なぜかイライラする~あんなに大好きだったパートナーに怒りを感じるようになったときの処方箋

「あんなに大好きだったパートナーになぜかイライラを感じることが増えてしまって…」

というご相談は、カウンセリングの現場において実は少なくありません。
どうしてそのようなことが起こるのでしょうか?
わたしたちの深層心理にある怖れや痛みを解き明かしながら、いま「ある」関係を見失わないためのヒントをお届けします。

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今回、担当させていただく熊谷佐知恵です。どうぞ、よろしくお願いします。

順調に育んできた二人の関係。なのに、最近パートナーに対してやたらイラッとする、腹が立つようになってしまった。
あんなに大好きで、この人と出会えて本当によかったと思っていたのに、一体全体、どうしてこんな気分になってしまうのだろう?

このように、特に何か思い当たるようなことはないのだけれど、いつの間にか変わってしまったと感じる自分の感じ方に不安を覚えてご相談にみられる人は少なくありません。

同じ人に対して見方や感じ方が変わってしまったことへの不安は、この先の未来に対して抱く怖れや不安にもつながりますから、それは、それは怖いですよね。

●どうしてそんなことが起こるのか?

毎年、畑を耕すたびに石ころが出てくるように、わたしたちの古い痛みやトラウマ、葛藤などはマインドの表面に出てくる仕組みになっています。

傷ついたままの未完了な思いは、まるで現在のものであるかのように見せかけて、癒されることを願って表面に現れてくるのです。

現在の誰かに対して持つどんな問題や葛藤も、過去の誰か、あるいは何らかの状況から、まだ癒えていない何かがあることを教えてくれています。それゆえに、不快な感情のすべては過去に根ざしているといえそうです。

たとえば、男女関係においてふたりの関係が進んで信頼関係が深まってきた段階で、前述したような過去の未完了な想いがパートナーとの間に重なって溢れてきてしまうことがあります。

「(かつての誰かと同じように)わたしを見捨てたり、裏切るんじゃないか?」といったような疑い、怖れや不安から、相手を束縛あるいは干渉してしまうようなことも二人の間のトラブルとして現れることがあるかもしれません。

「さみしいよ」
「ひとりにしないで」
「そばにいてほしい」
「もっとわたしのことをみてほしい」

と素直な気持ちを表現するよりも前に、嫌味を言ってしまったり、困らせるような態度をとってしまうのは、本人もこのような思いを長い間抑圧してきており、自覚がないか、あるいは、そのような想いがあるときに、どう甘えていいかわからなかったりするためなのです。

それは、今現在のパートナーとの間には、かつては感じられなかったほどの、親密な関係を結べているからこそ、ともいえそうです。

誰にも頼ることができなくて、甘えることができなくて、自分で頑張るしかなかったわたし。そして、ずっと抑圧してきた感情は、最初は怒りのような感情として覚えるかもしれません。

それゆえに、この怒りやイライラは、嫉妬のようなものであることが多いのです。
どう甘えてよいか分からないだけでなく、自分が甘えたかったのだという自覚がないことで、パートナーからの関心を奪い取ろうとしてしまうようなこともあるかもしれません。

●意識的な切り替えポイントをつくること

このような場合のイライラや気持ちが落ちる時って、足りないのは「自尊心」や「自己肯定感」や「自己受容」であることが多いです。

自分で自分の感情や思いを認められないから、他人やパートナーに求めてしまう。
もともと周りの声や反応に気を使われ、周りを優先ししまう傾向がある方は、自分の気持ちが置いてきぼりになっている傾向があるのかも」、と受け止め直してみてくださいね。

「イライラしちゃダメ!」「早く前向きにならないと!」と自分で自分にムチを打ってはいませんか?落ち込む自分を嫌ったり、ダメな自分を否定し、自分で自分を傷つけないでいてあげてくださいね。

あるいは、今のパートナーができる以前のセルフイメージの低さや犠牲のパターン、トラウマがあなたが幸せでいることを許せないでいるのかもしれません。そのようなまだ癒されていない痛みは、癒すことに意欲的になってみてくださいね。

幸せの鍵は、自分の気持ちに寄り添い、自分の人生の舵を自分で切れるようになることなのです。

・過去を完了し、観念を書き換える

たとえば、わたしたちが子供時代に、お仕事で忙しかったり、他のことで問題を抱えていた親を思いやって、自分の気持ちを表現することに遠慮があったり我慢やあきらめなどを繰り返しているうちに、犠牲的なパターンを身につけてしまうことがあります。

なかには虐待などの過酷な状況で育った方も、耐えることが愛なのだと誤解していることがあります。

幼い自分が親を思ってしてきたことイコールそれが愛ならば、実はそれが行き過ぎて犠牲になっていたというケースは良くあります。

しかし、その思い違いから、多くの人が愛と犠牲を混同してしまい、男女の関係の中で相手にも同じように犠牲を強要してしまうことがあります。
なので、その誤解が解けないと、とても苦しい関係をなかなか抜けられなくしてしまうものです。

そのような場合「愛は犠牲を強いるものではありませんし、幸せになることに誰の犠牲も要らないのだ」と心得ておくといいでしょう。

こんなふうにして過去を完了し、未来を選択する丁寧な意識付けも、あなたを嫌な(悪い)態度をとらせ続けるのを防ぐ効果があります。

わたしたちには誰にでも、自覚し意識できる部分はは変えられる選択の力があるのです。

●パートナーと繋がりつづけることを選ぶ

もうひとつ、このようなときにでてくる「こんな悪い態度の自分は嫌われる」という思いは、自分で予測できてしまえるからこそ、嫌われる前に別れてしまった方がいいのではないかという思いに駆られてしまうこともあるかと思います。

でも、実は今のパートナーがいてくれるからこそ、過去が癒せるチャンスが来たのだということを今一度、思い出してみてくださいね。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

熊谷 佐知恵

恋愛、夫婦関係、職場の人間関係、転職・キャリアほか、自己実現など幅広いジャンルに対応する。 わかりやすいレクチャーをモットーに、感覚やインスピレーションを活用するハートフルなセラピーとの両面で癒しのプロセスを後押しするのが強み。自分のペースで気づき、変化、成長できると好評である。