ペット・ブーム

感情を抑圧する文化とその解放

こんばんは。

神戸メンタルサービスの平です。

日本人の多くは、不愉快なことがあっても自分の感情を表に出すことはあまりせず、「私さえ辛抱すれば‥‥」と考えることが少なくありません。

いわば、わが国には感情を抑圧する文化があるわけです。

それだけに、外国の人からは、日本人は謙虚でおとなしいと評価されることもあるわけですが、この文化はこと恋愛に関してはあまりよい作用はもたらさないようです。

感情表現が苦手、かつ、「人を好きになるということが恥ずかしくてたまらない」という人たちが日本には多く存在します。

そして、そうした人たちは、「自分のことを、人はきっと好きになってくれないだろう」という思い込みをもっていることが少なくありません。

そのため、欧米の人がいつも「パートナーをどうやってつくろうか」、「二人でどんなふうに生きていこうか」と考えているのに対し、「一人でどう生きていこうか」ということを探求していたりするわけです。

まるで修行僧のような文化の中に暮らしているといってもよいでしょう。

「自分がモテるわけがない」、「自分がだれかのよろこびになれるはずがない」と思っている人たちの前に、感情表現が上手な人が現れたとしたら、その人はものすごくモテるはずです。

少しでも自分に好意を示したり、笑顔を向けてくれたりしたなら、その人のことを間違いなく好きになってしまうからです。「世界で唯一、私を好きになってくれる人がここにいた」と思い、ひどく執着してしまう場合もあるほどです。

そして、少数のモテる人たちに、多数のモテない人たちが集中するという形になるので、結果的に圧倒的多数の人が失恋します。

で、失恋した人は思うわけです。

「ほーら、やっぱり。だれも私のことを愛してくれない」

「世界で唯一、私を好きになってくれた人がいたけど、結局、見かぎられた」

「今世、もう、出会いなんてないだろう」

そしてまた、一人でどう生きようかと修行僧のような人生を送りはじめるわけです。

このタイプの人々は、表情に喜怒哀楽が表れることがあまりなく、ほとんどポーカーフェイスで過ごしています。

怒りを表現することも苦手です。そもそも怒りという感情を嫌っているのですが、長い間、怒りを抑えつけているうちに笑顔も喜びの表情もなくなっていってしまいます。

そうした人たちに「無理やりにでも、笑ってみてください」とお願いすると、ほとんどの人が引きつった笑顔を見せてくれます。

また、このタイプの人は、楽しいこと、おもしろいことにはあまり近づこうとしません。

楽しい、おもしろいという感情を自分に近づけようとはせず、その楽しそうなものや出来事を批判的な目で分析しがちです。

目の前に美しいバラの花があったとしたら、それを切り刻み、顕微鏡でのぞきこみ、「人に美しいと思わせるのは、どの成分なのだろう?」と研究するようなことをしてしまうわけです。

さて、そんな日本人のリハビリのお助け役として、いま、大活躍しているのがペットたちです。

犬、猫などのペットは感情表現の達人です。

感情表現自体は、犬のほうがわかりやすく見せてくれます。一方、猫マニアの人ならご存じのように、猫たちは家族の集まる部屋で。人の膝の上で気持ちよくくつろいで見せてくれます。

そんなときのペットたちは、人間に対し「あなたは私のよろこびです」、「あなたは私の癒やしです」、「あなたは私の生き甲斐です」と言っているようなもの。あなたという存在を“よきもの”として扱ってくれます。

どんなに心を閉ざしている人も、わが家のペットに対しては感情を素直に表現し、表情豊かに話しかけたりすることが多いようです。

心理療法の世界では“アニマル・セラピー”と呼ばれますが、昨今の日本のペット・ブームをつくっている大きな要素の一つは、人の深層心理で、このような力学が働いているからともいえるのでしょう。

では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

平 準司

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。