想いを伝える

私が心理学を学んで良かったことのひとつに、人が持っている愛情に以前より気づきやすくなった、ということがあります。
相手の良いところを見つけるのが当たり前のようになってきたおかげで、自然と気づきやすくなった感じです。
でも、実際にそれぞれの人が、持っている愛情を具体的に表現しているかというと案外そんな機会は少なく、意識して作らないとなかなかないのかもしれません。
昨年私の両親は結婚して50年、めでたく金婚式を迎えました。
それは本当に有難くて、素晴らしいこと。
両親の子どもである私と弟2人、の3人姉弟で相談をして、それぞれの家族みんなで集まって金婚式のお祝いの会をしようという話になりました。
「どんな風にお祝いしようか」ということで
「お店はここね」「両親のことは誰々が車で送迎しよう」
「プレゼントは・・・やはりお花が嬉しいかな」などと意見を出し合っている時
「お父さんお母さんに向けたメッセージをみんなで寄せ書きして渡そうか」というアイデアが出ました。
しかし、1番下の弟は
「そこまで本格的にしなくても、お花を渡して記念写真だけでもいいんじゃない?」との意見。
その時に私の中で思い浮かんだことがふたつ。
ひとつは、当時社会人になったばかりの私の娘が家でぽろっと言った言葉
「大人になるとなかなか褒めてもらえることってないね・・・」
もうひとつは、カウンセリングの現場やヒーリングワーク(カウンセリングサービスの母体である神戸メンタルサービスが行っているワークショップ)などで感じていたこと。それは、例えどんなに親に悪態をついている人でも・・・みんな本当はお父さんお母さんのことが大好きなんだという事実。特に男性は、普段それほど表現しない分、びっくりするほど深い感謝の気持ちをもっていたりするということ。(このことに関しては、それこそ頭で理解と言うよりは、完全に腑に落ちている、お腹の底から自分の常識になっている・・・という感じです。

みんな本当はこんなに大好きだったり感謝したりしているのに、実際はそんな気持ちを言葉にして伝える機会ってあまりないのかも・・・とどこかでいつも思っていました。
だとしたら、今回のお祝いイベントでは、特に男性陣、少々恥ずかしくても、言葉にして伝えておいてもらわねば!家族だから多少強引でもいいよね、とばかりに久しぶりに強いお姉ちゃんに戻り、弟たちに「絶対にメッセージ書いてね!!」といばって命令したのでした。
当日までの日々、パソコン作業が得意な弟が、みんなからのメッセージを集めてくれ、結局出来上がったものを見てみると、用紙1枚で・・・と思っていたのが、みんなからのメッセージが多すぎてなんと8ページの冊子となっていました。
そして、そこまでしなくてもいいんじゃない?と言っていた弟が、私から見ると、ほろっと泣ける懐かしいことを書いていました。
当日のお祝いの会でそれを渡すと、父も母も、静かに読んで、心から喜んでくれました。
今回このような形でみんなで集まることができて、弟のお嫁さん、我が夫の優しさにも大感謝です。
本当にいつもありがとう。
姉弟で企画し実行する中で、幼い頃のイメージが強かった弟たちですが、それぞれ立派に仕事をこなす男性になっていたことにも、今更ながら気づいた私。
子どもは、どこかで完璧な親を求めますが、親も親で一人の人間なのですよね。
欠点もあれば、至らない部分もあるわけです。
子ども心には、もっとこうしてくれたらよかったのに、と思ってしまう部分もあるかもしれません。これを読んでいる方の中には、感謝することが難しい・・・と思っている方もいるかもしれないですよね。私にもそういう時期がありました。
でも、身近な家族や身近な人に対して、「好きなところ」「感謝しているところ」「尊敬しているところ」。ほかにも「こんなことがあったね」という共通の想い出・・・。
伝えてみるというのはとってもおススメです。
伝えなくて後悔することはあっても、伝えて後悔することはないかなーと思います。
経験者は語るです。
読んでいただいて、ありがとうございました。
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