ニーズが教えてくれる私たちの豊かな才能
私たちが心惹かれるものを求めたくなること、もっと良くなりたいと思うことは自然なことです。欲求(ニーズ)は誰もが持っていて当たり前のものなんですね。
でも周りの誰かに求めすぎたり、ニーズを満たしてもらいたいという気持ちが強すぎると何かと問題が起こってしまうようです。
どうして求めすぎてしまうか?そこにはどんな心理があるのか?詳しく解説していきたいと思います。
そしてニーズが教えてくれる私たちの豊かな才能に気づく方法についてお話しいたします。
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こんにちは。カウンセリングサービスの近藤あきとしです。
今回はニーズについてお話します。
心理学で語られるニーズとは欲求のことです。
カワイイ服が欲しい、カッコイイ車に乗りたい、というのもニーズですし、出世してたくさん給料が欲しい、大好きな趣味を極めて日本一になりたい、というのもニーズです。
私たちは誰でも心惹かれるものを求めたくなりますし、「より良くなりたい」という思いが「もっと求めたい」という気持ちになるのも自然なことです。
ニーズは誰もが持っていて当たり前のものなんですね。
ただ、周りの誰かに対して「ちょうだい。もっとちょうだい。」という欲求を際限なく出してしまうと、色々と問題が起こることが多いようです。
恋愛をしている時で言うと、頭では無理なことだとは分かっているのに、心が追いつかなくてついパートナーに求めすぎてしまった・・・という経験、みなさんにもあるかもしれませんよね。
じゃあ、どうして私たちは相手にニーズを感じてしまうのでしょう?
それは「欲しいものが自分の中には無い」という思い込みがあるからかもしれません。
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例えば、子供時代に「私は親から愛されていなかった」という思いを抱えながら成長してきた女性がいたとします。
「長い間寂しさや孤独感を我慢してきた。でも本当は愛されたいと求めたかった。」そんな気持ちを抱えてきたんだと想像してみてくださいね。
大人になり恋人ができた時、ずっと欲しいと願っていた愛を彼がくれたら、とても幸せな気持ちになれると思いませんか?まるで心の欠けた部分が満たされたような喜びでいっぱいになれそうです。
けれど喜びが大きい分、もし彼が愛をくれなくなったら、あの孤独で寂しかった時代に戻るんじゃないかという不安も大きくなります。
すると幼かった頃の「私は愛されていなかった」という古傷が疼きはじめるんです。そこにはもう二度と戻りたくないだけに、不安が大きくなればなるほど彼にしがみつきたくなります。
「もし彼が離れていったら、もう誰からも愛を貰えないかもしれない。」この恐れを感じると、居ても立っても居られなくなってしまって、彼に依存する方法でしかニーズが満たせないような気がしまうからです。
こういったケースをカウンセリングしていると、過去の体験から生じた「私は親から愛をもらえなかった」(「欲しいものが自分の中には無い」)という思い込みが、彼女のニーズをつくりだしていることが分かってきます。
と言うことは、このニーズは本当は彼に満たしてもらいたいものではないんですね。
潜在意識の中にしまい込まれた、幼かった頃に感じた寂しさ。
もっとお父さんに遊んでもらいたかった。
ずっとお母さんに一緒にいて欲しかった。
ただ両親から愛をもらいたかった。
というニーズが彼との関係を通して浮上してきたのです。
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このようなケースでは、本当に欲しかったものに気づいて「満たす」ことが必要です。
「私はお父さんお母さんにもっとそばにいて欲しかった。もっと甘えたかったんだなあ。」という感じに。
心の奥にしまい込んできた寂しさや、本当は甘えたかったというニーズを感じていくと、溜め込んできた感情が洗い流されていくように少しずつ消えていきます。
そうすることで心の痛みが癒されて、彼に対するニーズも小さくなっていって、求めすぎることがなくなっていくんですね。
また、さらに一歩進んだアプローチが「与える」ということ。
こう聞くと「私に無いものを人から貰おうとしているのに、逆にあげるなんて。」と思われるかもしれません。
でも大きなニーズを抱えてきた人は、じつは与え上手という大きな才能を持っているんです。
その一つが、自身が「欲しい。もらいたい。」という気持ちに敏感なだけに、周りの人が欲しているもの、必要に感じているものに繊細に気づける感覚があることです。だからサービス業や接客業が向いている人は多いですね。
また、自分が欲しかったものを周りに与えることも大得意なんです。
上の例では、この女性には「両親から愛されたかった」というニーズがあったわけですが、それが満たされないことが本当に寂しかった分だけ、人にとって「大切な人から愛されること」が、どれだけ暖かさと安心を感じさせてくれるのか、その価値を一番知っている人でもあるんです。
だから、こういう人が一旦「自分から愛を与えよう」と決めたら、溢れるほどの愛を与えて相手の心を満たしてあげられたり、暖かく包み込んで安心感を与えることができてしまうんです。(またその姿の美しさに周りは感動させられたりするんです。これも与える才能ですね。)
どうやらニーズとは、私たちが気づいていない才能の源泉を教えてくれる目印だったようです。
その豊かな才能を活かして周りの人と一緒に今までにない喜びで満たせた時こそ、私たちが本当に欲しかったものが手に入っている瞬間なのかもしれませんね。
(完)