人生の転機を活かす心理学(4) ~怖れとうまく付き合う方法を考える~

怖れを向き合う上手な自分操縦術

誰しも「転機」をむかえると怖れを向き合うことになります。
この怖れとの向き合い方には自分にメリットもあるものからそうではないものまで存在します。
毎日をより良い形で過ごすための、上手な自分操縦術のポイントについて解説します。

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こんにちは。カウンセリングサービスの浅野寿和です。

今回は本連載の最終回ということで、上手な怖れとの向き合い方、自分操縦術についてお伝えします。

◇怖れを感じることは悪いことじゃないと理解する

カウンセリングの現場で「怖がりはダメ、弱い」というイメージを持たれている方と出会います。

怖がりはいけないこと、弱いことという観念があるならそれは一旦手放しましょう。怖いこと、怖がることは、確かに自分の制限になりますが、何ら恥ずべきことではありません。

むしろ怖れを感じながら自分の気持ちに嘘をついて強がるほうが苦しいものですし、その結果ストレスを溜め込み人や物に攻撃的になるぐらいなら、怖れを認めたほうが楽です。

また、怖れをまるで敵のように扱う人もいますが、そもそも怖れは悪いものではありません。

怖れを感じるからこそ慎重になれることもあります。怖れがあるから学べることもたくさんあるはずです。

◇自分を責めず寄り添い理解する

この連載シリーズでも何度かお伝えしていますが、自分を責めることや何でも自分が悪いと感じることで、一時的に怖れを感じないようにするパターンが存在します。

しかし、自分を責めることのデメリットも大きく、自己嫌悪が怖れを強めることがありますから、できれば自分を責める以外の方法を使いたいところです。

少なくとも「怖がっている自分を責めないこと、嫌わないこと」です。

怖れを感じているということは、もう少し自分に興味を持ったり、自分を理解するサイン。

怖がっている自分を追い込んでも一時的には力が出ますが、怖れへの苦手意識はなかなか消えてくれません。

ときには自分に「怖くていいよ」「私は(自分が)怖がっていることを知っているよ」に語りかけてみましょう。

それだけでスッと怖れが溶けて葛藤がなくなることもありますよ。

また、なかなか気づかないのですが、人との比較も自分を責めることと同じ意味を持つことがあります。

「あの人は平気で○○できるのに、私は怖くてできない」といったふうに自分を責めるわけですね。

ただ、自分を責めるための人との比較は「自分の弱さ」と「相手の強さ」を比較しているのですから、そもそも勝ち目はありません。出る結果は「自分なんて・・・」だけです。

どんな人も同じではありません。得意不得意がありますし、人によって怖れを感じる対象は違います。少なくとも自分が怖がらないことを人が怖がることだってあり得るはず。ならば、人と比較をして自分を責めるより、別の方法を意識して使っていきましょう。

◇怖れには「理解」が効く

考えること、理解すること、腑に落とすこと、は怖れを和らげます。

もし、今自分自身が転機や変化の中で怖れを感じているなら、怖れに飲み込まれる前に

現状認識をしっかり行う
物事を知り、理解する
なぜ今、こう感じているのかを理解する

こういった視点を持ってみてください。

ときには紙に「なぜ怖いのか」の理由を書き出して整理していくこと、その対策を書き出すことも有効です。

怖れは自分の内面においておくと不満の種になったり、自分自身が更に追い込まれる理由になりかねませんが、自分の外に出す(紙に書き出す)ことで、客観的に怖れと向き合えるようにもなります。

また、私達は強い怖れを感じるとき、ついつい言いたくはなくとも「言い訳」をしたくなったり、物事の批判者になって、何が悪い、あれがダメこれがダメ、と原因探しをしたくなるものです。

これは自分が感じている怖れをどうにか打ち消そうと必死だからこそ起こることですが、自分の内面に存在する怖れを人のせいや何かのせいにしてもスッキリはしません。

自分のこととして向き合うことで理解が可能になるんですね。

◇自分のペースで、今できることをする

怖れを目の前にして何もしないでいると、怖れはさらにお化けになることがあります。また人や周囲のペースに合わせすぎていても怖れは強くなります。

実は怖れを感じている間もできることがあり、「自分のペースで、今できることをする」と意識付けることはとても有効です。

そもそも今できることしかできないわけです。できないことができないのは当然なのです。

特に怖れを感じているときほど、一息ついて「自分のペース」を意識して行動する時間を作ることをおすすめします。

仕事などなかなか自分のペースにならないことがあったとしても、「自分のペース」でできることを探して取り組みましょう。これを「自分に今できることだな」と意識して行うと気持ちが楽になることが多いです。

また、私達の学ぶ心理学の世界では「怖れは波のようなもの。突き抜ければなくなるが、逃げると追いかけられる。」と表現されることもあります。

確かに怖れや不快な感情は感じたくないものですが、どうしても避けられない感情なら嫌わずに向き合い、今できることに意識を向けましょう。

もちろんひとりぼっちで頑張る必要はありません。一人で頑張るしかないという意識は人とのつながりを切り離すので怖れを強める要素にもなりえます。

信頼できる人に相談したり、仲間に話を聞いてもらいながら「今、できること」に意識を向けてみましょう。

なお、すでに頑張りすぎて燃え尽きてしまって動けない、という場合は別です。この場合はしっかり休息をとるなど別の方法を考えるほうが良いです。

◇「理解」や「今できることへの意識」だけでは追いつかない強い怖れの場合

自分なりに理解してみたけれどもなかなか消えない怖れも存在します。

この場合、自分自身の過去の経験、抱えている感情が影響し、意識で考えていることとは全く別の理由で怖れを感じている場合も考えられます。

具体的な事例は3回目のテキストでご紹介しましたが、あまりに自分で扱えない怖れの場合は、カウンセリングなどを利用して自分の内面を見つめて見る方法もあります。

特に感情というものは、理解だけでは追いつかない動き、関連付けをされることが多いので、怖れが強まっているならじっくり自分の心と向き合うこともおすすめです。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

浅野 寿和

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。