ストレスの心理学~ストレスの溜まり方と解消方法~

日常化している「ストレス」。

そもそもストレスとは何か?どうして溜まりやすいのか?そして、どう解消したらよいのか?をご提案。

●ストレスとは?

ストレスという言葉も一般的になりましたが、これを今日は心や感情という側面から見ていくことにしましょう。
あなたはどんなときにストレスを感じやすいでしょうか?

ストレスは「心で感じるもの」ですよね。
もちろん、無意識的に感じているストレスも少なくありませんが、少なくとも頭で考えるものではありません。
オフィス内での人間関係や仕事のプレッシャー、あるいは通勤ラッシュなどストレスに感じやすいものはたくさんありますが、心理学的には「処理されない感情が心の中に溜まってしまっている状態」と表現できるんです。

嫌だけれど我慢して何かをするとしたら、その「嫌」って気持ちは抑圧され、心の中に溜まっていきます。
その時は「仕事だから」とか「嫌われるのが怖いから」という理由で頭で納得したとしても、心の中ではそれが抑圧されていくものです。
それが繰り返されると、細かいチリが積もっていくように、ネガティブな感情が積み重なっていきます。
それが意識レベルで感じられるようになると
「あたし、最近ストレス溜まってるかもしれへん」
という表現になってくるんです。

●なぜストレスがたまりやすいのか?

まずは、そんなストレスが溜まってしまう要因を見て行きましょう。

私たちは日常の中で、考えることがいっぱいあります。
例えば、今夜同僚と行くレストランを決めること一つをとっても、様々な調べ方がありますね。
本屋さんに顔を出せばあらゆる雑誌が並んでいますし、ネットで検索したら、それこそ無数の情報が飛び込んできます。
もちろん、昔ながらの口コミでも美味しいレストラン情報を得られるでしょう。

そんな情報チャンネルの多様化は便利さをもたらしてくれる一方で、「一体、どのレストランに行けばいいの?」と逆に悩んでしまうことだってあります。
そのたくさんの情報を頭(意識)で処理する(これが「考える」ということです)とすれば、レストラン一つを決めることだってストレスになり得るんです。
だから最終的には「いつものあの店でいいよね?」ってオフィスのすぐ近くのレストランに決まってしまうことも少なくないんじゃないでしょうか。

また、最近でこそ「スローフード」「スローライフ」という言葉を耳にすることも多くなりましたが、相変わらずスピードの時代です。
そのペースについて行けるうちはいいのですが、ちょっとタイミングがずれ出すと、歯車が狂ったように心身のバランスが崩れていきます。
だから、いつも何かに追いたてられているような焦りが出てきたりするんですよね。

それから、仕事をしていれば、業務の効率化と共に、どんどん仕事がマニュアル化されている現状もあろうかと思います。
そこでは、人というよりも機械のように働かされているように感じることもあるでしょう。
仕事上でも自分の意志が入り込む余地が無くなれば無くなるほど、「やらされている感じ」を強く受けるようになります。
やらされて嬉しい人ってあんまりいませんから、仕事をするだけでネガティブな感情を感じやすくなるのです。

よくOLの方をカウンセリングしていると「私じゃなくてもいいんじゃないか?」という気持ちに駆られる方が多いように思います。
そこでは寂しさや居場所の無さ、そして、無価値感がたくさん出てきます。
でも、「別に手に職があるわけでないし、今の時代、転職先なんて見つからないだろうし」という気持ちになってしまうと、将来への不安もとても強くなります。
そうは言っても、仕事は待ってくれないですから、その気持ちを心の中に抱きつつ、毎日が過ぎ去っていくんですよね。

感情というのはそれを感じてあげれば解放されます。
でも、感じてあげる時間的余裕もないままに生活を送っていると、その心の中に溜まっているネガティブな感情がどんどん私たちを圧迫し始めます。
それがストレスといわれるものの実態なのかもしれません。

●ストレスを放置しておくとどうなるか?

そんなストレスを放置してしまうと、最初は倦怠感やイライラ、漠然とした不安感などの状態で現れますが、徐々に集中力が無くなったり、無気力になってきたりして、何かをすることが「億劫に」「面倒に」なっていきます。
また、考えることが多すぎて、心に目を向けられないと、頭がピーンと張ってしまうようになって、寝つきが悪かったり、何度も目が覚めたり、朝起きても全然疲れが取れてなかったり、きちんと眠りを取ることができなくなるんですよね。

眠りは私たちの感情を処理するのに大切な役割を担いますから、ちゃんと眠れなくなってしまうとどんどんストレスだけが溜まっていくようになるんです。

それが心理的な面だけで済んでいるうちはまだ良いのですが、心と体は繋がっていますから、心で処理できずに抑圧された感情は体の変調として出てきます。
例えば、女性ならば生理不順や偏頭痛、肩こりなどに現れ始めて、やがては内臓(特に胃腸)などに悪い影響を及ぼし始めます。

特に女性は男性に比べて感情を感じることに優れていますから、そんな女性が感情を抑圧してしまうとすぐに体調異変として出てきやすいんですね。

また、体調に出るだけでなく、心の状態はそのまま対人関係や男女関係にも影響し始めます。
イライラしてるときは恋人に優しくしてあげたいとはなかなか思えませんよね。
あるいは無気力な時には、友達との約束もドタキャンしてしまうかもしれません。

●ストレスを解消するには?

“ストレス解消”という言葉は日常用語化してる節もあります。
皆さんはどんな解消方法を持っていらっしゃるでしょうか?
ショッピング、カラオケ、友達と長話、旅行、趣味、スポーツ、デート、お酒等々、様々なものがあろうかと思います。

どんな方法でも溜め込んでる感情が解放されたらいいんです。

どういうときに感情が解放されるんでしょうか?
それは自分の心にきちんと意識を向けられた時なんですね。

ショッピングでストレスが発散されるのは、自分自身の「欲しい」という気持ちが満たされるからです。
カラオケならば、歌うことや声を出すことで、心の中の感情を「表現」することができます。
感情表現は心の感情を解放するとっても良い手段の一つです。

それから、趣味などは「好き」とか「楽しい」という気持ちを満たしてくれることが多いでしょう。
その「好き」「楽しい」「嬉しい」というポジティブな感情はストレス解消にとても役立ちます。
だから、ストレスが溜まってるなあ~と感じるときは「好きなことをする」ことが大切なんですね。

僕もカウンセリングの中で、そうしたストレスを解消する方法として、
「好きなもの、欲しいもの、したいことを年齢×10個集めて下さい!」って宿題を良く出します。
30歳の方なら300個です。
その膨大さに最初は圧倒されるかもしれませんが、それくらいたくさん好きなものを探し、欲しいものをリストアップしていくうちに、徐々に「好きなこと」に意識を向ける癖が出来ます。
そしたら、その「好き」って気持ちがストレスを発散させてくれるようになりますし、また、それを手に入れようという新たな目標も次々生まれていきます。

また、その他、「安心感」とか「親密感」という感情もストレスを思い切り解放してくれます。
居心地の良いカフェや恋人の腕枕などを通じて、ふーっと深い息ができて心に安らかな感情がたくさん入ってくると、それが溜まっている嫌な感情を洗い流してくれるように感じます。
だから、「甘え下手だなあ」と感じる人ほど、ストレスを溜めやすいのかもしれません。
誰でもいいですから、“ちょっとだけ甘えてみよう”とか“ちょっとだけ頼ってみよう”と思って何か思いつくことを実行してみるといいかもしれません。

それから眠ることもストレスの解消には効果的です。
眠りは溜まってる感情を処理してくれる機能を持ちますから、思い切り眠ることも大切です。

でも、家でゴロゴロしていても、ストレスが解消されることってあんまり無いんです。
むしろ、考えすぎてしまって余計ストレスを溜め込むことにもなりえます。
「しんどいなあ・・・何もしたくないなあ」って家でぼーっとしてると、ついつい考え事をしてしまって、かえって疲れてしまった経験をお持ちの方も少なくないんじゃないでしょうか。

具体的な方法になると人によって合う、合わないもありますし、自分の状態によっても変わってきますから、「これぞ、決定的!」って方法はありません。
だから、まずは少し抽象的な方法を自分なりに見つけ出してみると良いのではないでしょうか。

つまりは「“好き”を探す or 実行する」とか「“楽しい”ことをする」とか。
今自分が何をしてると“安心できる”のかなあ?なんて考えてみるとか。
あるいは、もっと基本的に「自分の気持ちを見つめてみる」とか。

でも、ストレスが溜まってしまってからではなかなかいいアイデアが浮かぶこともないですから、今のうちから探して、手帳などに書き溜めておくことを僕はお勧めしています。

現代社会に生きる以上、何らかのストレスは抱え込みやすいものですから、そこから目を背けるのでなく、きちんと向き合いたいですね。

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