気力が湧かない、やる気が出ないのはなぜ?(2)〜疲れ切っている編〜

当たり前をやり過ぎると、気力が湧かなくなってしまう。

睡眠時間がとれないとか、食事をとる時間がないとか、それくらい忙しくしていると身体的に疲れてしまいます。身体的に疲れてしまうと、もう起きたくないとか、歩きたくないなどの状態なりますよね。気力が湧かない、やる気が出ない状態になるのですが、これはわかりやすい。身体的に疲れたのと同じように、心が疲れも実は同じようになってしまうのです。

仕事が忙しくて、睡眠時間も短くなり、食事もまともに摂取できないという場合、体力的にとても疲れているのは想像できますよね?
そんな時に、新たな仕事が追加になったとしたら、気力が湧いてこない、やる気が出ない状態になるかもしれないなというのは想像できるかもしれません。

このような場合も、疲れ切っていることが、気力が湧かない、やる気が出ない原因なのですが、このようにわかりやすい状態ではなく、睡眠時間も食事も問題なく確保できているけれど、心が疲れ切っているために、気力が湧かなかったり、やる気が出ない状態になるということがあります。

例えば、「仕事をするのは当たり前」「家事をするのは当たり前」「優しくするのは当たり前」「頑張るのは当たり前」「努力するのは当たり前」このように当たり前だからと、様々なことをやっていると、知らず知らずのうちに心が疲れてしまうことがあるのです。

当たり前だと思っていることを、誰かが「ありがとう」と感謝してくれたり、「すごいね」と褒めてくれたとしても、「当たり前だから」と嬉しいとは感じにくいものです。
それどころか、当たり前だと思っていることが、何らかの都合でできなかったとしたら・・・

体調を崩して仕事を休んだ。
別のことに気を取られていて食器の片付けを忘れていた。
心配事があって、友人の話を上の空で聞いてしまった。
などの状況になったときに、自分のことをひどく責めてしまうのです。

その結果、より自分に厳しくなってしまって、当たり前度合いがものすごく強くなりすぎてしまい、「やらねばならないこと」になってしまったりします。
やらねばならないことって、心を疲れさせてしまうんですよね。

もちろん仕事や家事をすることは、素晴らしいことですし、社会生活を営む上で必要なことなのかもしれません。
友人に優しくするのも、素晴らしいことです。
頑張ったり、努力したりするのも、本当に素晴らしいことです。
やっていることは素晴らしいのですが、「当たり前」になったり「やらねばならないこと」になってしまうと、心を疲れさせてしまうのです。

そうやって知らず知らずのうちに、疲れ切ってしまっていて、気力が湧いてこなくなったり、やる気が出なくなってしまったりしてしまうのです。

気力が湧いてこない、やる気が出ない時、まずは身体的な部分で、疲れていないかをチェックする必要はあります。
病気や怪我があるようであれば、治療することが大切ですし、身体的に疲れているなら、身体を休ませることも大切です。
それでも、気力が湧いてこない、やる気がどうしても出てこないという場合は、心が疲れていないかをチェックしてみてくださいね。

当たり前だと思ってやっていることは、一体どれくらいあるでしょうか?
当たり前だと思っていたとしても、それをすることができている自分を「偉い」と褒めてあげてもいいのではないかと思います。
また、当たり前だと思っていたとしても、たまには他の人にやってもらったり、助けてもらったりしてもいいかもしれません。

たまに、「私は、休日は寝てばかりですし、家にいても何もしていないんですよ」「忙しいわけではないのです。だから疲れているわけではないのです」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、「その時の脳内はどうなっていますか?」なんてお尋ねすることがあります。
そうすると「寝てばっかりでダメだな」とか「今日も何もしなかったな」と自分を否定したり、責めたりしていることが多かったりするのです。

身体的には休んでいるし、取り立てて何もしていないけれど、心の中では自分を責めるのに忙しくなってしまっているのです。

あなたにとって「しなくてはいけないこと」「してはいけないこと」「して当たり前のこと」って、一体どれくらいあるでしょうか?
これが多ければ多いほど、心は疲れ切ってしまいます。
心が疲れ切ってしまうと、身体的に疲れ切って、もう一歩も歩けないという状態と同じようになってしまうのです。

身体的に疲れたら休息をとって、体力を回復させるように、心が疲れた場合も、心を休ませてあげなくてはいけないのです。
体力を回復させたら、また歩けるようになるのと同じで、心の疲れをとって回復したら、「やってみよう」というやる気が戻ってきたり、気力が出てきたりするのです。

おすすめの心の疲れの取り方は、「やらねばならないこと」ではなく、「やりたいこと」をやってみるといいかなと思います。

とは言っても、心が疲れ切ってしまうくらいに、「やらねばならないこと」をやっている人は、「やりたいこと」がなかなか思いつかなかったりもするのです。

思いつかない時は、自分が今までの人生で「楽しい」と思ったことを、思い出してみてください。
旅行に行って楽しかったとか、ライブに行って楽しかったとか、友人と食事をして楽しかったとか、何でもいいのです。
もちろん大人になってからだけではなく、子供の頃楽しかったことでもいいのです。
その楽しかったことをヒントに、やってみる。

もちろん昔、楽しいと感じたことも、今の自分は楽しいと感じないかもしれません。
そんな時は、友人や周りの人が何を楽しいと思っているかを、教えてもらって、それを真似てみてもかまいません。

それすら気力が湧かない、やる気が出ない場合は、まずは「何もしない日」を自分に与えて、ゆっくり心を休めてあげてくださいね。

疲れ切っていては、気力も湧かないし、やる気も出てこないのです。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
  1. 気力が沸かない、やる気が出ないのはなぜ?(1)〜絶望している編〜
  2. 気力が沸かない、やる気が出ないのはなぜ?(2)〜疲れ切っている編〜
  3. 気力が沸かない、やる気が出ないのはなぜ?(3)〜喜びがない編〜
  4. 気力が沸かない、やる気が出ないのはなぜ?(4)〜選択していない編〜
この記事を書いたカウンセラー

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