父親の死

相談者名
たい子

3日前に父親が71歳で亡くなりました。
遠方の警察から『お父さんが遺体で発見されました』という電話がかかってきてとてもビックリしました。
孤独死でした。

父親は、わたしが中学生のころに母親と離婚し、ひとりで遠方で暮らしていました。
連絡は年に2回ほどしかとっていませんでした。

父親は、母親が離婚を切り出したとき母を包丁で刺そうとしたり、よく『自分を認めてくれないと自殺する』と夜中に騒いだり、自傷行為をしたり、仕事をろくにしていなかったり、子供時代にとても迷惑な親だなと思っていました。

私は年子の兄と2人兄弟ですが、私も父親も兄から精神的・肉体的暴力をうけており、8年前に亡くなった母親の葬儀で兄は父親を木刀で滅多打ちにして土下座させたと自慢げに吹聴していました。
わたしも兄に前歯を全部折られたことがあります。
父親が死んだと知らせると兄は『全て任せる』の一言のみ。
父親が住んでいた遠方までひとりで赴き、火葬も立会人もわたしひとりだけでした。
広い火葬場で、他の利用者もいなく、ひとりぼっちで父親を見送りました。
なんて孤独な最期なんだろうとたまらない気持ちになりました。
火葬した日の夜、私は泊まっていたホテルで大声を上げて泣きました。
父親が亡くなったことに対する悲しみとはまた別で、とてもしんどかったからです。

警察から渡された遺品の中に父親のスマホがあり、調べてみると多額の借金をしていたことが分かりました。
相続放棄の手続きをとる予定です。

また、なくなる3週間前に絵の個展をひらいていたらしく(父親は趣味で絵を描く人間で、私も現在絵を描く仕事をしています)、『おれはダ・ヴィンチを超えた』と知人にメールを送っていた形跡があり、これもなんとも言えない気持ちにさせられました。
絵を描くことにアイデンティティを見出しすぎているところもお金のやりくりができないところも自分と一緒だなと思うと親子だなあということを感じずにおれません。
それがとても嫌です。

これから父親の亡くなっていた家を捜索して貴重品や大事な書類がないか調べに行かなくてはなりません。

誰かに話をきいてほしい、誰かに今このしんどい思いを伝えたい一心で投稿させていただきました。
これから自分の生活にもどってゆくにあたってどういった心持ちで過ごしていけば楽になれるでしょうか。
とりとめもなく申し訳ありません。
よろしくお願いいたします。

カウンセラー
帆南尚美

たい子さん、ご相談ありがとうございます。
担当させていただきますカウンセラーの帆南尚美と申します。

このたびは大変な中、私たちにご連絡くださって本当にありがとうございます。
お父さんが孤独死をされ、おひとりで火葬に立ち会われるなど、普段なら向き合うことのない暗くて重くて辛い状況でたい子さんが孤軍奮闘されている文章を拝読し、涙がでてきました。

かつて精神的・肉体的暴力を受けていたというお兄さんに、お父さんがなくなった知らせをきちんと伝えたり、『全て任せる』と一言だけ言われて、遠方まで赴きひとりで火葬に立ち会ったり。
やるべきことを前にして、まずは淡々とそれらをこなしていかれるたい子さんは、とてもしっかりした方なんですね。
そしてしっかりしていらっしゃるからこそ、これまでも陰に日向にご家族をだいぶ支えられてきたのだろうと思います。

なくなる3週間前に絵の個展をひらいていたお父さんが、『おれはダ・ヴィンチを超えた』と知人の方にメールを送っていた形跡から、『なんとも言えない気持ちにさせられました。』と書いてくださいましたね。
私は少し、お父さんのお茶目な面を感じました。

また『絵を描くことにアイデンティティを見出しすぎているところもお金のやりくりができないところも自分と一緒だなと思うと親子だなあということを感じずにおれません。
それがとても嫌です。』と書いてくださいました。
ということは、たい子さんはお父さんと似ていて、それが嫌だということなんですね。

お父さんのことを『子供時代にとても迷惑な親だなと思っていました。』ということですから、そのお父さんと似ているということは、たい子さんはご自分のことを迷惑な存在のように感じていらっしゃるのでしょうか。

『絵を描くことにアイデンティティを見出しすぎている』ということは、「身の程をわきまえなさいよ、お父さん」という思いのようにも受け取れますが、いかがでしょうか。
もしそうだとしたら、(少し耳の痛い話かもしれませんが)同じ言葉をたい子さんご自身にも向けることがないでしょうか?

才能ある人たちは、世間から理解されない寂しさや孤独を味わわなければならないことが多く、それを避けるためにご自身の才能に蓋をして、可もなく不可もなく生きていこうとすることがあります。
また同様に、自分の価値に気づかず、価値なんかないという思いでいらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。

『広い火葬場で、他の利用者もいなく、ひとりぼっちで父親を見送りました。なんて孤独な最期なんだろうとたまらない気持ちになりました。』と書いてくださいました。
たったひとりでお父さんを見送ったときの、たい子さんの心細さは想像に余りあるものです。

たい子さんは、もし違ったらすみませんが、私ばかりババを引いてしまい運が悪いとか、厄介事や貧乏くじをつかまされるような星のもとに生まれてしまったんだというようなことを感じることがありませんか?
そのようなことは感じないに越したことはないのですが、あまりに波乱万丈な人生でいらっしゃる方は、そんなふうに思われることがあるようなのですね。

ただ、『どういった心持ちで過ごしていけば楽になれるでしょうか。』とおっしゃってくださっているので、たい子さんはいつも前向きになろうと努力される方なんだろうということが伝わってきます。

このような大変なことが起きた直後でありますから、何かを大きく変えようだとか、頑張ろうなどとするのは、あなたの心にたいへんな負担がかかると思うので、あまりおすすめしません。

その前提で、私からひとつご提案をさせてください。
それは、今のお父さんのお気持ちを想像してみていただきたいということです。

誰にも知られずにひとりで旅立ったお父さんですが、そのお父さんのお気持ちについて、たい子さんはどう思われますでしょうか?

たとえば、なのですが、私は勝手ながら、お父さんがたい子さんに対してこんなふうに思っていらっしゃるんじゃないかと思うんです。

それは、まずは今回迷惑かけて申し訳ないということ。
そして、自分はいつも誰にも認めてもらえていないという孤独と闘ってきた。
お金のやりくりも苦手で、愛する人にも去られてしまった。
子どもたちともうまくやれず、本当に自分はだめな人間かもしれない。
でも絵を描くことは大好きで、そこには自分の才能が隠れているんじゃないかという希望があった。
そんな自分をまるごと、唯一わかってくれたのはたい子さん、あなたなんだ、ということじゃないでしょうか。

そのあなたが自分の最期に駆けつけてくれたこと、お父さんはどう思っていらっしゃると想像されますか?

「こんなにうれしいことはない。ありがとう。たい子、お前は俺にとっての救いであり、希望だ。」
私にはそんなふうに、お父さんがあなたへの深い感謝と、あなたに分かってもらえる大きな喜びを感じていらっしゃるんじゃないかと思うのです。

ひとりの人に、そんな大きな喜びを与えられるあなたは、どれだけ素晴らしく価値ある人なのでしょうか。

そんなことを、ちょっとだけ考えてみていただけたらと思います。

とはいえ、これまでやってきたことや、やってこなかったこと、ご家族ひとりひとりへの文句や怒りや悲しみなど、今はまだまったく感じられないとしても、これから時間が経つほどに色んな感情が出てくるんじゃないかと思うのですね。

そのようなときはひとりで闘おうとせずに、信頼できる人に寄り添ってもらってくださいね。よかったらまた私たちにもご相談ください。

今回はご相談ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

職場の人間関係、夫婦・家族の問題を主に扱う。 「解決したい問題がある時に、悪いところを探して正そうとするのではなく、自分の魅力や才能を受け取れば物事を全く別の見方で捉えることができ、自分の枠から自由になり、のびのびと楽に毎日を送れるようになる」というスタンスでカウンセリングを行っている。