子は親の鏡

相談者名
ラリマー
こんにちは。

いつもコラム等を拝読していて、また自分や周りのことを見ていて思うのですが、子供が悩んでいることって実は親の課題だったりすることって多いですよね。子供が愚痴が多いと親も実は愚痴が多かったり、子供が友達関係で悩んでいたりすると親も同じようなことで悩んでいたり。

それこそ子供のアレルギー系の疾患も、実は親の影響(遺伝的なことだけでなく精神的なことも)があったりすると聞きました。

そういう親子の不思議、というかしくみを詳しく教えてください。

相談というよりコラムのリクエストです。

カウンセラー
三島桃子
ラリマーさん、はじめまして。今回担当させていただく三島桃子と申します。どうぞ
よろしくお願いいたします。いつもコラムなど読んでいただきまして、ありがとうございます!

>親子の不思議、というかしくみを詳しく教えてください。

とのことですが、私自身、親との関係でずいぶん長い間悩んでいました。また、我が
子(現在小学3年生の男の子です)との関係でも考えさせられることがたくさんあり
ました。今は親との関係も、我が子との関係も、そこそこいい状態になってきました
が、悩みの真っただ中にいる時はかなりしんどい思いをしたものです。でもそのおか
げで、いろんなことを学びました。

そういった自分の経験も折り混ぜながら回答させていただきたいと思います。

(今回は、思春期前の子どもとその親のことを主に取り上げたいと思いますのでご了
承ください。子どもが思春期を過ぎると、子ども自身が大人の年齢になってくるた
め、基本は同じですが考え合わせないといけない要素が少し変わってきますので。)

コラムでも、またカウンセリングサービスのHP上の心理学講座などでも、「親子関
係はすべての人間関係の基礎になる」ということがよく出てくるかと思います。これ
は、人が生まれて最初に経験するのが「親との関係」であって、そこを土台にして人
間関係を築いていくからです。

そういう意味では、親子関係も人間関係であって、その他の人間関係にも言えること
が親子関係にもあてはまるわけです。そして、他の人間関係より結びつきが濃いだけ
に、影響力も強くなると言えるでしょう。

親子の結びつきが強いことは誰でもわかることだと思いますが、一般的に見落とされ
がちなことは、すべての子どもは「親のことが大好き」というとても強い愛を持って
いる、ということです。この思いは、親がいなくては生きていけない弱い存在である
子どもが、自分の命を守るために本能的に持つものかも知れません。

本能、だと考えると、少し味気ない感じがするかもしれませんが、本能だけで終わら
ないのが人間という存在です。本能から始まったことでも、そこに「魂の結びつき」
とも言えるものがあるのだと私は考えています。

親との強い魂の結びつきを感じている子どもが、「パパ、ママ、大好き!」と強く
思ってくれるとしたら、親としては何か胸が熱くなる感じがします。親ももちろん我
が子との深い結びつきを感じていて、いっしょうけんめい育てるわけです。そこには
「思い合う大きな人間と小さな人間」の姿がありますよね。子どもの存在がもたらす
「両想いの関係」、それが「親子関係」の特別さかもしれません。

>子供が悩んでいることって実は親の課題だったりすることって多いですよね。子供
が愚痴が>多いと親も実は愚痴が多かったり、子供が友達関係で悩んでいたりすると
親も同じようなこ>とで悩んでいたり

本当に、こういうことってよくありますよね。子どもは生まれてからずっと、親のや
り方を見ていろいろなことを覚えていきます。いいとか悪いとかそういう判断基準を
子どもは最初は持っていませんから、単純にまねをします。大好きなパパやママのま
ねをするんですね。

親でなくても、人間は大好きな人のまねをしたくなる心理があります。あんなふうに
なりたい!と思うからでしょう。どんな親でも、幼い子どもにとってはあこがれの存
在なのです。

親が愚痴が多いと、子どもは「そうするものなんだ」と、当たり前にその行動をまね
ます。友だち関係の作り方にしても、親のやり方を無意識にまねてしまうので、親が
友だち関係でうまくいかない部分があるとすると、同じことが子どもにも起こりま
す。同じような行動パターン、同じようなこだわりを持っているとしたら、まさに、
子は親が鏡に映った姿になります。

>子供のアレルギー系の疾患も、実は親の影響(遺伝的なことだけでなく精神的なこ
とも)が>あったりすると聞きました。

病気に関しては、親から受けるストレスに関係がある場合があるかもしれませんね。
これも、「親のことが大好き!」だからこそ起こるストレスです。

怒りのストレスが溜まると肝臓疾患につながる、ということが言われたりしますが、
例えば、両親が夫婦ゲンカばかりしていると、子どもが肝臓疾患を起こすケースもあ
るそうです。両親の感じている怒りの感情を子どもも無意識に一緒に感じてしまうん
ですね。

どこかの知らない大人がケンカをしていてもこんなことは起こらないのですが、大好
きなパパとママのケンカとなると、子どもにとっては一大事です。だからこそストレ
スにもなり、病気につながるんですね。

また、ぜんそくは両親、特にお母さんとの関係から起こることもあるようです。お母
さんが過干渉な場合など、子どもは、「お母さんのいう通りの子どもにならなけれ
ば、期待に応えなければ」と思ってしまったりします。そうすると、本来のあるがま
まの自分というものを抑えつけてしまうので、苦しくなってしまいます。そのストレ
スが、ぜんそくという形で出てくることもあります。大好きなお母さんだからこそ、
期待に応えたいんですね。

実は私の子どもも、小学校に入学するころ花粉アレルギーからぜんそくになりまし
た。アレルギーに加えて、私が過干渉だったことが症状を重くしたのではないかと思
います。

(人間はさまざまな病気やアレルギーの因子を遺伝子という形で持っていますが、必
ず発症するというわけではありません。親子関係のストレスに限らず、何かのストレ
スと、持っている病気の因子が重なって発症となるケースも多いようです。ぜんそく
も、ほこりやダニなどのアレルギー因子を持っていて起こることが多いですよね。)

子どもの時にぜんそく、中耳炎など、しつこい慢性疾患になやまされていても、思春
期ごろを境に症状がなくなる、ということは割合多いようです。思春期に両親からう
まく自立できた場合に、親との適度な距離が取れて、子ども自身が「親は親、自分は
自分」という感覚を持てるようになり、親子関係から起こった病気が治まっていくの
かもしれません。

親子関係の不思議の裏には、親の子どもへの愛、子どもが親を思う愛、があるんです
ね。いろいろな課題や問題も、すべては愛ゆえ、とも言えそうです。

このように、親子は強い結びつきを持っているわけですが、そうとは思えない親子も
いますよね。子どもを愛していないかのような行動を取る親もいますし、幼い頃はと
もかく、大きくなってくると、子どももそんな親を嫌いだと思ったりします。

でも、我が子への愛がない親はいません。ただ、その愛を上手に表現できないような
状況というものがあるのです。もともと親が嫌いだという子どももいません。いろい
ろなことがあって、傷ついて、「もう親なんか愛するものか」と思ってしまうので
す。

最後に、親子関係から起こってくる課題や問題、病気などを乗り越えていくにはどう
したらいいか、ということについて触れたいと思います。

ポイントになるのは、親が子どもの愛に気付くことです。親である自分を、子どもが
どんなに慕っているか、頼りにしているか、どんなによく見ているか。そしてそれ
は、シンプルに、親のことが大好きだからなんだ、ということに気付いた時、親自身
の行動が自然に変わります。愚痴ばかりだった人がそうでもなくなったり、過干渉が
少なくなったり、その他問題が小さくなったりします。

子どもの愛をしっかり受け取ることができたら、ハートが温かいものに満たされ、余
裕が出てくるんですね。余裕がない時とある時では、行動は違って当然ですよね。

そしてもちろん、親が変われば、子どもも変わります。親のことはよく見ているし、
目でみるだけでなく、感覚全体で親の雰囲気などを感じ取っていますから。

でも、頭でわかっても、子どもの愛を受け取る気持ちになれないこともあります。そ
の場合には、親とその親との関係などが関わっていることが多いです。カウンセリン
グの現場では、そういったことを丁寧に取り扱っていきます。

ラリマーさんのご要望にお応えできていたら幸いです。
ご相談ありがとうございました。

三島桃子

この記事を書いたカウンセラー

About Author

退会しました。