子育てのすれ違い~夫婦はどう向き合えばいいの?~

ただの「口座の話」のはずだったのに

「初めてのバイトが決まった!」
喜ぶ我が子。バイト先に行く前日の夜に、
「バイト先から『口座番号教えて下さい』と、言われた」
と、話してきました。

「え、早く言ってよ!」
手元に、こども用の口座はあるにはあるのです。ただし、ロックがかかっていました。(暗証番号3回ミスで、無慈悲な「使用できません」表示・・)

・慎重な夫VS感情的な私

さあ、ここから夫婦の意見はバッチバチに割れます。
「口座に関してなにか伝えるのは安全確認できてから。口座ってなにか?も、本人に説明しよう」
夫は言います。たしかに。ごもっとも。理にかなっています。冷静で着実。

一方で、私は
「こどもが『早く口座番号知りたい。番号が無理でも、口座の有無だけでも教えて欲しい。どうしよう』と言っている。今だって泣いているじゃん。通帳とかは後で渡して、口座の有無だけでも教えてあげてようよ!」
と、つい強い口調で言ってしまいました

私はこどもの感情担当。夫は仕事か?と思う話しぶり。かみ合わない夫婦会議になりました。

 

「イライラ」の正体

その夜、私は一人で
「なんであんなにイライラしたのだろう」
と、考えたのです。

見えてきたのは、こどもが不安になるのが怖かった私。そして、私はこどもの不安に巻き込まれた。だからこそ
「こどもの味方=夫を敵にしたくなった・責めたくなったのだ」
と気づきました。

・夫の不安

でも、ふと「夫はどんなときも家族を守ろうとする人だよな」と、思い出したのです。

彼はたしかに冷静な慎重派。でも、そこには
「絶対にこどもと家族を困らせたくない。守りたい」
という強い使命感と強い愛があったのです。

・行動は正反対。でも思いは同じ

実は、私たち夫婦。
「こどもが社会に巣立っていくこと」に、二人して不安があったのかもしれないと思い当りました。だから、守りたい。

そして、こどもを心から愛している。幸せになってほしい。こどもの役に立ちたい。

どの思いも、同じです。でも、不安に対する行動は真逆。だから
「なんでわかってくれないの!?」
と、ぶつかりました。

 

正しさを争うと、家族チームが負ける

「正しさ」を競い合うと、誰かが勝って、誰かが負けます。それは、家族チームとしては「負け」もしくは「不幸」です。特に、こどもをはさんだ正論合戦ほどこじれます。どちらが正しいかじゃなくて、「どちらもこどもを思っている」という視点が大事だと気付いたのです。

・仲直り

翌日、私は夫にラインを送りました。
「昨日は不安から焦っちゃった。あなたが安全とリスクを考えてくれたのに、言いすぎてごめんね。カードと口座、こどもに渡せる状態にしたから、あなたから渡してあげてください。よろしくお願いします!いつもありがとう」

夫から速攻仲直りのラインが来ました。なんだかとってもうれしかったです。

・対等さ

夫婦のあいだで
「私の言うとおりにして」
こういう会話は、話し合いじゃなくて、相手をコントロールしたいのかもしれません。

逆に、
「どうせ私が間違っているから」
と、卑屈になるのも、夫婦チームからおりてしまっているかもしれません。

私も、どちらも今までたくさんしてきました。でも、これから「対等さ」も育てていきたいと思うのです。

 

子育てのすれ違いに悩むあなたへ

夫婦の子育ての方向性が合わずに、本気で悩まれている方も少なくありません。

お互い育った環境も、価値観も、愛の伝え方も違う二人が、同じ子を育てる。それは、奇跡みたいなチャレンジです。

社会で生き抜く男性の目線は
「将来、社会で困らないように」

10月10日おなかのなかで一心同体だった女性は
「今、この子の不安に寄り添ってあげたい」

必ずしも当てはまりませんが、こういうケースが多いかもしれません。

でも、どちらもその行動の根っこには不安もあるし、深い愛もあります。違いがあるからこそ、言葉にして伝え合っていくことが大事です。

・「夫婦はチーム」

ケンカしても、いい。違う視点だからこそ、多角的に支え合えます。

でも、時に
「今、正しさを競い合っていない? 自分だけが勝とうとしていない?」
「夫婦はチーム。チームとしてどうか?」
夫婦チームとしての視点もあると、家族はますます幸せで楽しいものになってくれるのだと思います。

みなさんの子育ての、なにかのお役に立てたら嬉しいです。

来週は、小川のりこカウンセラーです。
どうぞお楽しみに。

 

[子育て応援]赤ちゃんの頃から、思春期の子、そしてそんな子どもたちに関わる親とのお話を6名の個性豊かな女性カウンセラーが、毎週金曜日にお届けしています。
この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛・夫婦・子育て・人間関係など、生きづらさや悩みを抱えたかたに、穏やかに、寄り添うことを大切にしている。「話すことのすべてを大切に聴いてもらえる安心感」がある。あらゆる人のなかにある豊かな才能・魅力に光をあて、生きる力を一緒に育む。共感力の高いカウンセラーである。