対人関係の架け橋

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

心理学的に見ると、パートナーとは「いちばん近い他人」といえます。

あなたのことをいちばん理解している人であり、また、あなたが“パーソナル・スペース(自分の領域)”に「自由に入ってもいい」という許可を与えた人ともいえるわけです。

しかしながら、パートナーをはじめ、その人があなたにとってどんなに近い存在だったとしても、あなたとその人の間には、やはりさまざまな“違い”があります。

そして、私たちは「パートナーがほしい」、「人とつながりたい」と願っている一方で、自分と人の違いをどう埋めればいいかということで悩むことが多いようなのです。

いま、もし、パートナーがあなたのよろこびではなく、あなたを煩わせ、苦しめる人に感じられているとしたら、それはまさに、二人の違いを埋めることができないからそう感じてしまうともいえそうです。

反対に、自分と人との違いというものは、「興味を湧き上がらせてくれるもの」、「刺激をくれるもの」と感じることもできます。

すると、それをよろこびにすることも可能なのです。

実際、恋愛初期は、自分とパートナーの違いが魅力になります。

将来的には、その違いがケンカの種となることも多いのですが、この時期は、その違いがワクワクとした気持ちをつくったりもしてくれるのです。

たとえば、海外旅行にみなさんが求めるものは“非日常”、つまり、ふだん暮らしている場所や、自分をとりまいている環境とはまったく違うものだったりしますよね。

それと同じように、“まったく違うもの”が、恋愛におけるロマンスやときめきもつくるのです。

私はもう25年近くもこの仕事をしていますので、いろいろなカップルと出会ってきました。

ですから、まじめで、気がよくて、素直な男性が、とてもわがままで、感情的な女性を好きになるというケースがよくあることを知っています。

逆に、おとなしくて、気だてがよくて、みんなから好かれている女性が、札付きのワルと呼ばれるような男性と恋に落ちるようなケースも何度も見てきました。

「そんな、わざわざ、苦労しそうな相手を選ばなくても‥‥」と思いますよね。

しかしながら、自分自身を殺しても、誰かを大事にするようなタイプの人は、そのやり方がくせになっています。

人からどう評価されようが、そういう相手を好きになると、自分らしさを思いきり表現できるというよろこびを得られるようなのです。

つまり、「自分には、今生、どうしたって無理だろう」と思えるような生き方をパートナーがしてくれることが、その人の心のバランスをとってくれるのです。

もちろん、これはパートナーシップだけではなく、お友だちとの関係でも、その人と親しくなることにより、自分にはないものを満たすというケースもよくあります。

対人関係のおもしろさとは、あなたとは異なるさまざまな価値観をもっている人たちと、友人になったり、パートナーになったりすることによって、まるで自分がその人になったような感覚を味わうことができるということでしょうか。

以前、なでしこジャパンがワールドカップを手にしました。

あなたはなでしこのメンバーではなく、家族や友だちでもないにもかかわらず、大きな自信や誇りを感じたりはしませんでしたか?

あなたが、テレビの中の彼女たちに、一生懸命、興味を注ぎ、応援することで、絆ができ、そして、彼女たちの勝利が、まるで自分の勝利のように感じられたりするのです。

それと同じように、多くの親は子どもに意識を注ぐことにより、子どもの成功が、まるで、自分の人生の成功であるかのように感じます。

さて、あなたはどのぐらい多くの人と自分の“違い”に架け橋を渡すことができるでしょうか?

それが上手にできたなら、あなたは何通りもの人生を、今生、味わえるのかもしれませんね。

来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。