脱「いい人」へのアプローチ(2)~「いい人」の裏に隠れた我慢と依存~

「いい人」をやるのをやめるためには、まずは、なぜ「いい人」でいようとするのかを知ることが役に立ちます。

「いい人」でいたい心理の裏側には、依存時代の心の痛みが隠れています。
その痛みを感じないようにするために、苦しくなるくらい頑張ってしまいす。
求める側の依存の状態から、与える側の自立の状態に心を成熟させることが、「いい人」をやめるための鍵になります。

「いい人」をやめる前に、なぜ「いい人」でいようとするのか?という部分について見ていきたいと思います。

もし、あなたの心の中に「『いい人』でいたい」とか「『いい人』でいるために頑張らなきゃ」という気持ちがあったとしたら、どうして「いい人」でいたいのでしょうか?

なんで「いい人」でいるために頑張らなきゃいけないのでしょうか?

もしくは、「いい人」をやめちゃうと、どうなっちゃうと思っているのでしょうか?

よかったら、少し時間を取ってその答えを探してみてください。

どんな答えが出てきたでしょうか?

 

頑張っていい人をするには様々な理由がありますが、最大の理由を挙げるとすると、

「嫌われないため」

というのが挙げられます。

「いい人」でいることが、人から嫌われない秘訣であり、対人関係がうまくいく秘訣になっているのです。

ここで注目していただきたいのが、「愛されるため」ではなく、「嫌われないため」であるということです。

「嫌われないために」というのは、その前提として

・私は嫌われる存在である
・私のまわりの人は、私のことを嫌う存在である

という2つのものがあります。

これは、自分への攻撃と、他者に対する攻撃が隠れていることを意味します。

そうした嫌われることへの怖れと隠れた攻撃を隠すために、「いい人」を頑張ってやるのです。

そのルーツは、子供時代にあります。

例えば、嫌いなものを頑張って食べた時や、電車に乗っても騒がずにおとなしくしていた時、お父さんやお母さんにほめられます。

「○○ちゃんはいい子だね~」「○○ちゃんはえらいね~」

お父さんやお母さんのいうことを聞く「いい子」は、愛されます。

自分の気持ちを抑えて我慢をすればするほど「いい子ね~」「えらいね~」とほめられるわけです。

逆に、お父さんやお母さんのいうことを聞かずに、自分の気持ちのままに振る舞っていると、「いうことを聞かない悪い子ね!」と怒られます。

そうした経験を通じて、愛される秘訣・嫌われない秘訣を学んで身につけていきます。

その際、「いい子」と「我慢」がセットになり、「自分の気持ちのままに振る舞う」=「わがまま」と「悪い子」がセットになります。

それだけではなく、「頑張って我慢をしていい子をしないと愛されないんだ」「そのままの自分ではだめなんだ」などといった観念が作り出され、そんな自分を責め、律するようになります。

そして同時に、そのままの自分を愛してくれないお父さんお母さんに対して、隠れた攻撃心を抱くようになります。

頑張って「いい人」でいようとするというのは、こうして作り出された嫌われない秘訣と観念を、今も信じ採用し続けていることを意味します。

それは言い換えると、心の状態が、「いかに愛されるか?」と、愛してもらうことを求める「依存」の状態にあるということでもあります。

 

「『いい人』やるのを終わりにしてみませんか?」という提案の真意は、「誰かに愛してもらうのを待つのではなくて、あなたが誰かを愛してあげる側の人になりませんか?」ということなのです。

ちなみに、その「誰か」には、自分自身というのも含まれています。

そして、こんな話をさせていただくのです。

「誰かから愛を奪おうとしたり、自分が思うような愛をくれない人のことを責める人よりも、愛を与える人の方がみんなに愛される『いい人』だと思いませんか?」

>>>『脱「いい人」へのアプローチ(3)~「いい人」の鎧や仮面が愛を遠ざける~』へ続く

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