彼だもの‥‥」、と。

これでは、なかなか発展することはないですよね。

そこで、彼に一つずつ自分の防衛機構を外してもらう、心理学でいうところの“マスキング”の実習をしてもらいました。

これは服を1枚ずつ脱いでいくという方法で行います。

はじめにカウンセラーはこんなふうに聞きます。

「いま、あなたがいちばん上に着ているジャケットが、あなたを防衛する人格だとしたら、その人格とはなんですか?」

聞かれたのが私だったとしたら、こんなふうに答えるわけです。

「私がいちばん上に着ているのは、“ベテランカウンセラーの威厳”というジャケットです」

すると、カウンセラーは言います。

「では、それを脱いでみましょう」

「ええー! それではただの中年エロ親父に成り下がってしまいますが‥‥!!」

‥‥こんなやりとりをしながら、ほんとうの自分を防衛しているものを1枚ずつ脱ぎ捨てていきます。

本来であれば、パンツ1枚になるまで脱いでもらいたいところですが、この最後のほうはイメージを使って進めていきます。

この実習のあと、彼には、「女性に“ものすごく甘えたい”と言う」という練習をしてもらいました。

彼は、唯一、話す機会のある女性だというスナックのママさんを相手に練習したそうですが、そのママさんにじつに好評だったというのです。

女性のみなさんなら理解できますよね。

カッコよくてニヒルな男性が「甘えたい」と言ってくれたら、けっしていやなかんじはしませんものね。

しかし、彼にとっては驚くべき気づきであったわけです。

いちばん隠したいと思っていることを人にコミュニケーションすることができると、あなたの人生は変わってしまうかもしれないのです。

では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

平 準司

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。