一人で抱え込まないで

勇気をもって「愛している?」と聞いてみる

こんにちは 平です。

みなさんからよくこんなご相談をいただきます。

「つきあって3年ほど経つのですが、彼からはいっこうに結婚しようという話がでません。
できたら彼と結婚したいし、両親もいろいろ心配しているようです。
といっても、女の私のほうからせっつくのもいやらしいことのように感じられます。
どうしたら彼にプロポーズしてもらえるのでしょう? それとも、彼は私との結婚なんか考えていないのでしょうか?」

これは、非常によくあるお悩みのパターンなのですが、ここにはまず、問題点が一つあります。

それは、「プロポーズとは、必ず男性から女性にするものだ」という考え方です。

これがあるために、女性側はひたすら彼のプロポーズを待っていて、自分の気持ちを彼に伝えることを忘れているのですね。

彼からすれば、あなたがそこまで結婚のことを考えているとは気づいていません。

その結果、「二人の仲はうまくいっていることだし‥‥」と、そのままの関係がズルズルと続いていくわけです。

もう一つ、女性は愛情を“親密感”ではかる傾向が強いので、二人がたえず一緒にいられるよう、
結婚したいと考えることが多いようです。

それに対し、男性はときとして愛情を“責任”をとるという形で果たそうとします。
男女の結婚観に違いがあるわけです。

彼のほうは、自分が十二分に稼げるようになり、それなりの生活をあなたに保障できるようになってから結婚しよう、
と考えているわけです。

こんなふうに、結婚について、とても慎重になっている男性は少なくありません。

そして、どちらのケースも、彼はあなたと結婚したくないわけではないのですが、
いますぐ結婚したいとも思っていないことが多いようです。

私どもでは、毎月、ボランティアを含め約6,500本のカウンセリングをご提供しておりますが、こと結婚に関しては、最終的に女性のほうから「どう考えているのよ!」と男性に迫ったあげくゴールインというケースが、夢のない話かもしれませんが、意外と多いのです。

結婚というのは、二人の人生にとってとても大事なことです。当然、おたがいの結婚観や、相手に求めるものについて、どんどん話し合っていけばいいのです。でも、そういう話をするのは、どうも、いけないことであるような、気まずいことであるようなイメージをもつ人も多いようです。

また、この話になると、ふだんはめったに言わないのに、「あなたは男なんだから‥‥」とか「やはり、プロポーズは男のほうから‥‥」などと、ついつい言いたくなってしまうかもしれません。

でも、一生の一大事なのだからこそ、ここは、男性だからとか、女性だかとかいうことは関係なく、じっくり話してみるべきです。
そうすれば、結婚してから、「こんなふうだとは思わなかった」とか「こんなつもりではなかった」ということにもならずにすむでしょう。

実際、離婚をめぐり、こんなご相談を受けたことがあります。
だんなさまは、「子供ができたら、ぜひ田舎暮らしをしてみたい」と考えていたそうです。

そして、奥さまもそれに賛成してくれるものとばかり思っていたのですが、
もともと九州の田舎の出身の奥さまは都会暮らしへの憧れが強く、田舎は大嫌いだったというのです。

それで、大もめにもめることになったわけです。「なんでそんな大事なことを言わなかったのか?!」というなじりあいも起こりました。

といっても、「子どもができたら田舎に住みたい」とだんなさまが思っているなんて、奥さまはつゆほども知りませんでしたから、わざわざ「田舎は嫌い」などと言うこともなかったわけです。

同じように、だんなさまも奥さまが田舎嫌いだなどと知らなかったので、それを想定においてものごとを考えることがなかったのです。

こんなふうに、男女関係のトラブルの多くは、「きっと相手もそう思うはずだ」という思い込みから起こっています。

必ず、相手の意見を聞くということしておかないと、二人分の人生を一人が決めることにもなってしまいます。
その結果、ちゃんとうまくいったというケースはものすごく少ないのです。

今回の、「彼からなかなかプロポーズしてもらえない」というケースも、このままの状態が続き、
あなたが自分の心の中でこの事実を一人で解釈してしまったとしたら、「彼にとって、私はきっと遊びなんだ」とか「私と結婚する気はないんだわ」となってしまうことでしょう。

“聞くこと”には勇気がいります。期待どおりの返答がもらえず、これをきっかけに二人の関係が
これまでどおりにはいかなくなるかもしれないというリスクだってあります。

でも、聞かずに自分一人で結論を出してしまうことのほうが、よほど誤解や失敗を招くリスクが高いのです。

つきあっている彼女から、「早くあなたと結婚したいと思っているの」とか「あなたが帰る家に、私も帰りたいのよ」などと言われ、いやな気持ちになる男性はほとんどいないでしょう。もし、あなたのことを愛しているならば。

“聞くこと”をしなかったことが招くいちばん悲劇的なケースは、あなたの期待に反し、彼にはまったく結婚する気がなかったという結末です。

ちゃんと聞けば、彼の真意がわかったのにもかかわらず、「きっと結婚してもらえる」とあなたが思い込んでしまっていたとしたら、人生の大事な数年間を無駄にしてしまうかもしれません。それはとてももったいないことだとは思いませんか?

勇気をもって、「愛している?」と彼に聞いてみましょう。

では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。