すごく楽しかった後は心の状態がネガティブになりやすいようです
気分が上がった後もとに戻るときに、過去の嫌な記憶が思い出されやすく、後悔などをしやすいのです。苦しい自分責めをなるべくおさえるための、ヒントをお伝えします。
みなさんは、イベントやパーティなど、久しぶりに「ものすごく楽しかった」と感じた日の後に、気分が落ち込んでしまうことがありませんか?
ある人は「ひとり反省会」と言われるように、そのときに会った人たちとの会話やあなた自身の態度について「あんなことをしなければよかった」と思い悩むかもしれないし、
ある人はそのイベントなどとは無関係の、だいぶ以前にしくじったことなどを思い出して「なんであんなことをしちゃったんだろう」などと過去の出来事をあらためて後悔してしまうかもしれません。
ひとり反省会はその直前の楽しかった日のことについて反省するので、楽しかったその日との関連がわかりやすいと思います。
しかし、以前のしくじりをあらためて猛省するのは、「もう終わったことなのに、なんで今さら」などと感じるかもしれませんね。
どちらも「楽しかった後に自分を責めてしまう行為」といえるかもしれません。今日はその心理的な理由と対処法をご紹介します。
◇ 楽しかった後にやってくる自分責めの正体(心理)
楽しかった後にやってくる自分責めの正体(心理)はさまざまありますが、代表的なのは「気分は上がれば下がる」というものです。
ものすごく楽しかった!というときは気分が上がっていたと言えると思うのですね。しかし上がったものは元通りになるために下がらなければなりません。
思いっきり上がった気分が下がるときに、過去のしくじりを心が思い浮かべやすいといえるのです。
これは「気分一致効果」と呼ばれるのですが、現在の気分と似たような気分のときの記憶などが、容易に思い出されたりする心のしくみのようなんですね。
気分が下がっているときは、落ち込んだり、悲しい気持ちになったり、不安になったりすると思います。そのようなときに、そのようなネガティブな感情と結びついた記憶(過去の失敗や嫌な出来事、過ち、後悔など)が思い出しやすくなるようなのです。
楽しくて上がった気分が元通りになるときは、過去の嫌な出来事を思い出しやすいので、自分責めをしやすい心の状態にあると考えることができるのです。
◇楽しかった後にやってくる自分責めの対処法
楽しかった後にやってくる自分責めの対処法として、もっとも大事なのは「気分は上がれば下がる」と【知っておくこと】です。
「気分は上がれば下がる」と知らないと、楽しかった後に自分責めが止まらないとき、自分のコントロール不能なできごとが起きているように感じて、不安をたくさん感じてしまうのですね。
しかし「気分は上がれば下がる」と知っていると、場合によっては心の準備をしておくこともできるし、気分が下がって自分責めをしてしまっているときに「あ、あれか」とわかるので、たとえ「気分が下がる」ことは避けられなくても、「知っている」ことで不安や動揺を抑えられたりするのです。
・自分責めへの対処
気分は上がれば下がると知っていても、自分責めをやってしまって苦しいときはあるはず。そんなときは、
「そうか、今は楽しかった後で気分が下がっているから、自分責めをしやすいんだな。」
と、現状把握をしたり、
「心が通常モードに戻れば、この自分責めはおさまるはず。あと数日乗り切ろう。」
と、この状態は延々と続くものではないとあらためて認識するのもいいですね。
そして、
「それだけこの間は楽しかったってことなんだな。」とか、「楽しかったよね」などと、自分にやさしく寄り添ってあげてください。
楽しかった後にやってくる自分責めには、立ち向かおうとするよりも、あなた自身を大切にしながらやりすごすことがおすすめです。
・「あんなことを言わなければよかった地獄」から抜け出すには
「あのとき、ああしていれば」などと、あなたの言動を何度も後悔してしまう「あんなことを言わなければよかった地獄」は、抜け道が見えずに苦しいもの。
そんなときは、あんなことを言わなければ(しなければ)と思うほど、そこにいた誰かのことを、あなたが大切にしたかったといえますからね。あなたのやさしさが隠れていることを思い出してくださいね。
しかも、人は完璧じゃなくても愛されるのです。
完璧じゃなかった出来事も、それを思い出して悩んでいるあなたも、完璧じゃないからこそ、人に愛するスキを与えているといえるのです。間違いのない人間は立派かもしれないけれど、愛しにくかったりするんですね。
完璧じゃなくてもいい。そんなふうに自分に言ってあげてくださいね。
◇気分が下がっているときを乗り切る秘訣
気分が下がっているときを乗り切る秘訣は、つらい気持ちを分かち合うことです。
ひとりで苦しみ、ひとりで乗り切るのは、たとえ心が通常モードにもどるまでの数日間だったとしても、おすすめしません。
ひとりでいると、さらに悪い方向に物事を考えやすくなるので、耐えがたい時間になってしまうからなんですね。
あなたの気持ちをわかろうとしてくれるような信頼できる人に、ぜひあなたのつらい気持ちを分かち合ってみてくださいね。
「今、気分が下がっていて、しんどいの。」と言ったら
「そっかー。」と聞いてくれたりする人、
「この間、すごく楽しかったんだけどね。」と言ったら
「良かったね!」と喜んでくれたりする人。
言葉にして今の気持ちを伝えること、そしてその言葉を受け止めてもらうこと。
たったこれだけで、私たちの気持ちは軽くなったり元気になったりすることがあるのです。
もちろん、よろしければ私たちカウンセラーも頼ってくださいね。
ご参考になりましたら幸いです。
(完)