お母さんを許せない心の癒し方(1)~「親密感への怖れ」という罠~

パートナーシップの問題の多くは、「親密感への怖れ」からくると言われます。

私たちは、一番欲しいものを手にいれることを怖がって、手に入れられそうな状況になると疑って、せっかく創ってきた関係性を壊すようなことをしてしまいがちです。「親密感への怖れ」は、「お母さん」を許せない心が作り出す罠のようなものなので、よりよいパートナーシップを手にいれるこれとを目標に、「お母さん」を許せるほど成熟したいと願ってみましょう。

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こんにちは。
カウンセリングサービスのみずがきひろみです。

心が成熟するためには、男性でも女性でも、女性性を開くことがどうやら大事らしいということにお気づきの方が増えてきています。男性性を使って、がむしゃらに頑張るだけでは「幸せ」になりにくいということを、頑張ってきた人ほど身にしみていらっしゃるからでしょう。

そして、自分の女性性を上げたいと思う人にとって、「お母さんを許す」というのはとても大事なステップです。言わずもがな、誰にとっても、最初に遭遇した女性は「お母さん」ですし、乳幼児の頃は「お母さん」が主な養育者であることがいまだに多いですから、「お母さん」から「女性性」を、知らず知らずにですが、受け取っています。

ところが、私たちは成長するとともに、自立するために「親離れ」が必要になるので、一度は、親を否定します。これが反抗期と呼ばれるステージです。反抗期は、親から「離れる」ことが目的なのですが、その次のステージで、今度は、パートナーシップをもつために誰かと「近づく」ことになります。この時、親を許せていないと、パートナーシップを深めようとするときに苦労することが多いです。特に、「お母さん」を許せていないと、誰かと「親密感」を持つことに抵抗感が強くなります。

第1回は、「親密感への怖れ」という心の罠から、「お母さん」を許せない心にアプローチします。

ステキな人と出会っても、せっかくおつきあいが始まっても、最初のロマンスの時期こそ楽しいけれど、なぜだかいつも結婚するところまでいかずに別れてしまう。

腐れ縁なのかしら?つきあっては、別れて、別れるとやっぱりお互いがいいような気持ちになるからまたおつきあいをし、と付かず離れずの関係を何度も繰り返している。

新婚時代こそラブラブしていて、まわりからは羨ましがられたけれど、いつのまにか相手が何を考えているのかわからなくなってしまった。

お互いに「いいこと」は伝えあっているのに、仲が良いのに、セックスレス。

おつきあいして6年。お互いにパートナーは相手しかいないと思っているはずなのに、結婚の話にならない。

夫(妻)のことは、愛しているし、離婚する気持ちはないけれど、つい他の人に異性としての魅力を感じてしまい、浮気相手と切れない。

パートナーや家族との時間が大切なのはわかっているけれど、つい仕事や趣味の予定を入れてしまい、いつも「忙しいから」が言い訳になっている。

この中であてはまるようなことはありますか?

これらのケースに登場するカップルは、みんな、私たちが「親密感への怖れ」と呼んでいる、「これ以上、親密になる(好きになる)のが怖くてイヤだ」という隠れた感情に、知らず知らずのうちに絡め取られている可能性があります。

「親密感」と言えば、「いいこと」のように思いますよね?ことパートナーシップについていえば、「親密感」はむしろ「欲しい」もので、怖がるべきものではないはず。にもかかわらず、その「親密感」が手に入る一歩手前で、私たちは、ジタバタと、関係性を壊すようなことをしでかしてしまうようです。

悪いことが起きるのを怖がるのはまだわかりますが、ものすごくいいものを手に入れたり、とてつもなく幸せになって、嬉しくて嬉しくて嬉しくてしかたがないという気持ちになることを、それ以上に怖がるなんて、人のココロってつくづく不思議なものです。

いったいなぜ、私たちは「親密感」がそんなに怖いのでしょう?

私たちの人生で、一番「親密感」を感じたのは、お母さんのお腹の中にいた時ではないでしょうか。お母さんの身体で守られ、お母さんとへその緒でつながって、お母さんの食べたものから栄養をもらい、文字通り、お母さんと一つ身で生きていました。産まれてからも、しばらくは、お母さんにすべてを見られ、すべてを知られ、お母さんにすべてを委ね、愛されました。ですから、私たちの心の深いところで、「お母さん」は「親密感」の象徴なのです。

パートナーシップを持ち、誰かと親密になり始めると、心は自動的に、過去の記憶を検索し始めます。

「これまでにこんなに誰かと親密になったことがあっただろうか?、」
「それはどんな経験だったのだろう?」、
「その経験から、これから先にどんなことがあると思っていたらいいのだろうか?」、
「何に備えたらいいのだろう?」。

自覚こそありませんが、心は先手を打って、相手の態度にどう反応しようか自分の体験や知識を総動員し始めます。

と、ここまで書いたところで、勘のいい方は、「やばい!」と思われたかもしれませんね。「親密感」の象徴が「お母さん」だとしたら、この自動検索で上がってくる関係性についての情報や戦略、対策は、「お母さん」との関係性の中で体験されて学んだことが中心になります。

「お母さん」に対して、恨みつらみが多く、いっぱい葛藤を抱えていたとしたら、「お母さん」との間で起きたことがパートナーとの間でも起こるかもしれないと怖くなるので、パートナーに対して疑心暗鬼になるかもしれませんし、不安を打ち消してほしくてつい要求が多くなることもあるでしょう。それでもパートナーの愛を信じられなくて、パートナーに捨てられる前に、自分の方からパートナーを捨てたくなったり、捨てられても傷が浅くてすむようにと二股、三股をかけて備えたくなったりもします。

「私は、お母さんと仲良しだし、愛されてきたわ」と言う方でも、兄弟姉妹の中で「私の方が贔屓されていて申し訳ない」、「私はいつも叱られ役でいやだった」など、「愛されていたのは知っているけれど、もっとこういうふうに愛してほしかった」という不平不満のない人はいません。それくらい、私たちはみな、母親の愛を、心の底で貪欲に求めているものです。そして、その満たされなかった想いを、パートナーからもらいたいと願うようなのです。

素直に、愛を信じられれば、すんなり手に入る「親密感」を、「お母さん」と「離れた」ときの、悲しかった、寂しかった、腹立たしかった感情が、「またこういう気持ちになるかもよ」と危険信号を出すために、ちょっとしたことにも不安や不信感が掻き立てられて、疑っては自分から遠ざるようなことをしてしまうことはとても多いです。

私たちは、そんな一連の行動を、「親密感への怖れが招いた行動パターン」だ、と考えます。見慣れた「彼」や「彼女」よりも「魅力的だ」と感じる人が目の前に現れるのも、そんな普段は意識されない隠れた感情が、さらに「親密になる」ことから、気をそらすのが目的だったなんて、ちょっぴり陰謀小説っぽい解説ですよね。だからか、私たちは、これを心の「罠」の一つだ、と言います。

実際、そんな艶っぽい話の一つ、二つを乗り越えたベテランご夫婦たちは、振り返って
「そんなこともあったわねー」と、まるで過去生での出来事かのように軽やかです。ホンモノの「親密感」を持てて、「絆」を感じることができると、思い惑った頃の相手も自分も、慈しむ気持ちで見るゆとりが生まれるようです。

心の平和、優しさ、慈しみ深さ、安心感、豊かさ、といった人生における「いいもの」をたくさん受け取ることを可能にしてくれるのが、人との「親密感」。私たちカウンセラーは、「親密感はすべてを癒やす」なんて言います。誰かと絆がある、誰かがわかってくれている、誰かが応援してくれている、と思えることが、次の一歩を踏み出す勇気を持たせてくれるから、です。

「お母さん」を許すことは、自分が誰かとの間に「親密感」をもつことを許すことです。

あなたの人生に「親密感」を呼び込むとしたら、「お母さん」は、あなたの一番の応援者です。もし、あなたが「お母さん」を許し難くて、しんどい思いをしていらっしゃるのであればなおのこと、親密なパートナーシップを持ちたいから、「お母さん」を許せるくらい「大きな愛」が欲しい、と願ってみませんか?

完璧に許せるかどうかよりも、心が何をめざしているか、その「向き」「態度」の方が大事です。あなたが願いさえすれば、それは十分に手に入る可能性があります。

>>>『お母さんを許せない心の癒し方(2)〜優しいお母さんがよかった〜』へ続く

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