誰かをバカにするときの心理

誰かをバカにしてしまう場合には、いくつかの異なった心理パターンがあります。

自分のステータスを作りたい場合は、相手をバカにしてあたかも勝っている(負けていない)自分を感じるようにします。
権威を持っている人を遠ざける(「権威との葛藤」と呼びます)場合は、権威者をバカにします。心の中に権威ある人に対する厳しい観念やルールがありますが、自分自身が権威を受け取る怖れが隠れています。

相手に自分が禁止している事や抑圧している事(「シャドー」と呼びます)を見い出している場合もあります。相手に怒りをぶつける代わりに、相手を見下すことで心のバランスを取ります。その禁止や抑圧はその部分に過去に傷ついた自分を感じており、過去の自分を否定するために相手をバカにしています。
誰かをバカにしているとき、心のどこかで自分自身をバカにしています。そのような切り口で見ていただくと、人をバカにする理由が見つかるかもしれませんね

◎リクエストを頂きました◎
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私は人の事をバカにしてしまいます。
特に、要領の悪い後輩にはイライラしてしまいます。

気を付けようと、丁寧に仕事を教えても、やはり、心の底で人のバカさ加減に呆れてたりして、相手も私がそう思っている事を感じてると思います。
誰に対してもそういう部分があるので、心理的な一因があるのではと、貴社の心理学講座を読んでみましたが、いまいちピッタリくる説明に出会えません。

そこで、「人の事をバカにしてしまう心理」の講座をリクエストします。
毎週、メルマガも読んでいまして、だいぶ気持ちも安定してきましたが、まだまだ精進は続きそうです。
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誰かをバカにしてしまう場合には、いくつかの異なった心理パターンがあります。

先ず最初の心理パターンは、自分のステータスを作りたい場合です。
人間は、自分に自信がないとき、とても不安になります。

自信が無いときには、「自分は駄目なんじゃないか?」「自分は頑張ってないんじゃないか?」あるいは、「あいつに負けているんじゃないか?」などと思ってしまいますね。
そんな時には誰かと競争して相手をバカにすることにより、あたかも勝っている(負けていない)自分を感じる事で、自分のステータスを作り出して安心感を得ようとします。

この場合は、直接バカにしている相手と競争しているときもありますし、自分が所属している集団(国であったり、世間であったり、世代であったり。また会社や家庭やコミュニティーであったりと様々です)に所属する人達と競争している場合もあります。あるいはその双方と競争している場合もあります。

次に、何らかの権威を持っている人を遠ざける(「権威との葛藤」と呼びます)方法として、直接的にその相手をバカにするという場合もあります。

権威の対象としては、両親や学校の先生、社長や議員など人によって様々です。
ポピュラーなのが、「先生のくせに」や「社長のくせに」などですね。
これは、自分の心の中にそのような権威ある人に対する「こうあるべき」という厳しい観念やルールが存在していて、そのような人達がそんな事行うべきではないという批判なのですが、そして社会通念上もっともな場合もあるのですが、実はこの裏側に自分自身が権威を受け取る怖れが隠れている場合もあります。

その怖れは、「私はそんなに立派な人間ではない」と感じる心があって、権威を持ってしまったら、自分はそんなに立派にできないとか、批判されてしまうに違いないという怖れがあります。
だから、そのような権威を受け取らないで済むように、権威のある人間をバカにするのですね。先の自分のステータスを作りたい場合とも通ずるのですが、やっていることは先の場合とは全く逆で、自分の上の人を引きずり下ろすことで、自分を守ろうとしているのです。

第3の例は前の2例とは全く異なるケースなのですが、バカにしている相手に自分が禁止している事や抑圧している事(「シャドー」と呼びます)を見い出している場合です。
人間は、自分が禁止していること、こうなってはいけないと感じることをされると、腹がたつものです。そんなとき、相手に怒りをぶつける代わりに、相手を見下す、すなわちバカにするということで心のバランスを取る場合があります。

例えば、自分の中で「要領が悪くてはいけない」という禁止をしていたとしましょう。そんな時に、目の前に要領の悪い人間がいたとします。そうすると、イライラして腹が立ってきますね。しかし一方で怒ってはいけない、という心理も働きます。そのイライラする気持ちを、相手をバカにするという少し緩やかな怒りとして発散するのですね。

シャドーによる場合は、その禁止や抑圧は過去の自分自身の心の傷つきから生まれています。
心のどこかで、過去に傷ついた自分自身を感じていて(真実がそうであったかどうかは別としてそう感じていて)、それを目の前で見せられるので腹が立ち、過去の自分を否定するために相手をバカにしているのです。

最後に、ほとんどの場合、誰かに対して抱いている気持ちや取っている行動というのは、実は自分自身に対する気持ちや行動なのです。
人に対して優しい気持ちを抱いているときは、自分に対しても優しい気持ちで接しています。逆に、人に対してネガティブな気持ちを抱いているときは、自分自身に対してもネガティブな気持ちを抱いています。

この法則を当てはめると、先の3例全てがそうなのですが、人をバカにしている時には、自分自身を心のどこかでバカにしている事になりますね。

以上、3つの例を取り上げましたが、誰かをバカにしているとき、心のどこかで自分自身をバカにしているのだという切り口で見ていただくと、人をバカにする理由が見つかるかもしれませんね。

 

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大谷 常緑

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。