責められていると解釈するパターン 〜自分を責める心理が正体〜

 自分を責める心理が正体

人から責められていると感じがち、解釈しがちなことはありませんか?そんな風に感じている時、解釈している時はストレスになってしまい辛いですね。
そう感じること、解釈することは少ないほうがより生きやすくなると思います。自分を責めることを減らすことがその鍵となることがあります。

■責められていると解釈する心理パターン

今回は人から責められていると解釈する心理パターンのことを書かせていただこうと思います。
(*心理パターンとは、ある考えをしがちになるとか、ある解釈をしがちになるとか、ある方向に動きがちな心の動きの傾向のことです)

これから書くストーリーは、責められていると解釈する心理パターンのことを紹介するにあたって、ストーリー形式で説明する為に作った、創作のストーリーではありますがカウンセリングでは実際に良くあるケースのお話です。

同じパターン、似たようなパターンを持たれている方の何かの参考や、ヒントになれば幸いです。

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Cさんは、責められていると解釈してしまう心理パターンを持っていました。

例えば、
上司から
「Cさんに作ってもらったお客さまへの説明文だけど、ここんところは箇条書きにしたほうがスッキリする形になると思う」
と言われることがあったさいに、Cさんは責められていると感じました。

上司から説明文のことを言われている時に
『こんな簡単な仕事もまともにできないのか』
と言われているような感じがしながら上司の話を聞いていました。

その為、Cさんは萎縮しながら上司に「すみません」という言葉を連発して発っしていました。

「すみません」
という言葉を連発していると、上司はCさんに
「ミスしているわけではないから誤る必要はないよ。私は箇条書きにするとよりスッキリするって提案しているだけなんだから」
と言うのです。

Cさんは責められているわけではなかったのです!

上司が責めているわけじゃないにも関わらず、Cさんは責められていると感じていた!
こんなことは、上司と関係だけではなく、他でもたくさんありました。

同僚との関係でも、
友達との関係でも、
パートナーとの関係でもです!

他の人間関係でも相手に責められていると感じることがたくさんありました。

本当のところは、
相手はCさんのことを責めているのか?
相手はCさんのことを責めているのないのか?
その真意はわからずとも、Cさんは責められていると解釈してしまうのです。

相手がCさんを責めていないところでも、責められていると感じてしまうというのは損をしていると思ったCさんは、その感じ方の癖、解釈の癖を変えることをテーマにしていきました。

■責められていると解釈する正体は・・・

カウンセリングをしていてわかってきたことをは、人から責められていると解釈する心理パターンを作っていたものの正体は、CさんがCさんのことを責めているところにあることが分かってきました。

Cさんは、スムーズに行かないことや、上手くいかないことがあると「自分は未熟な人間だ」「ダメな人間だ」と自分のことを責める人でした。

自分のことをそのように思っていたので、先ほどの上司とのようなやりとりがあるとCさんの心の深いところで、
『自分が自分のことをダメな人間だと責めているように、上司もこんな簡単な仕事もまともにできないのかダメな奴め!と責めているんだろう』
というような心の動きが起こっていたのです。
(こういうのを投影と言います)

なぜ、Cさんは「自分は未熟な人間だ」「ダメな人間だ」と自分のことをそんな風に思ってしまうのか?
更に、その根っこをカウンセリングで見ていきました。

すると成育過程での家族との関係が関わっていることがわかってきました。

Cさんには6つ離れた兄と4つ離れた兄がいました。
Cさんは末っ子でした。

Cさんは子どもの頃にお兄ちゃん達から否定的な言葉をたくさん言われていました。
「お前、こんなこともできないのかダメな奴だなぁ」
という言葉を、よくよく言われてました。

30歳と36歳の能力産はそんなに変わらないかもしれませんが、小さな頃の6歳差、4歳差は大きいです。
お兄ちゃんと同じようにできないのは当たり前です。

しかし、子どもの頃のCさんは、その言葉を真に受け、その言葉を言われる度に自己肯定感が傷つき、自分のことを未熟な人間、ダメな人間だと思うようになっていったのです。

カウンセリングでは、Cさんが「自分は未熟な人間だ」「ダメな人間だ」と自分を責めてしまう根っこにある、お兄ちゃんとの関係で自己肯定感が傷ついていった思いを癒やしていくことをテーマに取り組んでいきました。

心理療法というのもカウンセリングの中でしていきました。

インナーチャイルドとセラピーと言って、お兄ちゃんとの関係で傷ついた子どもの頃のCさんを想像してもらい、その子どもの頃の自分に「お兄ちゃんにダメな奴だと言われ続けて辛かったね。お兄ちゃんと年齢も離れていたから同じようにできないのは当たり前で、自分のことをダメな奴と思わなくていいんだよ」と声をかけてあげることをしていきました。

心の傷を癒やしていくと共に、そうすることで子どもの時にインプットした間違った情報を、自分を悪く思わなくてよい情報に上書きしていくことをしていきました。

そうやって自分を責めてしまう根っこの痛みを癒やすことで、自分を責める癖を修正していき、そうすることで責められいると解釈するパターンを無くすようにしていきました。

■自分を責めていることが多い

これは一つのケースとして、Cさんの物語を書きましたが、責められていると解釈する心理パターンを持たれている方とお話をしていると、そのパターンを作っているもの正体は、自分を責めている心理であったというケースは多々あります。

「自分で自分を責めているから、人に責められていると感じがちになっているのかもしれない」と気づくだけでも大きな変化を作れることがあります。

責められていると感じた際に、
「自分で自分を責めているから、人に責められていると感じがちになっているのかもしれない。相手は自分のことを責めているだろうか?」と考え直すことで「いや、私がそう感じてしまっているだけで、きっと責めているわけじゃないんだろう」と修正できることもあったりします。

また、責められていると解釈する心理パターンを作ってしているのが、自分のことを責めている心理なんだと見つけることができれば、自分を責めることを減らすように意識していくことで、責められていると解釈する心理パターンを弱めていくこともできます。

あなたにも、このような自分を責めていることで作られている、人から責められていると解釈する心理パターンを持たれていませんか?

もし、持たれていたら、今より少しだけご自身へのダメだしを減らしていくことから始めてみてはいかがでしょう?

人は完璧ではありません。
失敗することがあってもいいし、苦手なジャンルがあってもいいし、できないことがあってもいいと思います。
自分に優しく接してみてくださいね。

この記事が何かのヒントや、参考になることがあれば幸いです。
読んでいただいてありがとうございました。

(完)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
  1. 心理パターンを見つけよう〜より良い状況にしていくために〜
  2. 期待に添おうとする心理パターンを緩めよう
  3. 犠牲のパターン〜嫌な気持ちを飲み込む優しい人のパターン〜
  4. 責められていると解釈するパターン〜自分を責める心理が正体〜

 

この記事を書いたカウンセラー

About Author

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。