問題上司の対処法

私大塚は、過去に10年ほど会社勤めをしました。転職や人事異動で数々の上司と接してきましたが、その中には信頼できて面倒見のいい上司もいましたが、コロコロと方針が変わって部下を振り回す上司とか、威圧的で感じの悪い上司もいました。これは職場の人間関係に限ったことではなく、恋愛や結婚、友人関係など、あらゆる人間関係にあてはまることですが、基本的に、

「相手を変えることはできません」

自分ですら変わることはかなり難しいのに、まして、相手をこちらから変えるということは基本的には出来ないと私は思っています。

過去の私の経験では、問題上司に当たってしまったときは、結果的には私は転職をしたり、脱サラしたりしました。相手を変えることができないので、自分が変わるしかないという意味では、理にかなった方法であったかもしれません。

問題上司の対処法として、転職や独立するというのは、選択肢の一つではあると思います。

ただ、実際問題としては、簡単に転職や独立をするわけにはいかない場合も多いと思います。転職や独立が成功するとは限りませんし、今それなりの収入があるのであれば、転職や独立というリスクを負いたくない場合もありますよね。

そうすると、永遠とはいいませんが、ある程度の期間、その問題上司と付き合っていかなければならないことになります。

例えば、仲のいい同僚や後輩、信頼できる別の部署の先輩と飲みに行って、居酒屋でグチを聞いてもらうというのも一つの方法でしょう。夜の居酒屋でよくみられる光景ですが、心理学的にも、ストレスをひとりで抱え込まずに、誰かに聞いてもらうというのは、とても理にかなった方法です。

心理学では「カタルシス効果」というのですが、根本の問題が解決していなくても、誰かに話しを聞いてもらってストレスを発散することにより、心がスッキリしたり、落ち着いたりすることがあります。

みなさんも、辛かったり悲しかったり、悔しかったりしたときに、誰かに聞いてもらって少しは落ち着いた、少しスッキリしたという経験をされたことはないでしょうか。あれがまさに「カタルシス効果」であり、とても理にかなった方法です。

もちろん、カウンセラーにたくさん話しを聞いてもらうという方法でも「カタルシス効果」が得られます。

さて、それではもっと深く心理学を使って、問題上司への対処法を考えてみましょう。

みなさんの上司が、とても威圧的で、上から目線で、ダメ出しをする嫌味な上司だったとしましょう。普通は、単純に、「嫌な上司だなぁ」と思うだけかもしれません。しかし、ここでは、それにとどまらずに、次のような視点を持ってみてください。

「なんで、この上司は、こんなに上から目線なのだろう」

こんなふうに、少し客観的に考えてみましょう。

冷静に考えたら、「上から目線の言動」をされたら、相手は嫌がりますよね。この上司だって、他の人から「上から目線の言動」をされたら嫌な気分になるはずです。しかし、それでもこの上司は、「上から目線の言動」をしてしまうのです。

では、「上から目線の言動」をする目的はなんでしょうか。実は、なんと、その上司は、

「部下から嫌われたい」

と思っているということになります。もちろん、頭で意識して「嫌われたい」と思っているわけではありません。上司は、自然と「上から目線の言動」をしているはずです。

もしその通りだとしたら、その上司が本当にダメだと思っているのは誰でしょうか。「嫌われたい」という無意識の願いがかなって、部下から嫌われているとしたら、上司が本当に嫌っているのは誰でしょうか。

もうお分かりですね。そうです、上から目線の言動をしてしまう上司は、実は、自分のことが嫌いで、自分を否定しているのです。

しかし、上司ですから、「私は自信がありません」という感じの、卑屈な態度を取ることができません。そして、そのために

「ダメ出しをして部下を心理的に落とす」

ことによって、自分が心理的に上に立つということをしないと、心を保てないのです。そんなことをしなければならないくらい、上司は自分のことが嫌いなのです。そう考えると、確かにムカつく上司だけれども、ちょっと可愛そうな感じもしますよね。

このような構図は、仕事での人間関係に限ったことではありません。例えば、自分の妻に対してダメ出しばかりしている夫は、実は、心の奥底では、夫が自分自身を嫌い、自己否定しているのです。

そうすると、対処方法としては、相手に自信を持ってもらうというのがひとつの選択肢となります。上記の例でいえば、上から目線の言動をする上司や、ダメ出しをする夫に自信を持ってもらうということになります。

そして、自信をつけてあげる方法として有力なのは、「ほめる」、「感謝する」になります。なんと、あの嫌なムカつく上司を「ほめる」こと、上司に「感謝」することが対処方法なのです。みなさんが想像もしない対処方法だったかもしれませんね。

でも、意外と効果がある方法だと思います。上司は本当は自分自身にダメ出しをしているのです。そんな心理状況のときに、

「この前の顧客へのプレゼンの時は、部長にとても助けていただきました。本当にありがとうございました。」

と言ったとしたら、意外と心に響くと思いませんか。

そして、せっかく感謝してくれた相手に恩を仇で返すようにダメだしするというのは、心理的にはなかなかできにくいと思いませんか?

もちろん、不自然にほめたり感謝するのは逆効果になることもあります。ですから自然と「ほめる」、「感謝する」ことができるようなタイミンクが来たら、そのときだけでいいですからぜひ実行してみてください。上司とみなさんの関係が改善するかもしれませんよ。

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この記事を書いたカウンセラー