ゆっくりに見える子どもの成長を、信じて待つということ

人前で挨拶が少し苦手だったり、話すことが控えめだったり、自分を表現する場面がまだ少なかったり。周りのお友達はできているように見えて、わが子だけがゆっくりに感じてしまい、ふと心配になる、そんなことはありませんか。

とくに、保育園や幼稚園、小学校に通いはじめ、集団生活が始まったばかりの幼児期から小学校低学年くらいの時期は、そんな子どもの姿がよりはっきりと目に入るようになります。

「このままで、うちの子は大丈夫なのかな」
「いつか、みんなのように発言したり、自分を表現できるようになるのかな」

そんな思いが浮かんできては、子どもの成長の速さを気にしてしまう、そんな親御さんの声を耳にすることがあります。それはお子さんに対して、これからの社会の中で自分の気持ちや感情を、その子らしくのびのびと表現し、安心して生きていってほしいという、親としての自然な願いのようなものなのだと思います。

とくに、この時期は、子どもとの心の距離もとても近く、彼らの姿を通して、親自身の不安や期待がそっと映し出されやすい時期でもありますよね。こうして、子どもの成長を見つめるとき、私たち親は自分自身の気持ちとも静かに向き合っているのかもしれません。

 

「他の子はできているのに」と思ってしまうとき

わが子の成長の速さが気になってしまうとき、その気持ちの奥をたどっていくと、周りの子どもたちの姿がふと目に入っていることに気づくことはありませんか。

・元気に挨拶をする子。
・自分の思いをのびのびと表現できる子。

そんな様子を見るたびに、「どうして、うちの子は同じようにできないんだろう」「私の育て方が、どこか間違っていたのかな」そんな思いが、胸の中にそっと浮かんでくることもあるのではないでしょうか。

私たちは、不安を感じているときほど、気づかないうちに周りと比べてしまうことがあります。そしてその比較が、「この先、大丈夫だろうか」という未来への心配へと広がっていくこともあるのです。

・できなかったらどうしよう
・このままで、困ることはないだろうか

まだ起きていないことを先に考えてしまうのは、それだけわが子を大切に思っているからこそでもありますよね。

 

成長がゆっくりに見えるのもその子の個性

こんなときは、少しだけ見方を変えてみるのもひとつの選択です。他の子と比べてゆっくりに見える姿の中には、周りの世界をどう感じ取り、どのように関わろうとしているのか、その子なりのスタイルが表れていることも少なくありません。

初めての場所。
初めて会う人。
いつもとは違う空気。

そんな場面に出会ったとき、すぐに動き出せる子もいれば、まずは立ち止まり、静かに様子を見ようとする子もいます。「ここは安心できるかな」「大丈夫そうかな」と、心の中で一生懸命感じ取っているのですよね。

表に出ていないからといって、何も感じていないわけではなく、むしろたくさんのことを受け取り考えているからこそ、言葉や行動に移るまでに少し時間がかかっているのです。一見するとゆっくりに見えるその時間も、子どもの内側では小さな準備が重ねられているのです。

 

「信じて待つ」ということ

比べなくていい。
急がせなくていい。
今の姿を、そのまま見ていていい。

そう頭ではわかっていても、「信じて待つ」ということは、私たち親にとって簡単なことではありませんよね。

子どものペースを大切にしようと思うほど、そわそわしてしまう日もあるかもしれません。比べるつもりなんてなかったのに、ふと周りが気になってしまったり。「大丈夫かな」と思いながら、どこかで急かしてしまう自分に気づいて、落ち込んでしまったり。うまく見守れた日はほっとするけれど、口うるさくなってしまった日は自己嫌悪してしまうこともあるかもしれません。

それらすべては、「できるようにしてあげたい」「困らない子に育ってほしい」そう願うほど、わが子を大切に思っているからこそだと思うのです。

だから、もし子どもの成長を「信じて待つ」ことができない日があっても、どうかそんなご自分を責めすぎないでくださいね。不安になりながらも、迷いながらも、それでも子どものことを考え続けている。その姿そのものが、もう十分に愛なのだと私は思います。

少し肩の力が抜けた親が、そっとそばにいてくれる。そのやわらかな空気は、言葉にしなくても、きっと子どもに伝わっています。

親が安心してそばにいてくれること。それ自体が、子どもにとって大きな安心感となり、やがて成長の土台になっていくのだと思うのです。

 

それぞれのペースを大切に

ゆっくりに見える歩みの中にも、すでに育っている力がたくさんあります。

慎重さ。
感受性。
まわりの空気を丁寧に感じ取ろうとする力。

それらは、すぐに目に見える形では表れないかもしれません。けれど、時間をかけて育まれているその力は、この先の人生の中で、その子を支えてくれる大切な土台になっていきます。

子どもも親も、「ここは安心できる場所かな」と確かめながら、少しずつ外の世界へ歩みを広げていく途中にいるのかもしれませんね。すぐに踏み出す一歩も、立ち止まって深呼吸をする時間も、どちらも大切な成長のプロセスです。

その歩みを、信じて待つこと。それは、子どもの未来を信じることだけではなく、これまで親子で積み重ねてきた時間そのものを、そっと肯定してあげることなのかもしれません。

立ち止まる日も、遠回りのように感じる日も、きっと大切な時間。
今日もそれぞれのペースで、歩いている途中なのだと思います。
お子さまと親御さん、それぞれのペースが、これからも大切に守られていきますように。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

来週金曜日は、池尾千里カウンセラーがお送りします。
どうぞお楽しみに。

 

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アラフォーから婚活を経て40代で再婚、出産、子育ての経験を活かし、「人生いつからでも幸せになれる」を信条に、クライアントが安心して自己実現の道を歩めるように全力でサポートする。温かく寄り添う姿勢から、「勇気が湧いてくる」「心が落ち着く」との声も寄せられている。夫と娘の3人暮らし。