新しい時代を生き抜くために〜柔軟さを培おう〜

私たちは、自分が今まで生きてきた時代と同じ延長線上に未来が存在していると考えがちです。
従って、今までと同じように社会が動き、今までと同じ視点で社会を捉え、そして今までと同じ基準で生きていけばいいのではないかと思いがちです。

しかし、“社会は小さな変化の波を繰り返しながら、やがて大きなうねりのような波が現れて大きく変わっていく生き物である”ということが歴史の教える真実です。
例えば、バブルが崩壊する頃まで、企業においては終身雇用制が当たり前の社会でした。
大きな会社では社員に“社宅”という住宅を提供し、何棟も並ぶ社宅の中に商店や公衆浴場までが完備されていて会社が社員の面倒を全てみるなどという時代もありました。
しかし、今はその終身雇用制度も徐々に崩れつつあります。
一つの企業で安穏とした人生を送るよりも、企業を渡り歩きステップアップしながら生きていく働き方をする人も若い世代には多くなってきています。
ある調査によると、40代までの2人に1人が転職を経験しているようです。
ちなみに、私の若い頃(30年ぐらい前?)には、転職するのは仕事が長続きしないからだとある意味タブー視されていたものです。

また、景気や産業構造も新技術の出現により大きく変化をします。
景気にはサイクルがあり、“好景気”になったり“不況”に陥ったりを繰り返しますが、これには原因があると考えられています。
短い周期では10年位のサイクルで不況→好況→不況を繰り返す、企業などの設備投資に伴うサイクルもありますが、技術革新による、より大きな景気のうねりは約50年周期で生じると言われています。
1800年頃には蒸気機関や紡績産業が発達し、1850年頃には鉄鋼産業が発達・・・といった具合で、現代はエレクトロニクスや原子力、航空宇宙産業の発展から次代の人工知能、ライフサイエンス、人により近いロボット技術に丁度移行しようとしている時期です。
産業構造が変化していけば、そこで求められる私たちの役割も大きく変化し、当然ながら求められるスキルも変わってきます。
今、働いている企業が産業構造の転換に対応できるか、そこに今と同じような仕事があるか、そして今までと同様に多くの雇用が必要とされるかは不透明と言わざるを得ません。
従って、産業構造が変化する度合だけ、私たちも柔軟に変化し、それに対応できる状態にしていかなければならないのです。

どのように変化していけばいいか、は今の時点では見通せないかもしれません。
しかし、その時が必ずやってくるので先にそれを受け容れられる“心の準備”は始めておく必要があるのではないでしょうか。
人間は、変化することができる生物ですが、必ずしもそう簡単に変化に対応できるものではありません。
そこには心理的な抵抗も沢山あります。
この心理的な抵抗を乗り越えて自身を変化させることができるように心の柔軟さを培っておくことが大切ではないかと思います。
心理的な柔軟さを阻害するもの、すなわち心理的な抵抗を生み出すものの正体は“怖れ”です。
変化することそのものを怖れるということもありますが、私たちがもっとも恐れているのは自分に存在価値が無いと感じることです。
産業構造や社会構造が変化する時には、この自身の存在価値を問う状況が生まれやすくなります。
職種転換を言い渡された、企業を辞めなければならない、新しい仕事にチャレンジしなければならないなど。
これらの状況は、決して個人に存在価値がないからそうなるのではなく、社会的な、あるいは構造的な価値の転換が起こる事で生じたと客観的に受け止めることが必要で、そこで自分の痛みにつなげないことが大切です。
その為には、周りがどう思っているかなどと自己の価値評価を人に委ねるのではなく、自分で正当に評価することができるように訓練をしておくことです。
ここで、正当に評価するというのは、自分の理想と現在の自分のできていないところを比べるのではなく、自分のあるがままの姿を受け容れて、自分を裁かないという意味です。
ここではまた、甘い自分になってしまうのではないかという“怖れ”が顔をのぞかせますが、それはまた自分が変化することへの怖れでもありますから、“自分の価値は自分で決める”ことを決意していただく必要があろうかと思います。

新しい時代がやってくることは、決して悪いことではありません。
柔軟な気持ちを持って、新しい時代の波に乗っていこうではありませんか。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大谷 常緑

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。