不倫の心理2(1)~表向きの私と裏向きの私~

不倫というとネガティブな、タブーなイメージがありますが、なぜ、私達はそこにはまり込んでしまい、しかも、なかなか抜け出せないのでしょうか?

「私には関係ない」と思われるかもしれませんが、ふだんの生活でストレスを溜め込んでいたり、厳しい考え方、環境に身をおいていたりすると、ふとした瞬間にはまり込むのも不倫の特徴です。というのも、日常社会では満たされない思いを満たす場として、不倫関係は成り立つことも多いからなんです。
故に私達は社会倫理的に、法律的にどうのこうのという前に、なぜ?を考えます。責められないやむを得ぬ事情、心理状態がそこにあると考えるんですね。

そうした「なぜ?」を各方面から考えつつ、そして、カウンセリングの経験などから皆さんに役立つ4回シリーズに纏めて見ました。
恋愛について、自分について見つめなおすきっかけにしてみてはいかがでしょうか?

今回は「不倫の心理学2」と題しまして4回シリーズでお届けします。
あらかじめ、定義しておきたいのですが、今回ご紹介する「不倫」とは、“付き合った相手に結婚相手がいる場合”を想定しています。
自分にパートナーがいるかどうかは特に問題にしていませんので、そのままお読み下さい。

●表向きの私と裏向きの私

例えば、表の社会(日常生活)でいい子をしているなど本来の自分を隠して生活していたり、周りからのプレッシャーなどがきつくて厳しい環境にあったり、仕事がとてもハードでストレスを溜め込みやすかったり、そんな状態にあって、かつ、救いとなる理解者、つまりは弱さを見せられる相手がいないと、行き場を失った感情がどんどん心の中に溜まっていきます。

時にそれは衝動的ともいえる乱暴さを持つこともあるんですね。
寂しさに気が狂いそうになったり、誰かそばに居て欲しいと切実な上にも切実に感じてしまったり、皆さんも、そんな気持ちになったことはありませんでしょうか?

また、抑圧的、過干渉な親御さんの元で育ったり、今もその影響下にあったりすると、自由や解放を求めて、やはり心は表ではない、裏の世界に癒しを求めざるを得なくなります。

すなわち、今の日常のしんどさやストレスから逃れるために、普段の私ではない自分になれる場所が必要になってくるんです。

そのとき、表ではタブーとされるものに、私達の意識は向くようになってしまいます。
それが浮気だったり、風俗だったり、今回扱う不倫関係だったりするんですね。

だから、不倫がなんぼ悪いことと思っていてもなかなか辞められないのは、こうした心理背景があるからなんです。
無理やり別れさせたとしても、表社会でストレスを吐き出せる場所がなければ同じこと。
相手を変えるなり、別の方法を取るなりして、やはりタブーの方に導かれてしまうんです。

不倫をしている女性に話を伺うと、普段の私と、彼と一緒に居る(とくにベッドの中に居る)ときの自分がまったく違う人格を示すことがあるんですね。
“人格”というと大げさかもしれませんが、普段はとても大人しいタイプなのに、彼と一緒に居るときはわがままな激しい女の子になっていたりするんです。

これは、私達の心に隠れた変身願望で、特に女性に強いとされます。

それくらい表向きの私が苦しいんですね。
心の中の情熱の女が、大人しい子の仮面を取りたくて取りたくてたまらなくなるんです。

自分自身を“作らなければ”やっていけないと思っているのかもしれないし、本来の自分を押し隠して生きなければいけないと思っているのかもしれません。
それはまるで空気がなくて苦しそうにもがいている熱帯魚のような息苦しさを作るものです。

だから、親のしつけが厳しければ厳しすぎるほど、いい子でいなければいけない環境が強ければ強いほど、一度不倫の罠にはまると、なかなか抜け出せなくなるのかもしれません。
まるでそこにしか救いがないように感じ、それがなくなったら喜びや楽しみの全てがなくなってしまうように感じてしまうものです。

でも、それを環境のせいだけにすることはできません。
どこかに自分の人生を誰かに委ねてしまう“依存”のパターンが隠れていたりするんです。
不倫関係って待つことが圧倒的に多いんです。どうしたって相手主導で動かざるを得ません。
どんなに高いバッグを買ってもらったとしても、いいホテルに泊まったとしても、それは彼ありきの関係なんですよね。

だから、常に不安が付きまとい、いつかは終わる関係という絶望感、諦念が心を支配するようになります。

もちろん、裏の世界ですから、先のことを考えたくなくてここにはまったり、諦念や絶望が強くて不倫に楽しみを見出してしまうとも言えるんですけどね。

さて、ここでは、表と裏の統合、が一つの目標となります。

すなわち、裏でしかできないと思っていることを表でも実現していくんです。
本当の私、仮面に隠れた本来の自分を許し、外に出してあげるのです。

それは日常にスリルを失い、面白みを感じなくなることではありません。
堂々と、もっと人生を楽しめるように、日の当たる場所でイキイキと笑えるように、心を縛っている鎖を解き、心にはめこまれた鎧を外していくことが目標なんです。
そうして、美味しい空気を吸えたときに、未来に対しても希望を持つことができるんです。

それは親御さんとの関係、家庭環境、今までの生き方、自己概念などを癒して変えていくことでも実現できます。

それは同時に、100%のパートナーを手に入れるアプローチにもなっていくのです。

>>>『不倫の心理2(2)~不完全性と親子関係~』へ続く

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