レストランで一人で食事をしていた時のことです。
 急に近くにいた女性から、「そのブーツ、すごく素敵ね」と話しかけられたのが、最初でした。
また、ある時は、試着室で試着していると
 「その服、絶対似合っているから、買った方がいいよ」と話しかけられたり
 ただ歩いていると「ご機嫌だね」と声をかけられたり・・・
もう数年前になりますが、少しの間ニューヨークに住んでいた時のことです。
  
行く前は、「ニューヨークは競争社会、だから人もさぞや厳しいだろう」と思ってかなり身構えていました。
 それが、実際に行ってみると、全く見知らぬ人から話しかけられる、話しかけられる・・・
 初めはものすごくびっくりして、何と返せばいいのかとあたふたしました。
ちなみに、これは私が心理学を学ぶ前のお話しで、今よりもずっと対人関係が苦手でした。
 だから、私が特別話かけやすい雰囲気だったということはないと思います。
それから、人と会う時や人の会話を観察していて気づいたが、「みんなすごくほめ上手だな」ということでした。
 といっても、「そのネクタイ素敵ね」とか、そういう軽い感じです。
とにかくよく話かけられるので、「何でなんだろうな」と思って私なりに考えました。
 そして、文化もバックグランウンドも、人種も全く違うことに加えて、人の出入りがとても激しいので、うまくやっていくためには、それだけ積極的なコミュニケーションが必要なんだろうな、という答えに落ち着きました。
 なかでも、「ほめる」っていうのは言われた方も気分がいいし、敵意がないことも伝わる、一番安全なコミュニケーションともいえます。
だから、ほめるコミュニケーションは、知らない人同士がうまくやっていくための大切なツールなんじゃないかなと思いました。
  
「いきなりほめるというのは、ハードルが高い」と思われるかもしれませんね。
 ただ、ほめようとすると、相手のいいところを見つけるために、相手に興味をもつ必要があります。
 実は、コミュニケーションに苦手意識があると、「ちゃんと話せるかな」と意識が自分に向いてしまうので、相手を気にしているようでいて、自分に意識が向いてしまいます。
 だから、相手のほめポイントを探すというのは、相手に意識を向ける、相手に興味をもつとてもいい入口になります。
誰でも自分の興味をもってもらえると嬉しいですし、さらにいいところを見つけてもらえると、それだけで好感度がぐっとあがります。
また、人のほめポイントを探すことは、あなたにとってもメリットがあります。
 というのも、人のいいところ、魅力を探すために、いったんあなたの中にあるフィルターを通す必要があります。
 心理学でおなじみの投影の法則です。
 あなたの中にある要素が反応して、「あの人のここがステキ」「この人のここがいい」ってわかったり、気づくわけです。
だから、人のいいところ、魅力を探すということは、あなたの中にある「あなたのいいところ」や魅力を掘り起こすことにもなります。
さらに、人のいいところを見れるようになると、あなた自身も気分がいいでしょうし、もし、それを相手に伝えられるとしたら、お互いにとっても気分がいいはずです。
最初は「難しいな」と思われるかもしれませんが、やっていくと、あなたも相手も気分がいいですし、あなたの周りに「いい人」「素敵な人」が増えてきます。
ちょっと勇気を出して、あなたの周りを「いい人」「素敵な人」が多い、優しい世界にしてみませんか?