“自分の居場所”がないと感じているとき、心で何が起きているのか

ふとした瞬間、胸の奥に「居場所がない」と感じることはありませんか。
人と一緒にいるのに、なぜか心が満たされない——その感覚は、あなたの心からのサインかもしれません。
外に答えを探す前に、まずは心の中をていねいに見ていきましょう。

居場所があると、人は安定する

「ここにいていい」と思える場所があると、人は自然と心がゆるみます。
肩に力を入れずにいられる空間や人がいるだけで、心と体は、安心感を感じてリラックスできたりしますよね。

居場所があるとき、人は無理に頑張らなくても、自分のままで過ごせます。
逆に、居場所がないと感じると、人は孤独感や不安感に敏感になり、外の世界を必要以上に気にしてしまうようになります。

居場所を探すとき、人がとる行動

居場所を失ったとき、私たちは心の安定を求めて行動したりします。

たとえば、

・行きつけのカフェにふらっと立ち寄り、誰かと話すでもなく、ただコーヒーを飲みながら過ごす。
・公園のベンチで本を読みながら、何も考えずに時間を過ごす。
・バーなどにでかけ、お酒を飲みながら、マスターとなんでもない話をして過ごす。

また、人によっては
自宅では落ち着けず、休日なのに会社へ出社して自分の席に座る──そんな人も珍しくありません。

その空間にいると少しホッとできる。
ここにいていいんだな。

その空間にいると少しホッとできる。
ここにいていいんだな。
そんなふうに感じられる場所や人を求めて、無意識に行動していたりします。

そうやって考えてみると、居場所を感じられることって「場所」や「人」に強い影響を受けるのではないかと感じるかもしれません。

私を安心させてくれる場所や人はどこにいるだろう。
ここじゃない。この人じゃない。また違った。
そんなふうに外の世界に居場所を求めて彷徨っています、なんて方もいらっしゃるかもしれません。

でも実は、心理学では
居場所を感じられるのは、その場所や人が「特別」だから、ではなく
自分の心とつながりを感じた時、なんて言われています。

カフェや公園、バーなどの場所が居場所を与えてくれているわけではなく
あなたがそこにいると、普段、横に置いていた自分とのつながりを感じることができるから、
居場所を感じられるのだ、と考えられてたりするのですね。

たとえば同じカフェでも、心に余裕があるときは心地よく過ごせるのに、気持ちが張り詰めていると落ち着かない・・そんなことってありますよね。

場所や他人が居場所をくれるのであれば、どんな心の状態でも、そこにいけば居場所を感じられるはず。

私たちが居場所を感じるためには
どこで、誰と過ごす、以上に「自分の心とちゃんとつながれている」と感じれるか、がポイントになるのですね。

居場所を取り戻すための第一歩は「心と向き合う時間」

居場所を取り戻すためのポイントは、自分の心と静かに向き合う時間をもつこと。
自分との絆を取り戻していきましょう。

たとえば、こんな小さなことからでもかまいません。

・いい・悪いの評価をつけずに、ただ心の声を受けとめる
・毎日頑張っている自分に優しい声をかけてあげる。労ってあげる。
・周りのことを気にせず、ゆっくりできる時間を1日5分でいいので作る。
・今何をしたいのか?何に疲れているのか?に気づいてあげる。

最初は何も感じられなくても大丈夫です。
少しずつ自分に向き合う時間を重ねていくと、距離は自然と縮まっていきます。

どう取り組んだらいいのか分からない、そんな方は「好きなもの」に触れる機会を増やすのがおすすめです。

音楽、マンガ、香り、景色、食べ物、人・・・内容は何でも大丈夫です。

「これ、好きだな」「美味しいな」「ここがいいな」「なんだか落ち着く」

そんなふうに五感や心が喜ぶものを、大切にしてみてください。

あなたの心を動かす「好きなもの」との小さな接点を増やしていくことで、自分との心の絆を取り戻し「私はここにいてもいいんだ」と感じられるようになってきますよ。

居場所は「与えられる」だけでは続かない

私たちはときに「居場所は誰かが与えてくれるもの」だと勘違いしていたりしますね。

パートナー、仕事、友人、趣味・・
たしかにそれらは心を満たしてくれる大切な要素ではあるのですが、自分の心との関係性で決まります。

どれほど理想的な環境でも、どれだけ優しい人に出会っても・・
自分自身を嫌っていたり、自分の心を置いてけぼりにしているときには、安心できる場所として感じにくかったりしますよね。

逆に、心とちゃんとつながっていれば、特別な場所や人でなくても、どこにいても、不思議と安心を感じられるのです。

居場所を感じられないとき、あなたの心は、ずっとあなたのことを待っています。

あなた自身に「ここにいていいよ」「どこにいてもいいよ」「私はあなたの味方だよ」と、居場所を与えてあげてくださいね。

少しずつ、その距離を近づけていくことで、居場所の感覚は外の世界にではなく、自分の中にふたたび戻ってきますよ。

安心できる居場所は、あなたの内側からつくり、関係の中で育てるものです。
今日できる小さな一歩から始めてみてくださいね。

参考になれば幸いです。

(完)

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛、対人関係の改善、自分が本当に望んでいる人生へのシフトチェンジへのサポートを得意とする。 特に「さびしさを笑顔に変えるカウンセリング」をテーマに掲げ、30代女性の生き方、恋愛・婚活サポートを精力的に行っている。 高い共感力を活かした「共に考え、併走する」カウンセリングスタイルが好評。