本当に好きな人だからこそ近づけない心理 〜自尊感情を高める視点から〜

本当に好きだからこそパートナーに近づけない

本当に好きな人だからこそ近づけない。実は本当に好きな人に対して僕たちは慎重になり、なかなかアプローチできない場合があります。今回はその心理について解説します。

2023年最後の心理学講座4回シリーズは

「自分の中に(私なりの)愛も優しさも与える気持ちもちゃんとあるのに、幸せな恋愛だけが選べない」

そんな皆さんのための講座です。

今回のシリーズ講座では、幸せを選択できなくなる理由(葛藤)について、4つのストーリーを用いて解説していきます。

本当に好きな人だからこそ近づけない心理

好きな人になかなか近づけない。

僕たちは本当に好きな人に対して慎重になり、あれこれ深く考えすぎてしまい、なかなかアプローチできない場合があります。

それは

「本当に好きな人だからこそ、近づいたときに失敗したくないし、相手にNoと言われて傷つきたくないから」

と理解されることも少なくないようです。

ただ、心の面から見つめると、そうとは限らないようなのです。

実は、僕たちは本当に好きな人になかなか近づけないのは、相手のことを大切に思う気持ちから生じていることが少なくないのです。

要は

「私は本当に相手の喜びになれる」と感じにくくなっているときに起こることが多い

と言えるのです。

だから、好きな人にはこちらの気持ちを理解してほしい、大切にしてほしいといった乙女心にも似た気持ちが湧き出すこともありますし。

人によっては「私(の気持ち)では相手を喜ばせられないだろう」と感じて、自分の中にある好きという気持ちを押し殺してしまう場合もあるでしょう。

逆に、私でも相手を喜ばせることができそうだ、と思える相手なら積極的に行動できるんです。

例えば「恋愛対象ではなく友人として捉えている異性」に対しては

さほど恐れることなく相手のために関わってあげることができる、といった感じです。

どうしたって本当に好きな人には愛してもらいたいし、自分の愛情や存在で喜んでほしい、と感じるもの。

だからこそ感じる「怖れ」によって、なかなか好きな人に近づけない、といった状態になることが少なくないんですね。

好きな人に近づくために知っておきたい「自尊感情」の話

さて、もし好きな人に近づけない理由が「私では相手を喜ばせられないだろう」という気持ちであるならば

例えば

「生まれてきてよかった」
「私は誰かの喜びになれる」など

自分を基本的にかけがえのない価値ある存在だと感じられているならば

本当に好きな人に近づく勇気を持ちやすくなる、といえますね。

このような「自分自身を基本的にかけがえのない価値ある存在だ」といった感情のことを

「自尊感情」

といいます。

この自尊感情は、自分自身の意欲の向上や良好な人間関係をつくろうという気持ちの源となる、と言われています。

なお、自尊感情には、2つの側面があると言われています。

「基本的自尊感情」

基本的自尊感情とは

「自分の存在自体を無条件に肯定できるような自尊感情のこと」です。

他人と比べなくても自分を自分のままで肯定できますし

たとえなにかに失敗したとしても自分自身を責めたり、過剰な後悔をすることはありません。

「社会的自尊感情」

社会的自尊感情は

「他者との比較や、目標の達成、何かを成し遂げたことによって得られる評価によって積み上げられる自尊感情のこと」です。

自分と他者を比べたり、他者から承認されたり否定されることで、上がったり下がったりする特徴があり

他者を評価にした相対的な感情だともいえます。

例えば

大きな失敗体験や、他者からの批判などを受けることで社会的自尊感情が損なわれる場合もあるのですが

再び何かしらのチャレンジをし、成功を収めることで、もう一度感じられるようにもなるものです。

好きな人に与える自信と好きな人の喜びになれる自信

この2つの自尊感情を、あえてわかりやすく言い換えるとしたら

好きな人に「与える自信(社会的自尊感情)」と

好きな人の「喜びになれる自信(基本的自尊感情)」となり

これは似ているようで少し意味合いが違うらしい、と考えられそうです。

例えば、好きな人のために美味しいお料理が作れる、相手を飽きさせない自信がある、といった気持ちは与える自信と言えそうです。

一方、自分という存在がきっと相手の喜びや希望になれる、といった気持ちは、喜びになれる自信と言えそうです。

この2つの自信はどちらがよい悪いといった視点で語れるようなものではなく

バランスよく感じられていることが理想的だと言われるものなんです。

ただし、「与える自信」ばかりに気を取られることも少なくないですね

ただし、僕自身、多く恋愛カウンセリングをさせていただく中で痛感するのは

僕たちはどこかで

「与える自信ばかりに気を取られてしまうことがある」

という部分なんですよ。

例えば、私は好きな人を飽きさせない自信がある、と感じられている人がいるとしましょう。

それ自体、本当に素晴らしいことなんです。

ただ、そういった方が本当に好きな人との失恋など経験したとすると

与える自信がある人でもに、本当に私は相手を喜ばせられるのか?といった不安が湧き出すことも稀ではないんです。

人によっては

与える自信を感じられるほどの努力を積んだ動機が、喜びになれる自信の弱さだった

という場合もないわけじゃないんです。

とかくいい人、努力家、責任感や使命感が強い人、尽くす恋愛をしがちな人に多く見られるのですけれども。

ただ、僕たちはどうしても好きな人に「与えること」に気を取られることも少なくないですよね。

悪いことでは決してないのですが、何を与えようか、どうすれば喜ぶか、ばかり考えてしまいがち、といいますか。

逆に、私自身が相手へのギフトなんだ、といった気持ち持ちにくいのかな、といいますかね。

好きな人に近づくために何に取り組むといいかを考えてみましょう

もし、あなたが好きな人に近づけないという状態になっているとしたら

自分自身の置かれている状況や心の状態をチェックしながら

・与える自信(社会的自尊感情)にフォーカスした行動が適しているのか

(与えられるものを増やす・愛することにチャレンジするなど)

・喜びになれる自信(基本的自尊感情)にフォーカスした取り組みがよいのか

(人と気持ちを分かち合う・自分を大切にする行動を多くする、など)

どちらなのかをある程度考えておいてもよいかもしれません。

例えば、喜びになれる自信が感じられていない状態で、与える自信を高めても好きな人に近づけない状態が続くことも考えられますのでね。

以上、何か参考にしていただければ幸いです。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
  1. 本当に好きな人だからこそ近づけない心理 〜自尊感情を高める視点から〜
  2. 両親より好きになれる人を作らないという心理 〜オトナになることで幸せが選べる〜
  3. 自分が与えることの価値が信じられない 〜心の交流が価値を感じるきっかけとなる〜
  4. 押しまくる恋愛ばかりでうまくいかない ~自分だけでなく相手の気持ちに着目しよう~
この記事を書いたカウンセラー

About Author

年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。