過保護・過干渉がもたらすもの(3)~癒着が生み出すお母さん優先主義~

過保護・過干渉の状態は、母子癒着といった非常に近い人間関係を作り出します。

恋愛では無意識に彼よりもお母さんを優先したり、障害のある恋愛に陥り易くなるなど様々な問題が出てきます。
しかし、そんな問題の一方で、過保護・過干渉では「守られている」という感覚を無意識に持つので、安心感が強くあって、自分がない感覚を持ったり、新しい道に踏み出す勇気が持てなくなったりするのです。
ですから、そこから抜け出し、自立していくことが求められているのです。

●過干渉がもたらす「癒着」という問題

こうした関係は「母子癒着」という大きな問題を作ってしまうんです。

ヒロユキコさんの恋愛でもあるように、彼氏よりも常にお母さんを優先させてしまうんですね。
もちろん、そんな意識はありません。でも、「早く帰らないとお母さんがうるさい」などの思いで結果的に彼を後回しにしてしまうわけです。

もちろん彼氏は、自分よりもお母さんを大事にされているように感じて寂しくなるんです。
そうすると、フリーな人とはうまく行きにくくなります。

となると、相手に他の本命がいる人の方が実に“都合が良い”ことになってしまうんですね。
これはパートナーシップのバランス感覚に由来します。

つまり、

ヒロユキコさん + お母さん > 彼氏

ではバランスが悪いので、

ヒロユキコさん + お母さん = 彼氏 + 本命ちゃん

という関係性を無意識に探してしまうんです。

仮にフリーな人を選んだときも、自分と同じように親と癒着しているタイプだったり、仕事と癒着しているタイプ(すなわちハードワーカ)だったりして、常に障害のある恋愛の方が不思議と“落ち着く”ような気がするんです。

つまりは、

ヒロユキコさん + お母さん = 彼氏 + 障害

※障害=ハードワーク、お母さん、遠距離、不倫

というバランスですね。

一方、仕事に対してはまったくうまく行かないか、あるいは、ヒロユキコさんのように程よくこなせることが多いようです。

お母さんに気を使ってきた分、目上の人に嫌われない術は十分習得してきているので、案外職場ではかわいがられたり、自然とお局様のポジションが確約されたりするのです。
ただ、自信がないので、新しいステップに踏み出すことはとても苦手になりますし、人間関係では気を使いすぎて疲れてしまうことも少なくありません。

こうしたパターンの元では、なかなか自分というものを持てませんので、新しいステップに踏み出したり、成長していくことに凄く怖れを抱きます。

※仕事についてはお父さんとの関係も重要なので、全然うまく行かないケースも少なくありません。

●過保護・過干渉ということは守られている、ということ。

実はここが肝心なのですが、たくさん干渉されて苦しい面はあるけれど、常に守られてきた、常に見てもらってきたので、その点での安心感があるんですね。
だから、完全にお母さんを手放して、自由になることに対して強い抵抗を感じるようになるのです。

自分ひとりでは何もできない、と思うので、何かを決断すること、実行する事にすごく抵抗を感じます。
そして、自分の選択は間違っていると思うので、誰かの判断がないと動けなくなってしまうんですね。
つまり、自由意志が持てず、自分自身を見失ってしまうんです。
だから、こうした癒着がある状態では「自分がない」「自分の意見が分からない」といった問題がよく生まれてきます。

これは自分自身でもストレスを感じますから、自己嫌悪がすごく強くなります。
そして、ますます自分はダメだという悪循環にはまりこんで、行動に移せなくなるのです。

●解決のための準備。

さて、そんな癒着に雁字搦めになってしまうと、なかなかそこから抜け出すのは困難を極めます。
なんせ、生まれてからずっと一緒にいる相手ですから、凡その手は読まれてしまいます。
また、過干渉というのは、せっかく築いた心の防波堤を何度も何度も越えられたようなもので、私の世界をめちゃくちゃにされた、という心の痛み(被害者意識)も強いので、お母さんに対する恨み辛み憎しみが強くなります。

とはいえ、先に紹介したような守られてる安心感からか、離れたいけれど、離れられない、苦しいけれどもどうしようもない、といった追い詰められている感覚を持つようになるんです。

だから、ヒロユキコさんにとっては、「お母さんと向き合う事」そのものが禁忌(タブー)であり、いかに逃げるか?を考えてしまうんです。

ちなみに私は、この逃げたい気持ちが高じて世界中を逃げ回っている方を何人か知っていますが、今の時代は電話やインターネットですぐに繋がりますから、いくら体を遠ざけたとしても、心が癒着の状態では同じことが繰り返されます。

ある女性はヨーロッパやアジアを逃げ続け、辿り着いたアメリカでも、ほぼ毎日のようにかかってくる電話に悩まされ続けていました。

だから、心理的に距離を取ること、すなわち、お母さんを手放す(卒業する)ことが、一番求められるんです。

人生の軸をお母さんだったり、その時々の彼氏にしてしまっていたは、人生が楽しめなくなり、苦しくなる一方なのです。

それは自分自身が大人として成長することであり、一人の人間としてほんとうに自立していくことなのですが、ずっと支配関係でもある癒着の状態では、それは困難な道に感じられてしまいます。
そうして、人生をどこかで諦めてしまうのです。

でも、それが癒着の最大の罠。諦めてしまったら終わりです。
何度も来る「もうダメ。逃げられない。手放せない」という思いを乗り越えて行くプロセスが必要です。
でも、それを一人でやる必要はないのです。

>>>『過保護・過干渉がもたらすもの(4)~癒着を手放して新しい自分へ~』へ続く

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