ビジネス現場での世代交代

世代交代という言葉があります。
父親から息子へ、母親から娘へ、家業を引き継いでいくときに使われる言葉でもあります。
親が経営者という場合でなくとも、この世代交代は、ビジネスの世界でも必ず必要になってきます。
先輩から後輩へ、仕事を引き継いでいくのですが、時には、世代が変わらない者から引き継ぐ場合もあるし、世代が下の者から引き継ぐこともあります。
ビジネスの世界では、必ずしも、年齢が上の者から下の者へと、引き継がれるとは限りません。
先にその仕事に着手している人を先輩として見るならば、次にその仕事に着手する人を後輩と呼ぶのではないか。
そういう考えから、先輩から後輩へと書かせていただきました。この先輩の立場の人が、強いリーダーシップを発揮して、チームを一人で引っ張ってきた人の場合、そのチーム内の後輩に仕事を引き継ごうとすると、困った問題が出てくることがあります。
先輩のリーダーシップが、強く発揮されすぎていて、後輩が先輩に完全に頼りきっていた場合にこの問題は起きることが多いです。

先輩側からすると、仕事を引き継ぐことが、まるでチームを見捨てることのように感じてしまい、後輩からは、先輩に見捨てられるように感じてしまうのです。

先輩が、自立の立場で、後輩が依存の立場というのが、固定化されてしまっています。
しかも強いリーダーシップを発揮してきた先輩の元では、この自立と依存の立場が、強く固定されてしまいます。
ですので、先輩は、まるで後輩たちを見捨てて自分が、その場から立ち去っていくような感覚に襲われます。
後輩は、まるで自分が、見捨てられたような感覚に襲われてしまいます。
仕事のやり方を、きちんと引き継いだとしても、この感覚が抜けないこともあります。

そうすると先輩は、見捨てる人になりたくないので、チームを抜けた後も、チームの面倒を見ようとしたりしますし、実際に面倒をみる人もいます。
そうなってしまうと、引き継いだはずの後輩は、いつまでも依存の位置から抜け出せなくなってしまうのです。
先輩の立場の人は、新しい自分の仕事もありますから、どんどんハードワークになっていってしまいます。
その結果、自分が新しく着手した仕事が、中途半端な状態になってしまうこともあります。

後輩も、見捨てられる人になりたくないので、いつまでも先輩に面倒を見てもらえるように、次から次へと相談ごとを持ちかけ、頑張れば自分でできることであっても、努力してできるようになってしまうと、先輩に見捨てられる感覚に襲われるので、努力せず依存の立場にい続けようとしてしまいます。
それは、その人自身の成長を止めてしまうことでもあります。

ビジネス上での、先輩から後輩への世代交代は、成人した子供を親が、一人前の大人として自立させていくことと似ています。
成人する前から、いずれ子供が独り立ちすることを考え、その時に困らないようにと、色々なことを教えていきます。
そして、いざ就職や結婚などで、子供を独り立ちさせるときになると、大切にしてきた分だけ、寂しさは感じます。
寂しさは感じますが、見捨てるわけではなく、送りだすことを強く意識します。
そして、もちろん子供の幸せを祈ります。
この、子供の幸せを祈る気持ちがあると、子供との関係性が切れてしまうのではなく、自立した大人同士として、新しい親子の関係性を作っていくことができます。

リーダーシップを強く発揮しすぎていた先輩は、後輩が自立していく準備を怠っていた可能性があります。
親子の場合だと、親はいつか自分が年老いていくことを、覚悟していますので、「いつまでも面倒をみることができない」ということを、意識しています。
ですが、ビジネスの場になると、私達はついつい、この事を忘れてしまいがちです。

どんなに強い人であっても、何百年も生きて、何百年もその仕事をやり続けることはできません。
いつかは、次の世代の人に、引き継ぐ必要があるのです。
その為の準備は、着々と進めていく必要がありますね。

後輩の立場の人は、自立していく必要があります。
その立場を引き継ぐということは、その人には、それだけの力があるということです。
決して、見捨てられるわけではないのです。
それだけの力があるからこそ、引き継ぐ立場になったのです。

最初は、先輩のマネから入ってもかまいません。
ですがその後は、自分なりのやり方、自分なりの考え方で、問題を乗り越えていく必要があります。
もちろん、助けてもらうことは、何の問題もありません。
ですが、助けてもらうのは、やれるだけのことをやった後です。
そうしていくことで、新しい自分の世代を作っていくことができます。

ビジネスの場での世代交代、「いつか来るもの」として、準備していく必要がありますね。

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この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より3冊出版。