相談者名 | コブ |
わたしは趣味で小説を書いています。 はじめは創る喜びを感じていましたが、いいねの数が次第に気になり始め、いいねがつくかつかないか、つくとしたらいくつくらいつくのかをひどく気にするようになりました。 たくさんいいねがもらえると嬉しい反面、なにか違うのではないかと思う自分もいます。 いいねの数に取り憑かれて制作するのではなく、創る喜びを取り戻したいです。 | |
カウンセラー | 嶽 きよみ |
コブさんはじめまして。ご相談、ありがとうございます。 まず、コブさんのご相談を読ませていただき、言葉への深い想いと、現在の状況への真摯な向き合い方に、心からの敬意を感じました。 学生時代から国語を愛し、創作を続けてこられたこと、そして現在も多くの方に作品を届けていらっしゃることは、本当に素晴らしいことです。 目次 ■コブさんが感じている違和感の意味「なにか違うのではないか」というコブさんの直感は、とても大切で健全な感覚だと思います。 これは、コブさんの中に本来の創作への純粋な気持ちがしっかりと残っている証拠ではないでしょうか。 もしその気持ちが完全に失われていたなら、このような違和感すら感じなかったでしょう。 ■なぜこのような変化が起きたのか現在の状況を心理学的にみてみましょう。 SNSの「いいね」は、この欲求を、即座に、そして数値として可視化してくれる強力な仕組みです。 コブさんが体験しているのは、本来「書くことそのものが楽しい」という内側からの動機で動いていたものが、いつの間にか「いいね(報酬)をもらうために書く」という外側からの動機にすり替わってしまっている、という感じではないでしょうか。 いいねがつくと脳内でドーパミンが分泌され、脳はこれを「報酬」として学習し、次の報酬を求めるようになります。 これは、コブさんの意志の弱さや創作への愛が薄れたのではなく、人間の脳の自然な反応です。 ■客観的なコブさんの現状>今わたしがフォロワーが300〜400人いて、作品をアップすると100〜600いいねがつきます。 これは、実はエンゲージメント率として考えると素晴らしい数字です。 でも重要なのは、これほど高い評価を得ていても、コブさんの心は満たされていないということです。 これは「もっといいねがつけば解決する」という問題ではありません。 ■二つの喜びは対立しないここでちょっと視点を変えてみましょう。 >わたしもそうなりたいし、最初はそうだったのになぜ出来なくなってしまったんだろうと悩んでいます。 創作とは、本来たくさんの喜びが積み重なったものです。 問題は「認められる喜び」そのものではなく、それが「唯一の」または「圧倒的な」動機になってしまうことです。 いいねの数というは、わかりやすく可視化される分、強力な「報酬」なのです。 >いいねの数に取り憑かれて制作するのではなく、創る喜びを取り戻したいです。 目指すべきは、「いいねを気にしない人」になることではなく、「創る楽しさ」と「評価される嬉しさ」のバランスを、もう一度コブさんが心地よい状態に戻していくことです。 ■創る喜びを取り戻すためにすべてをやる必要はありません。 1:誰にも見せない非公開創作をする SNSとは完全に切り離された、あなただけの「場所」を作ってください。 そこには「誰にも見せない」「評価されない」作品を書きます。 2:自己評価システムを再構築する 作品を投稿する前に、SNSとは関係ない場所で「自分評価」を行ってください。 例えば: 投稿後にいいねの数がどうであれ、「私は、ここを気に入っている」という自分基準を最初に構築します。 3:SNSとの距離を調整する SNSの即時性から考えるとなかなか難しいかもしれませんが、投稿後すぐに評価を見ないで、一定期間(24時間など)経ってから確認する、など、即座の反応から少し距離を置く工夫をしてみてください。 他人の作品を見る際も、意識的に順序を変えてみましょう。 作品を最後まで読む→自分がどう感じたかを確認する→それからいいねの数を見る。 この順序により、「数字」ではなく「自分の感性」を判断基準にする習慣が戻ってきます。 4:目的を再確認する なぜコブさんは小説を書くのでしょうか? 読んでくれる人と出会いたい 目的がはっきりすると、「いいねの数」を手段やリサーチのひとつとして捉え直しやすくなります。 ■「いいねが欲しい自分」は敵ではない最も重要なのは、「いいねが欲しい」「認められたい」という気持ちを否定しないことです。 これらは人として自然な欲求であり、コブさんがここまで創作を続けてこられた原動力の一部でもあります。 問題なのは、「それだけになってしまうこと」であって、欲求そのものは決して悪ではありません。 「いいねを求める自分」も「創る喜びを大事にしたい自分」も、どちらもコブさんの本音として受け入れ、コブさんらしいバランスを見つけていきましょう。 ■成長のプロセスとして捉える多くのクリエイターやアーティスト、創作する人々が、コブさんと同じような道を辿ります。 最初の純粋な喜び、承認への渇望、そして再び本質への回帰。 いいねの数に囚われる経験よって、コブさんは「読者の反応」というものを学びました。 何が人の心を動かすのか、どんな表現が共感を呼ぶのか。これらは創作する人にとって貴重な財産です。 >いいねの数に取り憑かれて制作するのではなく、創る喜びを取り戻したいです。 今、コブさんはその学びを持ちながら、もう一度「創る喜び」という原点に戻ろうとしています。 これは、「戻る」というよりは、より成熟した創作者として、その先の道に進もうとしているということです。 ■まとめコブさんが「悩んでいる今」も、すでに創作の一部と言えるのではないでしょうか。 数字と向き合い、比較で苦しみ、それでも「創る喜びを取り戻したい」と向き合ったこと。 焦らず、小さな実験から始めて、少しずつ、意識的に、本来の自分の感性を思い出していく。 学生時代から言葉を愛してきたコブさん。 何か少しでもヒントになれば嬉しいです。 | |