無価値観から起こる問題(2)~尽くしすぎてしまう~

もし自分に価値がないのだとしたら、その価値を何かで補おうとするでしょう

自分には、価値などないと感じている感情が、無価値観です。自分に価値がないのだとしたら、その価値を何かで補おうとします。無価値な自分を補おうとする行為を補償行為というのですが、補償行為として、誰かにものすごくやさしくしたり、誰かの言いなりになったりと、自分の意志ではなく、無価値な自分を隠して、価値を補うために、尽くしすぎるということがあります。

***

例えば、好きな人とお付き合いすることになったとして、「私には価値がない」と無価値観を感じていたとしたら、「嫌われてしまう」「すぐに飽きられてしまう」「必要ないと言われたらどうしよう」と、様々な不安に襲われてしまいます。

好きな人に嫌われたい人はいませんし、お付き合いしてすぐに別れようなんて言われるのは、誰だって嫌です。
なんとかそんな事態は、避けたいと思います。

自分では、自分のことを無価値だと感じているのですが、お付き合いしている人は、その人のことをそもそも無価値だなんて思っていません。

ですが、そんなことは考える余裕もありませんし、たとえ「君には価値がある」「君は素晴らしい」と言ってくれたとしても、その言葉を信じることを無価値観は邪魔をします。

自分が無価値だということが相手にバレてしまったら、嫌われてしまうと思うと、無価値であることがバレないように、様々なことを相手にしてあげようとします。
手料理を作ってあげたり、プレゼントをあげたり、いつもニコニコとやさしく接したり、仕事ができる有能な部分をアピールしたり・・・

「私は無価値ではないですよ」ということを、一生懸命相手に伝えようとするのです。

相手から、「マッサージをしてほしい」とお願いされたとしたら、たとえマッサージが苦手であっても、なんとか相手の要求にこたえようと、一生懸命がんばります。

「今度の日曜は、プロレス観戦に行こう!」とデートに誘われたら、たとえプロレスが苦手であっても、楽しいふりをして、相手に合わせようと頑張ります。

相手が言うことを、なんでもOKと、受け入れていくのです。

好きな人のために、相手が喜ぶことをしてあげたいという気持ちは、誰にでもありますし、素晴らしいことです。

ですが、自分にも苦手や不得手なことはあるはずなのです。

でも、無価値観が強いと、苦手や不得手であることを相手に伝えて、「無価値だ」と思われることが、とても恐ろしくなってしまうのです。
その結果、自分の気持ちや意志は、おいてけぼりになり、相手にばかり合わせてしまうようになります。

いわゆる、尽くすという状態ですね。

相手に尽くしていることが、自分の喜びになっているのならいいのですが、無価値観を隠すために、尽くしていると、たとえ相手が喜んでくれたとしても、「よかった。無価値なことがバレなかった」「嫌われないでよかった」という程度にしか感じられませんので、喜びには結びつかないのです。

喜びに結びつかないということは、やがては疲れ果ててしまうことになります。

相手に尽くしすぎてしまうと、尽くされている相手は、自分の意見が通るのがあたりまえになってきて、わがまま放題になってしまうこともあります。
また、尽くされ続けて、「自分はそんなに尽くせないよ。ごめんね」と、相手に罪悪感を感じさせてしまうこともあります。

大人同士のお付き合いは、対等であることが大切です。
それぞれが、意見を対等に言えること、それぞれが、お互いの欲求を理解して、叶えあえることが大切なのです。

無価値ではなく、無価値だと誤解した部分を、正しく理解し、自分の価値を再認識していくことが必要になります。

無価値だと思ってしまったのは、いったいいつだったのか?
どんな出来事があって、そう感じてしまったのか?
果たして、本当に無価値なのか?
そういったことを、一から思い出して見るのも方法です。

無価値な人など、この世に存在しません。
何かができるから、何かがすぐれているから価値があるのではないのです。
究極を言えば、存在していることが、価値ともいえるのです。

無価値観によって、尽くしすぎると、関係性を壊してしまうことがありますので、相手にやさしくするのは良いけれど、補償行為にならないように注意が必要です。

>>>『無価値観から起こる問題(3)~すぐに諦めてしまう~』へ続く

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大門 昌代

恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より2冊出版。