コーチングと心理カウンセリング〜どう違う?ビジネスに向いているのはどっち?〜

皆さんは、コーチングとカウンセリングをどのように捉えておられるでしょうか?
両者とも、企業で導入されていますが前者は教育カリキュラムとして、後者は人の心のケアを行う意味合いで捉えておられる方が多いのではないかと思います。

両者とも、人の心を科学的に取り扱う心理学をベースにしていて、そこから導き出された様々な知見を応用して、その人の望みをどのようにかなえるかを実践している、心理学の応用形態には間違いありません。

しかしながら、心理カウンセリングというと、フロイトやユングといった人物の名前が思い浮かび、彼らが主にヒステリー症(我々が一般的に使用しているヒステリー状態ではなく、心理的な症状が体に出現する症状)の診療をしていたことと相俟って、精神科や心療内科領域の対応という一面のみのイメージが強く印象づけられてしまっています。
その結果、カウンセリングを受けるというと、一部の人達は病気と直結したイメージを抱いてしまわれ、敬遠されるという事実もあります。

ところで、私たちの心は病気か否かに関わらず、深層心理に隠れている様々な事柄が行動に現れます。
例えば、ランチに無性にカレーが食べたくなってカレー屋さんの扉を開けたのが偶然の行動かと言えば、必ずしもそうとは家具りません。もう忘れてしまっているかもしれませんが、昨日見ていたテレビ番組で美味しそうなカレー屋さんのレポートがあって、それが無意識のうちに行動に影響を与えているかもしれませんし、あるいはふと、どこかで食べたカレーの思い出(それは直接的にカレーの思い出ではなく、誰かと一緒に食べたとか、どこかの旅先で食べたとか)がそのような行動を取らせているのかもしれないのです。

この、深層心理の状況を紐解いて、もし何か人生で問題となっているパターンがあればそれを解き放ち、状況を改善していこうというのが心理カウンセリング的なアプローチになります。
例えば、職場で昇進がなかなかできなかったり、任されたプロジェクトが上手くいかなかったり、恋愛がうまくいかなかったりするのも、病的ではないけれども深層心理からの何らかの影響を受けている可能性があります。
そこを診て、改善していく応援をするのが心理カウンセリングなのです。
私たち心理カウンセラーは、「人がそうするには(そうなるには)わけがあり、それは深層心理に刻み込まれた何かが原因として働いている」という観点からアプローチを行うのです。

一方、コーチングは、その人の才能を引き出し、それを伸ばしてその人の目標を達成させるようにサポートを行います。

ここで、才能には生まれ持って身についている才能と、その人が長年接してきたものが才能であるという2つの定義があります。
私の友人に画家がいるのですが、彼は人に比べて診たものの残像を保持する時間が少し長いと話をしていました。ケニアに住むマサイ族の視力が優れているのも、生まれ持った特長で才能でしょう。これらは前者の例です。
一方、人は慣れる生物ですから、接している時間が長いほどそれが得意分野になってきます。例えば、人と比べてどうかということではなく、英語に接している時間が長くなると英語のことが直感的に理解できるようになってきます。車の運転も、慣れれば上手になります。これも才能になります。

その人の持っている良い部分を伸ばして状況を改善していこうと言う光を見るのがコーチングなのですが、そこはその人の意思を持続させるために、モチベーションを高めあるいは保ち続けさせるかということが心理的なサポートの側面になります。
特にコーチングの世界ではその人の顕在意識的な“意思”に重点を置き、どのようにすれば目標が達成されるかを自分で考えさせるということに重点が置かれる傾向があります。

心理カウンセリングではこの点が少し異なっていて、「そうなるにはわけがある」という観点から、顕在意識的な“意思”が保持できない理由をケアします。

では、コーチング的な手法と心理カウンセリング的な手法のどちらがビジネス目標を達成する方法として良いかというと、私の結論から言えば、それを受ける人のキャラクターによると思います。
コーチング的手法で心が折れて心理カウンセリングの世界で立ち直って目標を達成する人もいれば、心理カウンセリングで深層心理に入り込むよりも目標にひたすら立ち向かっていく方が目的達成が早い方もいます。

当選、心理カウンセラーといえども、カウンセラーによってはコーチング的な手法を使うこともできますし、コーチといえども、コーチによってはカウンセリング的な手法を使う人もいます。
クライアント様の状況をどのように判断して、どんな手法を使った方が効果的なのかを見極められる、そしてそれらの手法が使える心理カウンセラーやコーチに巡り合うことが物事の成否を決めるのかもしれません。

以前、コーチングを専門的に研究されている東北大学の先生にお話を聞く機会がありましたが、「最近はコーチングと心理カウンセリングが相互に乗り入れをしていて、その境界線がとても曖昧になっている」とお話をされていました。

いずれにしても、自分に合った方法を素直に選択し、ご自分の夢や希望をかなえられるといいですね。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大谷 常緑

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。