コンプレックスの心理~劣等感と自己嫌悪~

劣等感コンプレックスは誰にでもあるものですが、それが原因で物事がうまくいかないような気がしてしまうものです。

コンプレックスというと、心理学的には広い意味を持ちますが、今回はもっとも一般的な「劣等感」に関するコンプレックスのお話しをさせていただこうと思います。

カウンセリングの中で、内面的・外見的にコンプレックスを扱っていく機会はとても多いですね。
自分自身に関するものだけでなく、場合によっては家族や友人、パートナーがコンプレックスになることもあります。

そうしたコンプレックスは自己嫌悪や自己否定を作り出し、僕達を幸せにしないように足を引っ張る要因になってしまっています。

自分のコンプレックスと向き合おうとすると、とてもイヤな感じ(エゴの抵抗)を感じるので、ついついそこを見ないようにしたり、意識的に隠したりもしてしまうものですね。
例えば、女性は胸が小さいとコンプレックスになりやすいですよね。
そうすると「寄せて、上げて」にとっても気を使うようになります。

内面的にも「私はすごく冷たい女」だと思っているとすると、「どうせ私は嫌われるだろう」って無価値感を刺激してしまいますので、恋愛や対人関係で踏み込めない関係を築いてしまったり、本意ではない恋愛を繰り返してしまうことになります。

また、自分が住む家に対してコンプレックスを感じていると、友人や恋人を家に招けなくなりますよね。そうすると、それが相手に対して心を閉ざしてしまうことにもつながります。

そうして、結果的に自分の幸せを選べなくなり、犠牲的、あるいは抑圧的な毎日を過ごしてしまうのではないでしょうか。

劣等感コンプレックスが作り出す一番大きな罠は「あなたが幸せを選べなくしてしまう」ところにあります。

そんな自分を変えていこう!というのがまずは僕からの提案なのです。

●コンプレックスの誕生と成長

多くのコンプレックスは思春期に生まれます。
子どもから大人に変わり始めるプロセスで、他人を他人、自分を自分として認識し始める頃に生まれやすいんですね。

思春期になると周りと自分とを比較するようになります。
その比較の結果生まれるのが「優越感」と「劣等感」です。

それまでの優越感、劣等感は自分自身というよりは家の問題によるものが多いのですが、自分自身に関わる劣等感が出てくると、自分の問題としてより強く、リアルに感じられるものですから、コンプレックスとして強く意識しやすくなるんですね。

ですから、その劣等感を感じるところから“自己嫌悪(自分のことが嫌い)”が生まれて、やがて“自己否定(自分はダメだ)”へと行き着くわけです。

ところが、この多くのコンプレックスは“誤解”によるものや“過剰”な判断によるところが大きいんです。

思春期の頃は特に完璧主義に陥りますから、完璧な自分を目指して努力しようとします。
それが自分自身を成長させてくれる要因にもなるんですけど、同時に完璧じゃない自分に酷く自己嫌悪を感じてしまうんですね。

その完璧さを求める気持ちが強ければ強いほど「とっても青い隣の芝生」を探すようになります。
それはあたかも、自分自身を否定するために探しているんじゃないの?という感じがするくらいです(周りから見ると卑屈な感じすらする)。

皆さんも思春期の頃は、鏡を見て一喜一憂したり、髪の曲毛に絶望を感じたりしたこともあったかもしれません。

でも、その頃抱いたコンプレックスの多くは成長するに従い、恋愛や友人、学業、仕事などを通して癒されていきます。

「中学の頃はすごく深刻に悩んでたけど、今から思えばアホみたいやわ」
なんてことも皆さん一つや二つはあるんじゃないでしょうか。

ところが、中には成長していくにつれてより強められていくコンプレックスが存在していたりするんですね。
それが大人になっても感じるコンプレックスなのです。

●コンプレックスとは「うまくいかない理由」のシンボル

コンプレックスというのは物事がうまくいかない理由の“シンボル”になります。
シンボルっていうくらいですから、このコンプレックスそのものが問題というよりも、それが自分自身のパターンを作り出す要因になっていたり、あるいはもっと深い、別の理由がその背景に存在していたりします。

シンボルという言葉にぴんと来なければ“看板”と置き換えてもいいかもしれません。

先ほど“誤解”と書いたのですが、コンプレックスの多くは他人との比較だったり、自己分析の結果だったりするんです。

例えば、友達ができない、彼女ができないって悩みを持つ男の子がいるとしましょう。
彼はその理由を一生懸命“自分で”考えるんです。
そして、はたとある理由に気付きます。
「俺のこの不細工な体型があかんねや」

そして、彼は一生懸命ダイエットに励み、かっこいいスタイルに生まれ変わったとします。
ところが、それで多少人との接点に自信を持てるようになったものの、その後が続かないと、なかなか悩みは解消されません。
そこで彼はまたも“自分で”必死に原因を分析します。

そうすると彼は「そっか、俺、話がうまくないからあかんねや」と思いつくわけです。
そして、話し上手になろうと必死に研究したり、そうした教室に恥ずかしいながらも通ってみたりするんです。

それでもなかなかその気持ちは解消されません。
周りからは「上手になったんじゃない?」と言われてもイマイチ受け取れないんですね。
やはり彼女もできず、人ともうまく付き合えないままなのですから。
そして彼は絶望の淵に落ち込んでしまったり、諦めてしまうようになります。

いったい彼の心理に何が起きているんでしょう?

●コンプレックスを理由にしてしまっていませんか?

それは一言で言えば「コンプレックスに感じているものが物事がうまくいかない原因ではない」ということなんです。

先ほど書いたように、コンプレックスの多くは“誤解”であり、また“思い込み”なんですよね。
先に「うまく行かない」と思う出来事があり、それを“自分で”分析した結果がコンプレックスと呼ばれるものの多くです。

「だって彼に言われたもん!」という場合もあるでしょう?
でも、その彼の言葉を信じているのは自分自身だということに気付いてみましょう。
彼の言うことの全ては信じてないのに、そのコンプレックスを刺激する言葉だけは、なぜか、信じ込んでしまっていませんか?
つまりは、それが自己嫌悪、コンプレックスを正当化しようとするエゴの罠なのです。

そんな風にコンプレックスを感じていると物事がうまくいかなくても、それが格好の理由になってくれるんです。
だから、僕たちはなかなか自分のコンプレックスを解消できない・・・あるいは、手放せなくなってしまうんですよね。

そして、コンプレックスを解消しようとすることは、自分自身を否定して何者かになろうとするのと同じなんですよね。
先ほどの例の彼が、話がうまくできるように頑張ってしまうのは、それ自体は悪いことではなくても、彼なりの魅力を失う要因になったりします。
だって話はうまくないけど、味のある話をする人だっていますよね?

●コンプレックスの影に隠れた理由とは?

じゃあ、本当の理由って何だろう?というと、その多くは相手の存在が教えてくれます。
コンプレックスに捉われると、実は自分のことばかりが気になって相手の姿が見えなくなってしまうんですね。

そうすると相手の気持ちが見えなくなったり、自己中心的な判断(決め付け)をしてしまったり、人を信じられなくなったりします。

先ほどの男の子の例ですと、人とうまくいかないのはそもそも体型の問題だったんでしょうか?
そう自分自身で判断してしまったんだけど、はたしてそれが本当の理由かどうかはその後のプロセスを見ていけば明らかだと思うんです。

カウンセリングを通じて、自分が思っていた理由(コンプレックス)と本当の理由がずいぶんと乖離してしまっている例をたくさん見てきました。

「人とうまく話せないから人付き合いがうまくいかない」と思っていたある女性の話を伺っていたら「お母さんに否定され続けたこと」が主な原因じゃないかと思えたことがありました。(それがコンプレックスを作る要因にもなっていたんですけどね)

「胸が小さいからセックスを拒んでいたんです」というある女性(これをテーマにしたカウンセリングって意外に多いんですよ)の場合は「両親の期待に応えようとしたこと」が主な原因でした。

「スタイルに自信がないのでいつも人に壁を作ってしまう」というある女性(このテーマも多いですね)は「小さい頃から孤独感が強い」ことの方が大切に思えました。

●コンプレックスを癒す(1)

本当の理由を見つけ、そこと向き合う方が問題の解決になることが少なく無いんですね。
問題が解決した暁には「コンプレックスだと思ってたけど、全然気にならなくなった」なんてことがよくあるんです。

ご主人とのセックスレスで悩んでいたある女性は自分のスタイルに全然自信がもてなかったんです。
だから、セックスをすることにとても臆病になっていて、それが原因だと思っていたんです。
(僕から見れば、スタイルが悪いなんて全然思えなかったんですけどね)

彼女の場合は、スタイルというよりも内面的に大人になるのを恐れていたことが原因でした。
そこで、両親との関係や大人の女性を受け入れていくプロセスを一緒に歩んでいったんですね。

そして、彼女が自分に自信を取り戻していったとき、気にしていたスタイルの悪さもだいぶ解消されていたんです。
その間にダイエットに成功したり、フィットネスクラブで体を鍛えたり、ということはしてないにも関わらず。

こんな風に本当の理由を見つけ、そこを癒していくことで、問題とコンプレックスを一緒に解消できることもありますね。

●コンプレックスを癒す(2)

一方で、コンプレックスがご相談内容そのものになったりすることも多いです。
先ほどから例に出している「人とうまく話せない」というものは典型的かもしれません。

自分がコンプレックスに感じているものをきちんと見つめてみることってすごく勇気が要るものですね。
嫌悪感が出てきますし、怖いものです。

その時、そのコンプレックスが生まれた背景を探っていくことで、それを解消していくことができる場合があります。

ある女性は「人とうまく話せない」背景に、厳しく、抑圧的なお母さんとの関係がありました。
そこで、彼女の心の中にいるお母さんと向き合うようなセラピーを繰り返し行っていったんですね。
そうして、そのお母さん像が変わってくる(現実にもお母さんとの関係が改善していきました)と、「人とうまく話せない」ことが気にならなくなっていました。

気にならなくなるってことは別に「うまく話せるようになった」というわけではありません。
でも、うまく話せない自分に嫌悪感を持たなくなっていった分だけ、彼女は自由に、明るく話をしてくれるようになっていたんです。

●最後に

そんな風に(僕の)カウンセリングの中ではコンプレックスそのものよりも、それを“シンボル”として扱い、その裏側を見ていくことで解消していくことが多いですね。
もちろん、中にはそのコンプレックスを直視することも必要になる場合もありますが、それよりもその背景、裏側にある心理が重要になってくるようです。

この記事があなたの見方・視点を変えるお役に立てれば幸いです。

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