このタイプの人々に必要なことは“嘘のない自分”でいることです。
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
彼はとても恥ずかしがり屋の青年でした。
中高が男子校、大学は理系だったため、極端に女性との接点の少ない日々を送ってきました。
女性たちはいったいなにを食べ、どんなことに関心があり、どんな暮らしをしているのかまったくわからない‥‥、大げさにいえば、女性とは宇宙人のようなものだと思うほど、女性に疎いタイプなのです。
私たち人間は、“わからないもの”に対して警戒し、緊張を感じるようにできています。
彼にとっては女性と話すことがまさにそれで、思いがけずそんな場面に遭遇すると異様に緊張してしまいます。
しかし、そんな彼にも勤務先にちょっと気になる女性がいました。
その彼女は人なつこく、だれにでも好かれるタイプで、彼にも親しげに話しかけてきてくれます。
彼女は対人関係の距離が近いほうであり、話しかけてくるときは彼の目の前まで近づいてくるので、彼の緊張はハンパではありません。
そして、男性の多くは、気になる女性がいたら、飲みに誘ってみたりして、自分に脈があるかをリサーチしたりするものですが、それ以前に彼は親密感を表現する行為が恥ずかしいので、誘うこともできません。
その結果、彼のようなタイプは、つきあってもいない女性に、いきなり「結婚してください」などと言ってしまいがちです。
あるいは、「結婚を前提におつきあいしてください」、「そ、そういうことは、結婚してからじゃないと‥‥」など、まるで昭和の純愛映画のように超真面目で奥手な恋をしがちです。
仕事以外の時間は彼女のことばかりを考えるようになった彼は、ネットでいろいろと恋愛ブログを検索して読むようになり、その一つとして私どもにぶち当たったそうです。
その後、無料カウンセリングなどを受けるようになったのですが、どのカウンセラーからも「ごはんに誘っちゃいなさいよ」などと言われるんですね。でも、やはり恐さが先に立ち、誘う勇気が湧きません。
こんな状況のときに起こりがちなのが、相手に嫌われるようなことをしたり、受け入れがたいような告白をしたりして、二人の関係性を台無しにするということです。
中途半端な状態に耐えられないためにしてしまうことで、相手との関係性を終わらせることで、精神的な安定を得ようとするわけです。
フラれると、「ほら、やっぱりね。このぼくが女性に好かれることなどないもんね」とへんな安心感をもつのです。
この傾向がさらに強くなると、まったく目のない相手を追いかけ、拒絶されることで、深層心理に根深くもっている「女性は自分を選ばない」という自己概念を強化させるようなこともよくあります。
好かれることはなかなかできず、嫌われることならいくらでもできる‥‥、われわれカウンセラーも手こずるタイプです。
このタイプは自分を隠し、別人のようにふるまうことが多いものです。そのため、その人が本来もっているエネルギーと言動の方向がまったく違うものになり、アンバランスな印象になりがちです。
たとえば、女性とのおつきあいに慣れていないことを隠し、これまでに入ったこともないようなお洒落なお店やレストランに背伸びして行くと、ものすごく不自然になります。
このタイプの人々に必要なことは“嘘のない自分”でいることです。
「ぼくは女性とつきあったことがなくて‥‥」とか「どのようにしたら、女の子がよろこぶのか、自分はぜんぜんわからないのですが‥‥」などと正直に言うことで、その不器用さは誠実さという魅力に変わります。
しかし、なかなか自己開示ができないのもこのタイプの特徴です。
ぜひ、知っておいていただきたいのは、気になる相手にいきなり「好きです」と言っても、まずうまくいかないということです。
告白する前に、自分の苦手意識を正直に話してみてください。それだけで、うまくいく可能性が少し上昇するのです。
来週の恋愛心理学もお楽しみに!!