「今日は幼稚園、行きたくないな」という声。
寄り添ってあげたいと思いながら、時計を見るともう出かける時間。
「ゆっくり聞いてあげたいけれど、このままだと遅刻しちゃう…」そんなふうに心が焦ってしまう朝って、ありませんか?
幼い子どもの「行きたくない」は、必ずしも「園がイヤ」という気持ちだけではなく、ちょっとした不安や疲れが重なって、言葉になって出てくることがあります。
本当は、気持ちを全部受け止めてあげたい。けれど、忙しい朝にできることには限りがある。だからこそ、その一瞬にどう寄り添うかは、完璧でなくていいのだと思います。
今日は、そんな「幼児の行きしぶりの朝」に、私たち親ができることを一緒に見つめていけたらと思います。
小さな勇気をためているとき
新しい環境や人との出会いは、大人でも緊張します。小さな子どもにとって、園に行くことは、心のエネルギーが追いつかない日もきっとあるのでしょう。
私の娘も、まさにそんな時期がありました。「幼稚園、行きたくないな…」と泣いた朝を、今でもよく覚えています。
小さな背中に感じる緊張感、靴を履くまでの沈黙。それは「頑張りたいけど、まだ怖い」という気持ちを、静かに物語っているようでした。
今思えば、あのときの娘は「行きたくない」と言っていたのではなく、「もう少し、安心できる場所にいたい」と伝えていたのかもしれません。
まずは、気持ちを受けとめてみよう
そんなとき、無理に理由を聞き出さなくてもいいのかもしれません。まずは子どもの言葉を、そのまま受けとめてあげるだけで十分なのです。
「そっか、行きたくない気持ちなんだね」
「ママもね、新しい場所に行くときは、ちょっとドキドキするよ」
たったそれだけでも、「分かってもらえた」という安心が、子どもの心を少しゆるめてくれることがあります。
心が落ち着いてきたら、こんなふうに提案してみてもいいかもしれません。
「今日は、門のところまで一緒に行ってみようか」
「先生のところまで行けたら、今日はそれでOKにしようね」
“全部”でなくていい。
“少しだけ”でいい。
その一歩が、子どもの中に「自分でできた」という感覚を残してくれることがあります。
焦りや不安の気持ちも、愛のカタチ
それでも、親の心は揺れ動きますよね。
「ちゃんと行かせなきゃ」
「他の子はできているのに」
そんな思いが浮かぶたび、寄り添えない自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
でも、その焦りや不安は、「この子を守りたい」「ちゃんと育てたい」という、強い愛情から生まれるもの。焦りもまた、親の愛の裏側にある感情なのだと思います。
私自身も、そんな心の揺れを繰り返す中で、「まずは、焦っている自分に気づいてあげよう」と思うようになりました。なぜなら、親の気持ちは、思っている以上に子どもに伝わっているものだから。
ママの心に、ひと息の余裕を
「今、私は焦っているな…」そう自分の気持ちを受けとめられるようになると、不思議と少しずつ変化が起きました。
「今日は娘と、ゆったり過ごしてみようかな」そんな心の余裕がふと生まれ、その空気を感じ取った子どもの心も、自然と落ち着いていったのです。
お母さんと子どもの気持ちは、深いところでつながっています。だからこそ、自分の感じている気持ちを否定せずに、そっと認めてみてあげてくださいね。
そして、そんなときは、深呼吸をして、心の中でこんなふうに自分自身に声をかけてあげてみてください。
「大丈夫。私、本当によく頑張ってる」
「子どもが大切だからこそ、悩むんだよね」
親が安心を取り戻すと、子どもはその変化を敏感に感じ取ります。落ち着いた表情や、やわらかな空気感そのものが、「大丈夫だよ」という、何よりもやさしいメッセージになるのです。
「行きたくない」の奥にあるサイン 〜すべては成長の途中〜
心の世界には、「安全基地」という考え方があります。
それは、安心して外の世界へ踏み出すための、心の拠点のようなものです。親や家庭が子どもにとっての心の安全基地であると感じられるとき、子どもは自分のペースで、少しずつ外の世界へ向かっていけるようになります。
だから「行きたくない」という言葉は、「もう少し、ここで安心していたい」という、子どもからのサインなのかもしれません。
行けなかった日も、泣いてしまった朝も、それは決して「ダメな日」ではなく、その子なりに向き合った「頑張った日」。すべてが、その子にとっての大切な学びの時間なのだと思うのです。
人は行ったり戻ったりを繰り返しながら、少しずつ成長していきます。子どもも、そして親も、そんな揺れの中できっと静かに強くなっていくのでしょう。
あなたとお子さんのペースで、「行きたくない」と感じる朝のひとつひとつの葛藤が、いつか、あたたかな思い出へと変わる日がきますように。
みなさんの笑顔をそして子育てを心から応援しています。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
来週金曜日は、池尾千里カウンセラーがお送りします。
どうぞお楽しみに。