「頑張らない」勇気を持つ夏 ~完璧主義を手放して心軽やかに過ごすには~

こんにちは。
心理カウンセラーの近藤あきとしです。

毎日暑いですね。
皆さん夏を楽しんでいますか?
この季節は、解放感とともに、どこか焦りや漠然としたプレッシャーを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「夏休みだから、何か特別なことをしなきゃ」
「せっかくの長期休暇だから、あれもこれも達成しなきゃ」

もしあなたがそんなふうに感じているなら、一度立ち止まって自分を見つめ直して、「あること」を思い出す必要があるかもしれません。

「頑張らない」という選択が、実は最高の休息であり、心の豊かさにつながる「勇気」である、ということを。

●完璧主義の落とし穴 ~見えない重圧~

現代社会は、とかく「頑張ること」を高く評価しがちな社会と言えます。
仕事でも、勉強でも、プライベートでも、私たちの周りには「もっと上を目指せ」「もっと効率的に」というメッセージに溢れているように感じます。
特にSNSの普及により、他の誰かの「充実した日々」が可視化されるようになったことで、「自分も完璧でなければ」という無意識のプレッシャーを感じやすいのではないでしょうか。

夏休みという開放的な時期であっても、この完璧主義の傾向は顔を出します。
旅行の計画は完璧に立てなければ、子どもとの思い出は最高の形で残さなければ、ダイエットも夏のうちに成功させなければ・・・

しかし、こうした「ねばならない」思考は、いつの間にか私たちの心に静かに重荷として伸し掛かってきます。
そして、目標が達成できなかったときには、自己嫌悪に陥ったり、自信を失ったりしてしまうことも少なくありません。

完璧を目指すことは、決して悪いことではありません。
ただ、もし、それが心の負担となり、自分自身を追い詰める原因となるならば、一度その重い荷物を下ろしてみる勇気が必要だと私は考えています。

●「頑張らない」ことの本当の意味

私がお伝えしたい「頑張らない」とは、決して怠けることや、目標を持たないということではありません。
それは、「完璧であること」や「常に努力し続けること」という自分自身を縛ってしまう思考から解放され、「自分にとって本当に必要なこと、心から望むこと」に意識を向けるということです。

例えば、夏休みの計画を立てる際、「行きたかった場所はすべて行く」「会いたい人には全員会う」といったリストを作るのではなく、「今年は、家でゆっくり読書する時間を大切にしよう」「近所のカフェで、のんびり過ごす日を設けよう」といった、「何もしない時間」を意識的に組み込むことです。

また、完璧な思い出作りを目指すのではなく、子どもとの何気ない会話や、夕暮れの空を眺める時間など、「小さな幸せ」に目を向けることでもあります。
完璧な写真が撮れなくても、計画通りに進まなくても、「これもまた良し」と受け入れる柔軟な心を持つことが、「頑張らない」勇気の第一歩になるのです。

●「許す」ことから生まれる心のゆとり

「頑張らない」勇気を持つために、特に大切なのは「自分を許す」こと。私たちは、知らず知らずのうちに自分自身に厳しい評価を下しがちです。
「もっとできるはずなのに」「こんなこともできないなんて」と、自分を責めてしまうことってありませんか?

夏休みは、普段の自分から少し離れて、ありのままの自分を受け入れる良い機会です。

・目標達成できなかった自分を許す
・完璧でなかった自分を許す
・休んでいる自分を許す

自分を許すことで、心の奥底にあった緊張が解け、不思議と心が軽くなるのを感じられるはずです。
この「許し」の感覚が、あなたに本当の心のゆとりをもたらしてくれるでしょう。

●夏に実践する「頑張らない」ヒント

では、具体的にこの夏、どのように「頑張らない」勇気を実践していけば良いのか。
いくつかヒントをお伝えしますね。

1.「To Do」リストではなく「To Be」リストを作る
達成すべきこと(To Do)ではなく、「どんな自分でいたいか」(To Be)に焦点を当ててみましょう。
「ゆったりとした気分で過ごしたい」「心が満たされたい」など、感情や状態をリストアップします。

2.デジタルデトックスの時間を設ける
スマートフォンやPCから離れ、意図的にオフラインの時間を作ります。
自然の中で過ごしたり、静かに瞑想したりすることで、情報過多な日常から心を開放します。

3.「~すべき」を「~したい」に変える
義務感からくる行動を、自分の心からの欲求に変えてみましょう。
例えば、「読書すべき」ではなく「読書したい」と置き換えることで、行動へのモチベーションがポジティブなものになります。

4.「あえて何もしない日」を作る
具体的な予定を入れず、その日の気分で行動する日を設けましょう。
思いつきで散歩に出かけたり、好きなだけ昼寝をしたり。
計画性がないことへの罪悪感を手放し、自由を味わってみてください。

5.不完全を受け入れる練習をする
予定が狂ったり、思い通りにいかなかったりしても、「これもまた面白い経験だ」「あ~、今日はこういう日か」と捉え、完璧でなくても良いと受け入れる練習をしてみましょう。

●心軽やかな夏を過ごすために

「頑張らない」勇気を持つことは、自己肯定感を高め、心穏やかに過ごすための強力なツールとなります。

この夏、もしあなたが心のどこかで「もっと頑張らなきゃ」と感じているなら、一度その手を緩めて、自分自身に優しいまなざしを向けてみてください。

完璧ではない自分を許し、頑張らない選択をすることで、これまで見えなかった心のゆとりや、本当に大切なものが見えてくるかもしれません。

この夏が、あなたが心軽やかに、そして自分らしく輝ける時間となることを心から願っています。

このコラムが、あなたの心に寄り添い、少しでもお役に立てれば幸いです。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

超自立男性との恋愛・コミュニケーションに関わるお悩み・慢性的な生きづらさの解消などを得意とする。 理論的な“心理分析”と、感覚を使った“心理セラピー”を活用する多面的なサポートが好評。 問題の裏に隠れた「真実の物語」を読み解き「自分の本質を生きる」ことを目指すカウンセリングを提供している。