失恋後にわいてくる怒り、その理由と対処法

失恋後、なぜか怒りが止まらない

失恋には悲しいイメージがありますが、悲しみよりも先に怒りの感情がやってくることがあります。私たちは怒りの感情を嫌いますが、失恋からの回復プロセスではとても大切な感情であるということを知っておいてほしいのです。

◆怒りもあなたの大切な感情

失恋後、しばらくしたら怒りがわいてきて止まらないという人がいます。失恋で感じる怒りは、相手への怒りと自分への怒りが混在したものです。

「あの人のせいで傷ついた」「ずっと一緒にいるって言ったのに」「好きだというあの言葉は嘘だったのか」「他の人を選ぶなんて許せない」「なんとしてでもこの苦しみをわからせてやりたい」と相手を責める気持ち。

「私が悪いからこうなった」「やはり私は愛されない」「あの時ああしていれば」「あの時あんなことをしなければ」「もっと愛せばよかった」「なんとかしてやり直せないだろうか」と自分を責める気持ち。

心理学では「怒りは感情の蓋」といい、怒りの下に本当の感情があると考えます。怒りの下にある本当の感情とは、悲しみや寂しさや虚しさのことを言います。

失恋直後は、大好きな人を失う悲しみやひとりぼっちになる寂しさを感じたくないので、怒りで蓋をしてしまうことがあります。私たちは怒りという感情を嫌うので抑圧したくなりますが、この時期の怒りを悪いものだと思わないでほしいのです。

大好きだったからこそ、心が相手にぴったりとくっついて癒着をしています。この癒着を剥がすためには、怒りを使うしか仕方がないときがあります。怒りを感じることで、相手と自分との切り離し作業を行なっている、まだその途中なのです。

このような心の働きにもちゃんと理由があります。私たちは「好きで繋がれないのならば、嫌いで繋がる」からです。私たちは大好きな人とは、大好きな感情で繋がりたいと思っていますが、相手がこちらを向いてくれないとき、自分だけが好きだと感じているのはあまりにも辛すぎるのです。

そんなとき「私だって、あんな人のことは好きじゃない」と相手を嫌う努力をするしか仕方ありません。好きなままでいたらずっと離れることができないので、好きという感情をなにか他の感情に変える必要があります。それが「怒り」なのです。

失恋直後に出てくる怒りは、好きから嫌いに感情のエネルギーをひっくり返しただけですから、つらいに決まっています。今まで感じていた「好き」という気持ちのもっていく場所がなくなり、逆のベクトルにしているのです。

誰だって怒りを感じたくはありませんが、怒りもあなたの大切な感情です。その存在をどうか許してあげてほしいのです。

◆怒りは〇〇〇に変えられる

失恋後には、恋愛中に我慢していた気持ちが出てくることもあります。とくに普段から怒りを抑圧してきた人は、未消化の感情が心のなかにびっしりと溜まっていることがあります。

本当は彼に対して怒っていたのにそれに気がつかないふりをしたり、私さえ我慢すればいいからと飲み込んでしまったり。「彼のことが好きだから」というたったひとつの理由で押さえ込んできた未処理な怒りが次々とわいてくるのです。

ある女性は、お付き合いしている彼に何度となく浮気をされていました。そのたびにまわりの友人は「それはひどい。もう別れてしまえばいいのに」と言いました。でも彼女は、「あの人にも良いところがあるのよ」と何度も許してきたのです。

しかし、あるとき今度は浮気ではなく、できちゃった結婚をしたことを知るのです。彼は平然と言ったのです。「でも、また会えるかな?」と。彼を許し続けてきた彼女も、これには怒りが止まりませんでした。

このようになるケースは、普段から怒らない人に多いのです。怒りを感じることを悪いことだと思い、自分に見て見ぬふりをすることがあります。そんな人にとっては、ある意味ようやく出てきた怒りであり、自分のために怒ってあげる必要があります。

怒ってあげるといっても、それを相手にぶつけることをお勧めしているわけではありません。怒りをぶつけたところで感情からの逃避になり、その怒りは報われません。ちゃんと感じて解放する必要があります。

誰かに気持ちを聞いてもらうのがいちばん良いのですが、あまりにも身近な人(親など)だと、その人に対しての怒りまで一緒に出てくることがあります。怒りの蓋が開いているのですから、そうなってしまうことがあります。友達やカウンセラーなどに聞いてもらうのが良いでしょう。

「話すことは放すこと」といいますが、それは話すことで身体のなかに溜まっているネガティブな感情を外に放っていくからです。しっかりと感じてその感情を身体から離していくのです。どうしても話せなければ、心のなかを写し出すつもりで紙に書いてみることだっていいのです。

怒りの感情はいつまでも続きません。怒っている自分を嫌いになりそうになるかもしれませんが、必ず終わりが来ますから安心して話してください。

終わりの時期が来た頃、私だったらこう言うでしょう。

「あなたがそんなに怒れるということは、じつはあなたのなかにある情熱さの裏返しなのです。怒りはやる気と同じエネルギーですから、怒りをやる気に転化すると一気に自分をブラッシュアップすることもできます。失恋後、いきなり綺麗になるのもこのタイプです。さぁ、このエネルギーをどこに使いますか?」

怒りが大切な感情であることが、さらにお分かりいただけたのではないでしょうか。参考になりましたら幸いです。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
  1.  失恋後にわいてくる怒り、その理由と対処法
  2.  別れを告げるほうだってつらい
  3.  別れを告げるほうだって無傷ではいられない
  4. つらすぎる失恋!どん底からの脱出法
この記事を書いたカウンセラー

About Author

失恋からの立ち直り、都合のいい女からの卒業、本気の婚活、浮気や離婚問題を乗り越える、夫婦関係の修復、離婚から再出発など、恋愛&男女関係の相談が多く、恋愛・結婚生活に悩む人の駆け込み相談所的な存在である。 30歳からのうまくいかない恋愛と40歳からのこじれた男女関係の解決を提供している。