罪悪感の心理学5~誰かのせいにしてしまうのはなぜ?~

私達はついつい誰かのせいにしてしまいたくなるときがありますし、また、思いもかけない時に自分のせいにされたりします。そんな心理と対処法をレクチャーします。

私たちは何か都合の悪いことがあると誰かのせいにしたくなります。

そんなときは誰かのせいにしてその人を責めてる時だけ、自分を責めなくて済むのです。
だから、誰かのせいにしてしまうときは、それくらい自分を責めているのです。
つまり「俺が本当は悪いんだ」という罪悪感をいっぱい溜め込んでいて自分を罰し続けているんですね。

だから、もしあなたが何かの出来事を誰かのせいにしたくなったときは、それくらい自分が罪悪感を抱えて苦しんでいることに着目してみましょう。

「後悔」もそういう意味では似ています。
後悔というのは、過去の自分を責めている姿です。

また、こうした誰かのせいにしたい心理(罪悪感)というのは連鎖しやすいですね。
例えば誰かがあなたのせいにして「あなたが悪いのよ」って言ったとします。
そうすると、あなたは怒りの余り「いや、あなたの方が悪いよ」って仕返したり、「いや、それは根本が悪いって」って別のだれかのせいにしたくなったりもするんですね。

だから、この連鎖を断ち切ることもいい人間関係を築く秘訣の一つになります。

●大切な人のせいにしたくなる

誰かのせいにするとは言っても、私達は誰のせいにするんでしょう?
実は自分にとって大切な人をターゲットにすることがとても多いんですね。
本当は傷つけたくない人のせいにしてしまうんです(そして、その大切な相手を傷つけてしまうことが多いのです)。

「あいつが悪い」と言い続ける方のお話を聞いていると、“どれくらい相手が悪いか?”を力説されるんですけど、その語気が強まれば強まるほど、逆に本当はその人の事が好きなんじゃないか?大切に思ってるんじゃないか?って感じられることが良くあります。
また、それ以上に「そんなに自分を責めなくてもいいのに」と感じることも多いのです。

例えば、一生懸命ご主人を責めている奥さんのお話を聞いていて、とても痛々しく感じることがあります。
口ではご主人のことを本当に極悪人のように言うんだけど、その表情や内面は自分自身を悪魔のように扱ってるように見えたりするんです。

私達は大切な人には自分を分かってもらいたい、受け入れてもらいたいという欲求を抱きます。
だから、自分が苦しい時もそんな身近な人に自分の気持ちを分かってもらいたい欲しいと思うんですね。
この「わかって欲しい」という気持ちの表れとして、相手への攻撃というスタイルが意外にも良く使われるのです。
お世辞にもうまいやり方とは言えませんが、隠れた依存心や激しい自己嫌悪が時にこうした心理を生み出すようです。
だから、誰かのせいにするときというのは、本当に酷く自分を扱い、攻撃している時なんですよね。

でも、自分のせいにされて嬉しい人はいませんから、結果的には大切な人から順に失っていくことになってしまうのですが・・・。

●誰かのせいにしたいときの対処法

だから、あなたがもし誰かを責めたくなったり、誰かのせいにしたくなったとしたら、それくらい苦しんでいる自分に気付くときなのかもしれません。
今のあなたは自分一人では持ちきれないくらいしんどいのではないでしょうか?

甘えたいのかもしれないし、どうにもならないことでもがき続けているのかもしれないし、現実を受け入れられないのかも知れません。
行き場の無い感情で自分が本当にいっぱいいっぱいになっていることに、ただ目を向けてみるだけでいいのです。

そして、できれば誰かにそれを聞いてもらいましょう。
カウンセリングというのはそういう時にはとても効果を発揮します。
匿名でも構いませんし、相手を信頼できるかどうか分からなくてもいいです。
ただ、思いのたけを吐き出す場を作ってみてください。

あなたが大切な人を失わなくて済むために、そうした「助けを求める」ことが求められていると思ってください。

そして、自分自身を許し、罪悪感を手放すためのきっかけにしてみましょう。

●自分のせいにされたときの対処法

逆に自分のせいにされてしまう場合、どうしたらいいのでしょう?
「本当は自分が悪いと思ってるくせに」なんてやると、さらに事態は悪化しますし、逆に別の誰かに責任をおっ被せようとすると他人も巻き込んで一大騒動に発展することもあります。

先ほどの「本当は大切にしたい人のせいにする」という話を思い出してみましょう。

つまり、とても信じられないかも知れないけれど、相手の人はあなたに対して信頼や甘えたい気持ちを抱いていることが多いんです。

それは隠れたところにある依存心が見せるもの。
それを素直に正直にあなたに言ってくれたら分かりやすいんですよね。
でも、恥ずかしさやプライド、はたまた「誰かに頼ったことがない」などの理由から、うまく表現できないわけです。

もちろん、こちら側としては感情的には全然面白くありませんし、むかつくし、悔しい思いをするでしょう。
でも、そこは自分の器を広げるチャンスだと思ってください。
そして、悪循環の連鎖を断ち切るチャンスでもあります。

もしあなたに小さなお子さんがいてジュースをこぼしちゃったとします。
「お母さん(お父さん)が悪い~」
って子どもが言ったら、あなたはそれを真に受けて「お母さんが悪いんじゃないわよ!あんたが悪いんじゃないの!」って言いますか?

もちろん、そういう時もあろうかと思いますが、多くの場合は「はいはい、ごめんなさいね」って受け入れてあげようとすると思います。

もちろん、子どもの場合と他人の場合では違いますし、この話が全てにおいて活用できるとは思いませんが、人間関係においてあなたの器を広げるために、大きな心で受け入れるチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

「あなたが悪いんじゃないよ」という目で相手を見つめられたら、なお、素晴らしいでしょう。
「そんなに自分を責めなくてもいいよ」という許しを与えられたら、さらにあなた自身がバージョンアップできるでしょう。

勇気の要る「大人な選択」かもしれませんが、あなた自身を高めるアプローチになりますから、余裕があるときは是非チャレンジしてみてください。

○補足(応用編)

実はこれは“嫉妬されたとき”の対処方法に似ています。
嫉妬されるときもやはり冷静に対処するのが難しく、否定的に捉えたり、相手を嫌悪したり、様々なネガティブな感情が心をめぐります。
そこでは“嫉妬”の本質に目を向けてみる必要があります。
嫉妬心は価値を見ている相手に対してのみ起こる感情です。
例えば、もし、あなたが根本君から嫉妬されたとしたら、根本君はあなたの価値を見てるんですね。
でも、競争や無価値感があって素直にあなたに価値を見出せないときに根本君はあなたを攻撃するんです。
だから、広い心を持って「なんだ、自分はとても愛されているんだ。価値を見てもらってるんだ」と受け取ることができれば、まるで違った態度を取ることができるようになります。

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