社会の中で問題を生じさせる罠

人は、様々な事情で行き詰まった感じがしたり、厭世観(えんせいかん)を持って絶望してしまったりする事があります。

いずれの感情も、実はたくさんの情熱を持っていながら、うまくそれを出せる場所が見つからず、そのやり場に困っている状態なのですね。
そんな時に、情熱を注ぎ込めるような何かが見つかったとしたら、そこに情熱のエネルギーを注ぎ込みたくなるのは当然の事だと思います。

でも、それにのめり込んでしまい、問題が生じるような状況をつくり出してしまうとしたら、それは自分自身の心の中にある無価値感や罪悪感といったネガティブな感情を打ち消したいというニーズから生じています。
この罠から抜け出すためには、そのネガティブな感情を癒す事です。
人は、自分の悪いところばかりに着目しがちで、無価値感や罪悪感を感じてしまうのです。自分の良いところを探しはじめると、ネガティブな感情は癒されて、問題が生じないようになっていきます。

◎リクエストを頂きました◎
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私の両親は、ある宗教の信者なのですが、それだけでなく、(健康食品の)ネットワークビジネスにもよく手を出します。
それでいったいどれくらいの金額を損したのか分からないのですが、本人たちは真面目に、末期がんが○○ジュースで消えた、などという話を信じています。
話が奇跡的であればある程、心を打たれるようです。
こういうタイプの人は、どういう無意識や潜在意識があって、そうなるのでしょうか?
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人は誰しも楽しく、面白い人生を送りたいと思っています。
しかし、様々な事情でその感覚が得られなかったとしたら、人生に行き詰まった感じがしたり、厭世観(えんせいかん)を持って絶望してしまったりする事があります。
いずれの感情も、実はたくさんの情熱を持っていながら、うまくそれを出せる場所が見つからず、そのやり場に困っている状態なのですね。
そんな時に情熱を注ぎ込めるような何かが見つかったとしたら、そこに情熱のエネルギーを注ぎ込みたくなるのは当然の事だと思います。
それは例えば、仕事でも、スポーツでも、勉強でも、演劇や社会奉仕でも、あるいは恋愛でも同じです。
でも、それにのめり込んでしまい、問題が生じるような状況をつくり出してしまうとしたら、それは心のどこかにネガティブな感情を元にした動機が潜んでいるのかも知れません。
今回は、宗教とネットワークビジネスに関してリクエストを戴きましたので、この2つの事柄にスポットライトを当てて、それらに「のめり込む」心理や何らかの問題を生じさせる心理についてお話しをさせていただきたいと思います。

(1)ネットワークビジネスで得られるもの

ネットワークビジネスとは、その商品のメーカーや大元の販売店から商品を買って、自分の人脈を通じて商品を販売していく形態ですね。

その全てがそうではありませんが、ネットワークビジネスに参加する事で得られるものに共通的な事柄があります。
1.人の役に立つ、人を助ける
これは、良い商品をみんなに広げるとか、人にも利益が分配できるとか、病気が良くなるといった内容です。
2.利益
ビジネスですから当然利益を手にするわけですが、通常手にする事ができる利益よりも効率的に多くの利益が手にできるようにうたわれているケースが比較的多いのではないかと思います。自分が勧誘した子や孫の販売実績も利益還元される年金的なビジネスであったり、また、「普通の主婦が月収○○万円」といった例などを挙げて、「私にもできるかも知れない」と感じさせる例も見かけますね。
3.ステータス
自分も含めて、子や孫の販売実績等に応じてステータス(地位)を与えられたりします。

その他にも様々なシステムがあるようですね。

(2)ネットワークビジネスや宗教で問題をつくり出すとしたら・・・

ネットワークビジネスや宗教で手に入る事柄に繋がる何かが、自分には欠如しているという感覚が意識的または無意識的にある場合、それを手に入れたいと必死になります。この必死になるのが「のめり込む」状態です。

例えば、先に取り上げた「人の役に立つ、人を助ける」という事を例として考えてみましょう。これは、ネットワークビジネスでも宗教でも同じく手に入る事柄ですね。
人の役に立つ事は、普通に考えれば何ら問題のない事柄です。寧ろ暖かい感じがする事ですね。
しかし、もし「人に役に立つ私を感じたい」というニーズ(欲求)がそこに潜んでいたとしたらどうでしょうか?自分のためにその人を利用しているに過ぎませんね。そうすると、その事で人がどんな風に感じているか、どうして欲しいのか相手の事を見る事ができずに自分本位の行動になってしまいます。それが、問題を引き起こしてしまうのです。

この「人に役立つ私を感じたい」というニーズは、心の奥底に潜む自分には価値が無いと感じる無価値感や自分は悪いと感じる罪悪感から出てくる事がとても多いです。無価値感や罪悪感はとても嫌な感覚ですから感じたくは無いものです。それを感じないで済むように、打ち消すために、人に役立つ私を感じたいのです。

こんなニーズが心の中にあると、冷静に、客観的に物事が見えなくなってしまいます。
その結果、あり得ないような話であっても信じてしまうのです。また、場合によっては無意識的に自分は駄目な人間だと罰する感覚で、ついついあり得ないような話に乗ってしまう事もあります。

(3)ニーズを癒して自然体になろう

宗教やネットワークビジネスに限らず、社会と関わる中で発生する問題の多くは、無価値感や罪悪感といったネガティブな感情から解き放たれる事を目的として、それを打ち消すような感覚を感じたいというニーズから生まれます。

この罠から抜け出すためには、その根源ともいえるネガティブな感情を癒す事です。
そうすれば、自然体になれて、相手の状況や周囲の状況を冷静に、客観的に見る事ができるようになれます。

では、ネガティブな感情を癒すにはどうすればいいかと言いますと、先ずは自分自身の価値を受け取る事から始めてみることです。
人間は、誰しも良いところが沢山あります。しかしながら、悪いところばかりに着目しがちです。だから、無価値感や罪悪感を感じてしまうのです。
視点を切り替えて自分の良いところを探しはじめると、ネガティブな感情は癒されて、問題が生じないようになっていきます。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大谷 常緑

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。