求職での葛藤

相談者名
ばいおん
現在求職活動中です。

履歴書、職務経歴書を書きながら…葛藤があります。
どんな葛藤かというと、なんというか「作りかけの食事を人に出す」といいますか…。完成してないし、人の食べるものじゃないと分かっているけど完成の仕方もわからないし、完成をまってると食材が腐って行って益々出せなくなるから、しょうがないからとりあえず出します。。という感じです。
よくわからない例えですが…新卒ならまだこういう葛藤と態度も、ありでしょうが私は30半ばです。新卒以来休職活動をする度に同じ葛藤を繰り返しております。なんともお恥ずかしい話です。アドバイス頂けたら幸いです。どうぞよろしくお願いします。

カウンセラー
大塚亘
ばいおんさん、はじめまして。

今回担当させていただきます、大塚亘と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

作りかけの食事のお話しは、とても分かりやすいですね。ばいおんさんが、どのような葛藤をお持ちなのかが、私なりにとてもよく分かった気がしています。

ばいおんさんは、ご自身をつくりかけの食事のように感じてしまっているようですね。もちろん、そんなことはないと、私は想像しますよ。

ばいおんさんのように、

自分はまだまだ不完全だ
自分はもっと頑張らなければならない
自分はもっと努力しなければならない

と思っている方のカウンセリングをすることもよくあります。

しかし、ご自身では「自分はまだまだダメだ」と思っているわけですが、私がカウンセラーとして客観的にお話しを伺うと、実は、とても実力があったり、実績があったり、人間として成熟されている方々がとても多いのです。

例えば、カウンセリング中に、クライアントさんに、私はよくこんな質問をします。

「あなたは、社会人として、100点満点でご自身のことを何点だと思いますか?」

こう質問すると、「0点」だったり、「30点」ぐらいだったり、場合によってはマイナスだったり、とても低い点数をつける方がいます。

このような低い点数をつける方は、

「ご自身にとても厳しい」

方々ばかりです。ご自身に対して厳しいということは、頑張り屋さんであることが必然と多くなるわけですから、実は、客観的にみると、実力や実績がある方々ばかりだったりするのです。

ですから、私は、ご自身に30点をつけたクライアントさんに、

「30点なんていうことは客観的にないと思いますよ。80点や90点ぐらいつけてもいいんじゃないですか?」と言ったりします。

私がカウンセラーだから高い点数を付けているのではなく、実は周りの人間、例えば、職場の上司や同僚、また、家族やパートナーなどからも、私と同じくらいの評価を受けているということがとても多いのです。

いってみれば、世界で一番、というか世界で唯一、厳しい評価をしているのは自分だけということが良くあるのですね。

客観的な評価は80点であったとしても、自己評価が30点だと、心は面白いというか、怖いもので、

「30点である自分にふさわしい現実」

を引き寄せてしまうことがあります。

たとえば、パートナーが、

「あなたは90点をあげてもいいくらいの、素晴らしい人間なのよ」

と言ってくれたときに、

「いやいや、自分はせいぜい30点だよ」

と言い返したとしたら、パートナーはどう思うでしょうか?

せっかく評価しているのに、その評価を否定されたように感じますので、パートナーは、あまりいい気分はしないはずです。そして、点数は90点から下がってしまう、という感じです。

もし、パートナーが90点と言ってくれたときに、

「えっ、そうなの?すごくうれしいなぁ。ありがとうね」

と言ったとしたら、素直に評価を受け取ってくれているので、パートナーの気分はよくなると思いませんか?

90点から、さらに点数アップという感じになりますよね。

このように、

「自己評価と周りの評価が食い違っていることによって、問題を自ら作り出してしまう」

ということは、人間には、実はとてもよくあることなんですね。

それでは、このような問題がもしあったとしたら、どのようにしていけばいいのでしょうか。よくある間違いは、

「自分は30点なので、もっと努力して40点、50点、60点と実力をつけていかなければ」

というものですが、そもそも、自己評価を30点とつけていることが間違いなんですね。

つまり、30点という自己評価を、既に80点取れているんだと、自分自身の認識を改めてほしいのです。

ばいおんさんのたとえ話しでいえば、ご自身では「作りかけの食事」を出したつもりが、実は、自分以外の人がその食事を食べたら、とてもおいしそうに食べてくれて、とても感謝してくれるという感じですね。

つまり、今の時点で、既に、ばいおんさんの周りからの評価はとても高いかもしれないのです。

ばいおんさんは、「新卒以来求職活動をする度に同じ葛藤を繰り返しております。」と書いてくださいました。このお言葉から私が推測したのは、もし、新卒の時もご自身のことを「作りかけの食事」だと思っていたとしたら、それは、仕事の実力とは全く関係のない評価なのではないでしょうか。

新卒の時点では、これから社会人になるわけですから、そもそも実力も実績もないですよね。そうすると、もともと、ばいおんさんは、社会人になる前から、ご自身に厳しすぎたのかもしれません。

ご自身に厳しいということは、謙虚さであったり、向上心があるということですから、決して悪いということではありません。

仮に、ばいおんさんがご自身に80点や90点をつけてあげたとしても、ばいおんさんの謙虚さや向上心は、絶対になくなりません。

ですから、仕事をはじめとして、いままで、ばいおんさんがたくさん頑張ってきたことを、まずは、ご自身で承認してあげてほしいのです。

「いろいろあったけど、なんだかんだいって、俺は頑張ってきたなあ。いままで頑張ってきた自分を、まずは認めてあげよう」

という感じで思ってみてください。もしできるなら、実際に仕事で達成した過去の経験などがあったとしたら、そのときのことを頭に思い浮かべて、「よくやったね、頑張ったね」とねぎらってあげてほしいのです。

もし、いままでの自分を認めてあげることに抵抗があったとしても、思っていなくてもいいので、承認の言葉を言ってみてくださいね。そうすると、ばいおんさんの潜在意識は、自己承認の言葉をしっかりと受け止めてくれます。

そうすると、徐々に、徐々にですが、30点という間違いの自己概念が書き換えられていって、本来の高得点のばいおんさんにふさわしい現実を、ばいおんさん自身が、自然と引き寄せてくれるのではないかと思いますよ。

読んでくださり、ありがとうございました。

大塚亘

この記事を書いたカウンセラー