「怒り」を感じてみよう!!

人によっては自分が「怒る」ことを非常に嫌うことがあります。

しかし「怒り」を抑圧していても苦しいばかりです。誰もが自然に感じるこの「怒り」という感情を見つめて、それを解放していく方法と「怒り」の下にある感情を癒して、幸せに近 づく方法を解説します。

カウンセリングをしてると、
「怒り」と言う感情を表現することが、苦手な方が多くいらっしゃいます。
自分はこんなことで怒るようではいけないと感じていたり、
恥ずかしい事だったり、みっとも無い事だと感じている人もおられます。

もちろん「怒り」を感じることは、決していい気分ではないですが、
抑圧してしまっていると、とても苦しくなってしまいますし、
憎しみなどの強い感情に変形して、また、そんな感情を感じる自分を、
責めてしまうことまであります。

しかし、カウンセリングではこの「怒り」と言う感情が、
その人の癒すべき痛みの場所を示す大きな指針であったりもするのです。
自然な感情として認識すれば、「怒り」を解放していくことも、
また、心の深いところにある痛みを見つけ、癒していく事も出来るのです。

今回は、この「怒り」という感情にフォーカスして、
この感情の認識を深めていきましょう。

●「怒り」は私達のごく自然な感情

さて、私達が普段「怒り」を感じる時とは、どんなときでしょう?

誰かから不当な扱いを受けたり、傷つけられたりすれば、
私達の心は、自然に「怒り」を感じます。

自動車の運転をしていて、急に前に割り込まれたりすれば頭にきますし、
急いでいる時に、銀行のATMの長い列に並んでいて、
誰かが順番を抜かしたとしたら、激しい怒りを感じますよね。

また、愛する人に裏切られたり、自分が大切に扱われてないと感じれば、
まずは、怒りが込み上げてきます。

ずっと長い間、相手に求めているものがあったのに、
それを全然理解されなかったり、与えてもらえなかったとすれば、
私達は「あきらめ」という感情に達してしまいます。

長年連れ添ったパートナーに対して、
「あの人にそれを求めるのは、もうとっくにあきらめました」とか、
「だんなはそういったことを理解できない人ですから(きっぱり!)」

こんなお話を聞いていると、何かその人の中に怒りを感じますよね。
「あきらめ」と言う感情も、実は怒りの感情なのです。
欲しいものがずっと与えてもらえず、心の中はずっと「怒り」がくすぶっているのです。
このように「怒り」という感情は、
誰しも、傷つけられたり、長い間がまんしていると、自然にでてくる感情です。
そんな時、私は怒っているんだ。という認識を持つことから始めてみましょう。

●「怒る」事を禁止する心理とは?

とは言っても、自分が怒っているということを、
なかなか認められない、認めたくない心境もあるのです。

例えば小さい頃に、この「怒り」という感情に極端に嫌な思いをしていたら・・・

父親がいつも怒鳴ったり、機嫌が悪かったりすると、
子供達はいつもこの「怒り」という感情に恐怖を感じています。

そして、心の中では「怒り」という感情が誰かを傷つけたり、
脅かしたりするものだと認識しても、おかしい事ではありません。

そうすると、この人を傷つける「怒り」という感情を、
自分自身が感じることを極度に抑圧してしまいます。

「怒り」を表現する父親を心のどこかで批判していて、
自分も「怒り」を感じることが、いけないことだったり、
情けないことだと感じて、自分の中で強く禁止してしまうのですね。

私達が過去において、自分の周囲の人の感情表現で嫌な思い繰り返してくると、
極端にその感情をも嫌ってしまいます。
そうすると自分の中の自然な感情をも、抑圧してしまいます。

「怒り」という感情だけではなく、私達が感じるあらゆる感情は自然なものです。
問題なのは、その感情があることではなく、
感情の表現方法によっては、人を傷つけてしまったり、
また自分を傷つけてしまったりしたと言うことなのです。

このことをもう一度、再認識して、
自分があらゆる感情を感じることを、少し自分に許してあげましょう。

●「怒り」の解放

「怒り」を認識できても、うまく感じれないでいる場合や、
「怒り」は感じれていても、ずっと頭から離れない場合など。
「怒り」を認めること、感じることが出来たとしても、
感じ続ける事は、しんどいことですよね。

ではどのようにしたら、この「怒り」を解放して減らして、
楽になっていくことが出来るのでしょう?

様々な方法があると思います。
・「スポーツやカラオケで発散」したり、
・「枕に顔をうずめて怒鳴って」みたり、
・「一人車の中で叫ぶ」のも結構効果があります。

現代人は、今の社会で生きている中、知らず知らずにストレスや怒りを溜め込みます。
自分自身で普段、手軽に怒りを解放する方法を探しておく事も必要かも知れませんね。

効果的な方法は、やはり誰かに聞いてもらうことです。
人にその「怒り」を共感してもらえたり理解してもらうことで、
ずいぶんと楽になり、穏やかな気持ちに戻れるものです。

例えば・・・

僕が一人であるレストランに入って、
大好物のハンバーグステーキを注文したとしますよね。
そこのハンバーグはとてもお気に入りで、毎回すっごく楽しみに食べに来ています。

だけど今日は、30分待っても、1時間待ってもハンバーグは運ばれてきません。
後から入ったほかのお客さんのところには、次々と料理が運ばれてきます。

少し不安になって店員さんに尋ねたところ、慌てて厨房に戻って確認してきます。
そして、「すいません、あいにく今日はハンバーグは売切れてしまいまして・・・」
なんて言ったとしたら!!

劇画の世界だったらきっと・・・
僕の頭はふっとんで天井を突き破ってしまいますよね(笑)

でも僕が、こんなことで怒るなんて大人気ないって感じて、
「じゃあ、もういいです」とだけ言って店を出たとします。

もちろん、僕の腹の中は怒りで煮え繰り返ってますよね。
そのまま一人で家に帰って食事を作っていても、その「怒り」は収まりません。
次の日になっても、その店の前を歩くことさえ避けるかも知れませんよね。

でも帰り道、友人に会ってその話を聞いてもらったとしたら、
友人 :「それはひどいよねえ。私だったら店長呼びつけて怒鳴ってるわ(怒)」
「何で注文受けた時にちゃんと確認しないのかしら!(怒)」
「それは頭に来て当然よ!」

友人は、ゆっくりと僕の話を聞いてくれて、僕の「怒り」を理解してくれたら、
僕の中の「怒り」は、少しずつ解放されていきます。

そしたら、注文を受けた店員さんが初めてみる顔で新人さんだったこと。
いつもより店が込み合っていて、全ての店員さんが、てんてこ舞いだった様子を、
思い出すかも知れませんよね。

そのあと二人で、別のレストランに食事に行ったときには、
すっかりそのことは、頭から忘れているでしょう。

「怒り」を禁止までしていなかったとしても、
私たちは「怒り」を感じること自体、どこかでいけないことのように感じています。

そんな時は、人に解ってもらうこと、
そして一緒に共感してもらうことで、私達の心は癒されていきます。
そしてその苦しい怒りを解放していく事につながっていきます。

●「怒り」は癒しの入り口

上記の話は日常生活での「怒り」でしたが、カウンセリングで扱う「怒り」の中には、
その「怒り」の下に、その人の大きな痛みがあることがあります。

言い方を変えると、私達は自分が感じて続けている色んな感情(寂しさや悲しさ)を、
覆い隠すために「怒り」という感情を持ってしまっているのです。
「がまん」という感情も、「怒り」と同じエネルギーなのですね。

あなたが今、ものすごくお金で困っているとします。
頑張っても頑張っても、充分なお金を手に出来ずずっと苦しんでいるとします。

そんな時、ふと手にした本の一行、
「本当に望めばお金はいくらでも手に入る」なんて言葉に、
はじめ頷いていても、その通りにお金が入ってこなかったとしたら、
「なんでやねん(怒)望んでも望んでもまったく手に入らないじゃないか!!」
って怒りを感じてしまうでしょう。

あなたが、ずっと両親からの愛を感じてこれなかったとしたら、
ある人が言った「両親の愛を受け取る事から幸せを手に出来る」と言葉に、
激しい怒りを感じるかも知れません。

誰も自分のことを理解してくれる人なんていないと、ずっと感じていたら、
「あなたが人を理解したとき、あなたが本当に人から受け入れる」
なんて言葉を素直な気持ちで聞けるでしょうか?

私達が感じるこの「怒り」の下には、
本当は癒されるべき感情がたくさんたくさん埋もれています。

頑張っても頑張っても手に出来ない悔しさや苦しさ、
愛されたいと願っていたのに、それがなかった深い悲しみ。
誰かに解って欲しいと切望していたのに、そうでなかった寂しさ。

いっぱいいっぱいの痛みを溜め込んで、
その痛みにもう耐えられなくなって、
「怒り」と言う感情で、覆い隠しているのです。

そして実は、その痛みと怒りという感情が、
あなたが本当に欲しいものを手にすることをずっと拒ませているのです。

自分がずっと感じ続けていた痛みを、怒りで抑圧するのではなく、
その感情を人と分かち合って、癒すことが出来た時、
本当に欲しかったものを手に入れることが可能なのです。

●「怒り」を認識すると

私達が「怒り」という感情を感じることを自分に許せた時、
その表現方法を、たくさん手にいれることが出来ます。

「怒り」に耐えられなくなって、それを人にぶつけてしまうことなく、
「私は怒っている」ということを、穏やかに人に伝える事も出来ます。

また「怒り」のその下に隠されている感情、それを伝えることも出来ます。
「すごく今寂しい」「それが私には絶えられないほど悲しい」

そして「怒り」ではなく、本心を伝える事も出来ます。
「私はずっとあなたから、これが欲しかったの」
「私はあなたに愛して欲しい」

「怒り」を受け入れて、その下にある感情に向かい合えたとき、
人との距離と、あなたが欲しいものとの距離を、埋めていく事が出来るのです。
そして、あなたがもう一度再生して、幸せを手にしていく方法を手に出来るのです。

この記事を書いたカウンセラー

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