初めて部下を持った時の心理学~心の葛藤を超えて~

職場で初めて部下を持ったり、職場以外でも初めてリーダー的なポジションについた時に、起こってくる心の葛藤というのがあります。

部下や後輩を持つことで、これまでとは異なる、自分自身についての「あり方」という意識の芽生えが始まることで、これまでの自分に対する概念が揺らいでしまうからです。
心の葛藤~比較・競争~を超えて、ありのままの自分の気持ちを受け入れることで、自分らしいリーダーシップを発揮できる器の広い上司を目指しましょう。

◎リクエストを頂きました◎
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最近、初めて職場で部下を持つこととなりました。年齢は2年ほど下ですが、業界の知識も深く仕事もできる人間です。私の仕事を一部移管することで業務の負担は減り、楽にはなったのですが心がすっきりしません。

何だかいつも彼と比較されているのではないかと心が安まりません。そのせいか、自分の部署の成果があがることなのに彼がうまくゆかないことを望んでいるような気がしてしまいます。あまりに彼がうまく仕事をこなしてしまうと自分の居場所が無くなるような不安を感じ、彼が仕事で失敗したり、休んでいるとホッとしたような気がしてしまいます。

本当は彼が仕事をどんどんこなしてくれれば、自分も楽になり、部署の成果も上がるので、本当は望ましいことなのですが、どうすれば素直にそう感じることができるのでしょうか?
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リクエストをいただきました。ありがとうございます。

職場で初めて部下を持ったり、職場以外でも初めてリーダー的なポジションについた時に、起こってくる心の葛藤というのがあります。

ご相談者の方は、頭ではより良くなることだとわかっているのに、部下の貢献が受け取れなかったり、相手の失敗を望んでしまったり。職場でのご自分のポジションが変わられたことで、部下との比較・競争の罠にはまってしまわれているようですね。

今回は、優れた上司として業績を上げ、部下に慕われ、尊敬される上司になるための心構えについてお話したいと思います。

●どうして葛藤してしまうの?

部下や後輩を持つことで、これまでとは異なる、自分自身についての「あり方」という意識の芽生えが始まります。

ところが、自分自身を振り返ったときに「こんな自分が部下を持っていいのだろうか?」そんな疑問がよぎることがあります。

上司やリーダーになるというのは、すでにこれまでの実績が評価や期待されてのことなんですが、自己承認ができていなかったり無価値感があると、この部分がなかなか受け取れないんですね。

こんなとき、私たちは、「本当に私でいいの?」という部分を無意識的に証明するものが欲しくなります。

そして、部下や後輩などと自分自身を明確な基準のないところで比較してしまうことから、競争の罠にはまってしまいます。

頭の中での発想が部下と同じステージにいて、部下とガチンコ競争してしまっていることになるので、どちらかしか勝てないような思いが働いてしまうというわけです。

●異なるルールを学ぶ

依存のステージ

自立のステージ

相互依存(支援)のステージ

人が成長していくにあたって、それぞれのステージでは異なった立場やルールがあり、ルールに基づけばうまく行くのですが、その方法は次のステージにいくと役に立たなくなってしまうということがあります。

職場での例を用いると、まずはじめに私たちは依存のステージからスタートすることになります。

依存のステージは、新入社員や入社数年の時期に、誰かに教えてもらったり、指示を仰ぐなど、他人や会社などに心理的に頼っている状態をいいます。
子供が育っていく過程をイメージに重ねていただいてもいいかもしれませんね。

新しい仕事をはじめると誰しも依存の状態からスタートして、自立のステージへと進みますが、転職などをすることで依存のステージからやり直すこともあります。
新しい環境でのルールをまた最初から教えてもらう必要があるからです。

この時期は、行動や態度、つまり「やり方」を学びながら仕事や人間関係に対する良い態度を身につけることで成長して行きます。

上司などに頼らずにある程度、仕事ができるようになり、部下を持ちはじめたり、リーダーやチーフといったポジションについて人に頼られたりするようになると、自立のステージにはいることになります。

自立のステージにはいると、今までの依存のステージで役にたった「がんばる」「努力する」「期待に応える」「完璧にこなす」などの評価を得るためのルールがうまく行かなくなります。

仕事を覚えはじめ成果が出せるようになると、意識的に変えられる行動やスキル、つまり技術的な側面の「やり方」から、上司やリーダーといった「あり方」の部分が必要になってくるからなんです。

「あり方」は、職務に対する能力のレベルではなく、意識のレベルです。
チームワークとその前提である人間関係に関する意識のレベルなのです。
「やり方」は「あり方」と対をなす概念なので、これまでのルールが通用しなくなってしまうのです。

●まずは、自分の感情をしっかり受け止めましょう

自立から相互依存(相互支援)のステージに成長していくには、「自分の感情に責任をとる」ことが大切になります。

自分自身を知り、周囲を動かしていくリーダーになるには、「あるがままを受け入れることを選ぶ」ことです。
つまり、自分自身のすべての部分を判断や批判・非難をせずに受け入れることを意味します。
もし、自分に対して批判的な自分に気づいたら、そんな自分も丸ごと受け止めてしまうのです。

そして、感情のトレーニングは、自分がまずどういう感情を感じているのかに気づくことです。

自分の感情に気づき、自分に何が起きているのか、何を感じているのかに気づいてあげる、これが感情に責任を持つということです。

受容するとは、否定でも忍耐でも諦めでもありません。
私たちは、自分の一部を改革したいように変えることができるのです。

しかし、それは、その部分を受け入れた「あと」にのみ可能なことなのです。

そうでなければ、私たちは、気づいていなかったり受け入れていない部分を肯定的な面であれ、否定的な面であれ、それを他人に投影する傾向があります。
そして、私たちは、他の人をあるがままにみないで、ただ自分の投影として、良くも悪くも見てしまうのです。

私たちが自分自身をもっとあるがままに受け入れることができるにしたがって、他の人をもっとはっきりと正しく見たり、あるがままを受け入れることができるようになります。

それは、それだけ心の器が大きくなることを意味しています。

自分のすべての部分を受容することは、私たちが自由に十分に愛を表現するために、そして、それを受け入れるのに必要なステップです。

上司として自分らしいリーダーシップを発揮し、部下とともにお互いの成果を喜びあえるヒントにしてみてくださいね。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

熊谷 佐知恵

恋愛、夫婦関係、職場の人間関係、転職・キャリアほか、自己実現など幅広いジャンルに対応する。 わかりやすいレクチャーをモットーに、感覚やインスピレーションを活用するハートフルなセラピーとの両面で癒しのプロセスを後押しするのが強み。自分のペースで気づき、変化、成長できると好評である。