伝える勇気

こんにちは、平です。

私たちはいつも、なにかになろうと努力しているようです。

それはそれでけっして悪いことではないのですが、もし、その行動動機の土台に、「いまの自分ではダメだから」とか「こんな自分じゃ、何者

にもなれないから」などといった自己否定があるのだとしたら、なかなかうまくいかないようです。

かつてあなたを取り巻く環境のもと、あなたは“今のあなた”になることを選択し、“今のあなた”として生きてきました。

その選択はひょっとして間違っていたのかもしれませんが、そのときの状況下、あなたの経験と照らしてみたかぎりで、最良の選択であったはずです。

その最良の選択を否定してしまうのだとしたら、あなたはどんどん自分したことに自信がもてなくなっていきます。

さらに、そこで自分を責めてしまうと、「なんて私はダメなんだ」という劣等感や自己攻撃が生まれてしまいます。

この自己攻撃している部分を解決することなく、隠そうとしてしまうと、物事はまったくうまくいかなくなってしまいます。

たとえば、「自分はなんて頭が悪いんだろう」という劣等感がある人は、「ほら、こんな難しい本を読んでるおれって、すごいだろう」とか、「こんな分厚い心理学の本をまた買って読んでるんだよ。おれって、頭いいと思わない?」とアピールしがちです。

そんなとき、こんなことをしている人をあなたは「この人、すごーい!」とは思いませんよね。

「なんで、こんな自慢してくるんだろう。ひょっとして、この人、自分で頭が悪いと思ってるんじゃないの?」とすぐに察してしまうでしょう。

私たちのだれもが欠けているものや苦手なものをもっていますが、それは、隠そうとすればするほど露出してきてしまうのです。

この隠すという行為は、心理的に見ると、「一生、もっていく所存でございます」と言っているようなものです。隠しているだけでは、解決し

ませんからね。

そして、隠しつづけているかぎり、あなたはそれをずっと所有しつづけないといけないわけです。

所有しているということは、「いつかは見つかるんじゃないか?」といつもビクビク、ハラハラ生きていかなくてはなりませんから、隠すとい

う行為は、ものすごいストレスも伴います。

もし、それを隠すのではなく、解決しようと思うのであれば、あなたはいまの状況をだれかに相談する必要があるでしょう。それは、自分をだ

れかに開示することであり、それには大きな勇気がいります。

その勇気をあなたがもてた瞬間、その問題は解決に向かいます。「それはなんとかなるだろう」、「解決できるだろう」という思いがあってこ

そ、その勇気もわいてくるからです。

言い換えると、あなたがなにかを隠そうとしているときは、心の奥底に必ず「これは、一生、解決できない」という思い込みがあるわけです。

解決できないから「隠すしかしょうがない」となるのですね。

しかし、あなたが「これを、なんとか解決したい!」、「解決できるだろう」と思った時点で、どうも、答えはあなたに与えられるようなので

す。

心の世界では、「できない」ということのほとんどは「したくない」と置き換えることができて、それによって、あなたの意思がどこにあるか

を見ることができます。

あなたが解決できないと思い込んでいるということは、「これは、一生、解決したくない。とっておく」という意思をあなたがもっているという

ことを表すわけです。

苦手意識を克服するなら、まず、だれかにそのことを伝えることからスタートしてみてください。

 

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。