頼んでいないのに繰り返しアドバイスしてくる人への対処法~「心理のワナ」に気付く~

「頼んでいないのに繰り返しアドバイスしてくる人」に悩まされたことはありませんか?たとえアドバイスの内容が正論であっても、本来このような行動はマナー違反なのです。私たちは気持ちが安定している状態であればそのことがわかるし、そういうことはしないものです。

ではなぜその人はそのような行動をとるのでしょうか?また、相手のそういう行動を受け入れてしまう(止めることができない)としたら、それはどうしてなのでしょう?気持ちが安定していれば、「こんなマナー違反は受け入れる必要はない」という感覚を持てるので、自然に自分を守る行動をとることができるのです。

どうやら、「頼んでいないのに繰り返しアドバイスしてくる人」も、「それを受け入れてしまう人」も、それぞれに「心理のワナ」にはまっているようです。それはどんなワナなのでしょう。そして、この状況を変えていくためにはどうすればいいのでしょうか。

◎リクエストを頂きました◎
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よかれと思ってアドバイスしてくる人への対処法を教えてください。
我が家は兄弟の仲が良くないのですが、この点について、兄弟とは連絡を頻繁にとるべきだ、兄弟仲がいい○○さん(共通の知人)を見習うべき、などと言ってくる友人がいます。

私としては、別の家庭と比較されても困りますし、何より家族間の問題は私自身が昔から悩んできた問題なので、事情を知らない第三者にあれこれ言われた所でうんざりするだけなのです。ただしその一方で、家族仲良くというのは理想的ですし、それができていないのは自分でもすごく嫌です。

世間的には口をはさんでくる友人が正しく、一般的物差しで測れば私の方が非常識な悪者なので反論することもできません。でも他人にこれ以上何も言われたくないのです。このような、“世間的には正しい”価値観で
アドバイスしてくる人にどう対処したらいいでしょうか。

(一部編集させていただいております。)
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リクエストをいただきありがとうございます。

こちらが抱えている問題に対して相手はよかれと思って繰り返しアドバイスしてくる。内容は世間一般的には正しい。でも正直気分が良くないと感じることってありますよね。そんな時はどうすればいいのでしょうか?

人にはそれぞれ事情があり、その事情は当事者以外にはなかなかわからないものです。私たちはそれをお互い何となくわかっているので、普通は頼まれでもしない限り相手の問題に対してあれこれアドバイスしたりはしないと思います。そんなことをするのは相手を嫌な気持ちにさせてしまう“マナー違反”だという認識があるのです。

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では、「頼んでいないのに繰り返しアドバイスしてくる人の心理」とはどんなものなのでしょうか。

頼まれてもいないのに繰り返しアドバイスする、ということは、実は、「そうしたい」という欲求がその人にあるということです。その欲求の下には、「自分は優れた人間だと証明したい」というような気持ちが隠れています。

もちろん本人も自分のそんな気持ちには気付いていません。表面意識では自分でも「この人を助けてあげなくちゃ」などと考えています。でもそこには、「この人は私より弱い(劣っている)」という感覚があります。そしてそのことで少し安心するのです。「私は少なくともこの人よりは強い(優れている)のだ」と。

ということは、実は自分に自信がないということでもあります。本当は、「私は劣っている人間なのではないか」というような不安を持っているわけです。そして、例えば誰かにアドバイスすることで「大丈夫、私はこうやってアドバイスもできる人間だ」と自分で確認してつかの間安心するのです。この人自身が「心理のワナ」にはまっていると言えるでしょう。もちろん悪気はないのです。この人にも何かの事情があるということです。

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一方、「頼んでもいないアドバイスを繰り返しされてしまう人」もまた、「心理のワナ」にはまっていることが考えられます。気持ちがしっかり安定していると、「いくら正論でもこんなふうにアドバイスされると嫌な気分だな」と感じると、話題を変えたり、やんわりと「アドバイスしないで」ということを示したりして自分を守れるのです。

リクエストの方の場合は、どういった「心理のワナ」につかまっているのでしょうか。

考えられるのは、ご自分の抱えている問題のことでひどく自分を責めているということです。自覚がどの程度あるかはわかりませんが、無意識のところで「私は悪い存在なのだ」と強く感じているように思われます。

それが、「この人のアドバイスを聞くと嫌な気持ちになるけど、内容は世間一般的に正しい、私は世間的に見て悪い存在。悪い存在の私がこの人に反論できない…」という気持ちを生むのではないかと思います。

結果的に、アドバイスを拒否できず、相手は自分の言っていることが受け入れられているように感じ、アドバイスしてもいいと勘違いしてしまうのでしょう。

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この状況を変えていくための、行動面でのポイントと心理面でのポイントをあげてみたいと思います。

行動面のポイント

最初の方でも触れましたがが、「頼まれもしないアドバイスを繰り返す」というのは、その内容が正しいか正しくないかに関わらず、本来“マナー違反”なのです。

マナー違反を繰り返す人に対して、通常、私たちはできるだけ会うのを避けたり、距離をとって接触を少なくすると思います。この場合もそうしていいのです。友人関係の中で距離をとりにくい場合は、相手の言うことをスルーするようにしてもいいでしょう。適当にうんうんと言っておいて、返事はしない、次の話題に移る、というふうにすると、相手も次第に「スルーされてるな」ということに気付き、アドバイスを自然にやめることもあると思います。

相手との間に信頼関係があれば、「家族のことは話すとつらくなるので、心配してくれるのは有り難いけどそっとしておいてほしい」ということを伝えてもいいかもしれません。

とにかく、“マナー違反”はやめてもらっていい、ということが大切なポイントです。もし相手が行動を変えない場合も、「これは相手のマナー違反なのだ」とわかっていれば、自分の心の負担を小さくできます。

 

心理面のポイント

抱えている問題のことで自分を責める気持ちを小さくしていけるといいですね。家族問題には様々な背景があります。父母や祖父母の世代から連鎖している要因が関わっていることも多く、自分でも案外全体像はつかめていないものです。ある意味、家族の一人ひとり、誰も悪くはないとも言えるのです。いろいろな事情の積み重ねで今の状況があるだけです。

問題の中身をていねいに整理していくと、自分や他の誰かを責めなくてもいいということがわかってきます。すぐに自分を責めるのをやめるのは難しいと思いますが、自分のことを「非常識な悪者」と思う必要はないということを知っておいていただけたらと思います。

(完)

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