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Lecture.582-3

セックスレスの心理5(3)〜女性性の否定、男性性の否定〜

講師:根本裕幸

高度成長期から核家族が増え、家族がバラバラになりやすい状態が生まれました。特に仕事に熱心なお父さんを持つ家庭では、お母さんが行き場のない感情を抱え、子供たちをそのはげ口にしたケースも多く、そのため女性性を否定する女の子、男性性を否定する男の子が数多く育ちました。そうすると女性であること、男性であることを潜在的に嫌悪するようになり、否が応にも女であること、男であることを感じさせられるセックスを遠ざけようとしてしまうのです。

Keywords
セックスレス 男性性と女性性 セクシャリティ お父さん・お母さん ピーターパンシンドローム


●女性性の否定、男性性の否定〜お母さん・お父さんとの関係は?〜

また、みなさんのお母さんってどんなタイプの方でしたか?あるいはお父さん。
とても「感情的」、悪く言えば、ヒステリックなタイプの方は家族にいませんでしたか?

もし、いらしたとすれば、その感情的なお母さんに対してどう感じてましたか?

社会の変化を、高度成長期から核家族が増え、家族がバラバラになるシーンが増えていきました。また、転勤などで住環境が変わることも多く、家の中でお母さんが孤立する場面も多くなるんですね。
そうするともともと女性は感情や感覚がとても敏感なので(男性の10倍ほどと言われます)、行き先のない感情が子どもに向かったり、夫婦関係にけんかという形でもたらされたりするのです。

そうした時代に子供として育った世代では、そうしたお母さんの機嫌を取るために「お母さんのお母さん」をやってきたり、そういうお母さんを嫌がって外に意識を向けたりすることが多いんですね。

そうすると、お母さんが見せる、その「感情的」な部分をひどく怖れ、嫌うことになります。

女の子からすると、女性のお手本としてのお母さんを嫌悪する形となり、潜在意識の中で女性であることを否定し、嫌悪するようになります。

それは「男に生まれたかった」というよりも「なんで女なんだろう?」という形で現れるので、必ずしもボーイッシュになるわけでもありません。
しかし、女性であることを嫌う分、自立をして、感情を抑圧することにもなるんですね。

しかし、セックスというのは、否が応にも自分が女であることを感じさせられるものです。

自分が潜在的に嫌っている部分に直面せざるを得ないとしたら、女性であることを否定する分だけ、セックスを遠ざけようとしてしまいます。
もちろん、この傾向が強ければセックスだけでなく、結婚や恋愛をも否定することになります。

これはいわゆる“セクシャリティの抑圧”という問題です。

一方、男性はどうかというと、もし感情的なお母さんの面倒をあなたが見てきたとすれば、お母さんを助けるために、支えるために頑張ったのに助けられなかった無力感を強く持ちます。

それは男性としての自信を失わせるに十分で、潜在意識の中で「自分は女性を助けることができない男なんだ」という思い込みが生まれます。

男として自信を失ってしまうわけですから、セックスに対しても自信が持てません。

また、感情的なお父さん、高圧的なお父さんを持つ場合も基本的には同じことが起こります。
あなたが女性ならば、男性に対して幻滅し、反発し、そして、遠ざけることになり、あなたが男性ならば、そのお父さんを否定している分だけ、自分が男性であることを否定することになります。

その結果、セックスに対して後ろ向きの考えを持つようになるのです。

ここでのセックスレスは男性が男性であることに否定的で、女性が女性であることを嫌悪するといったことが原因で、セックスを遠ざけることで生まれます。

そのため、内なる男性性、女性性と向き合うことが大切であり、お父さん、お母さんを許すプロセスが必要不可欠となります。

また、お父さん、お母さんを否定する、嫌悪するということは、大人になれない/なりたくない(ピーターパンシンドローム)という問題でもあり、セックスレスに限らず、別の面でも問題が生まれくる可能性があります(仕事やお金、対人関係など)。

こうした問題を癒していくために、まずは、自分の心に素直になり、あなたが女性であれば自分が女性であること、男性であれば男性であることにどれくらい喜びと希望を感じているか、反対に嫌悪や絶望を感じているのかを丁寧に見ていきましょう。

ここでは理性的な判断はかえって真実を曇らせます。なかなか難しいことではありますが、「感じていく」ことがとても大切な心を見る方法です。

もし、あなたが女性であるとしたら、セクシーなファッションや表情に対し、どんな感情を持つかをチェックしてみるといいかもしれません。
または、大人の女性の凛とした雰囲気に対し、何を感じるか?も大切なチェックポイントですね。

また、あなたが男性であれば、野性的で肉体的な男性をどう感じるか?情熱でエネルギッシュな男性に何を感じるか?を素直に見ていくといいかもしれません。

それぞれに抵抗を感じたとしたら、あなたは女性性、男性性、特にセクシャリティを受け入れられず、嫌っている可能性が少なくないでしょう。

このレベルでは、女性性、男性性を受け入れていくためにセラピーが有効かもしれません。
お父さんやお母さんと向き合い、許していくアプローチ。
自分の中にある男性性、女性性を目覚めさせ、受け入れていくアプローチ。
自分が大人の男性・女性であり、その目線から両親を見ていき、許すアプローチ。

もちろん、これからのセラピーを受けなければセックスができるようにはならない、というつもりはありません。
選択肢の一つとして覚えておいていただければ、と思うのです。

さて、次回最終回はこの話の続き〜男と女ではなくなるとき〜をお届けしたいと思います。

 

>>『セックスレスの心理5(4)〜男と女でなくなるとき〜』につづく

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