時が経って気づく、あの人の優しさ

新しい年が始まり、心のどこかで“あの人、元気にしているかな”と、ふと昔の誰かを思い出す瞬間ってありませんか。

私には、この時期になると浮かんでくる顔があります。
当時通っていた近所のスポーツジムにいた、ひとまわり、ふたまわり上の女性、みゆきさん。
会うと必ず「まきちゃん、元気?」と、ちゃきちゃきとした様子で声をかけてくれて、最近はどうなのよ、と近況を聞いてくれました。
あの頃のわたしは、誰かのささやかな気づかいや、何気ない、「あなたを気にかけているよ」という愛を受け取ることが上手ではありませんでした。
けれど今になってみると、みゆきさんが差し出してくれた優しさのひとつひとつが、ようやく心に届くようになった気がするのです。

引越しが決まったと伝えたとき、みゆきさんは言いました。
「年賀状くらいは送るわね」
当時のわたしは、年末でもないのになんで年賀状なのだろうと思いながらも、話を流してしまっていました。
翌年のお正月に届いた年賀状には、犬と踊る“ドッグダンス”に挑戦したこと、バレエがなかなか上達しないのでレッスンを週3回に増やしたことなどが、綴られていました。
私の愛犬がヘルニアになった話をしたときは、お灸を分けてくれたこともありました。
鍼灸師だった彼女らしい、さりげない気づかい。
あの時のわたしは、その“気にかけてくれる感覚”を受け取れる器がなかったのだと思います。

年賀状は2回、届いた記憶があります。
でも、それきり届かなくなりました。
お返しをしていなかったからなのか、私がさらに引越しをしたからなのか、今となってはもう、わかりません。
けれど、あれから15年。
何度か引越しを繰り返しても、なぜかこの時期になると、彼女のことを思い出します。
みゆきさんは、きっとこういう気持ちを何度も経験してきた人なのかもしれません。
だからあの時、「年賀状くらいは送るわね」と、自然と言えたのではないかと、今は思います。

昔の知人が元気でいるか気になること。
少し距離のある人でも、自分と関わってくれた人の存在が、ふと胸の奥に浮かんでくること。
あの頃のわたしにはわからなかった、“人とのつながりのあたたかさ”が、今のわたしにはようやく受けとれるようになった。
そんなことを感じながら、今年もまた、みゆきさんの事を思い出しています。
元気にしているかな。
バレエ、まだ続けているかな。
ドッグダンス、一度見に行きたかったな。
そんな思いに心を馳せていると、新しい一年が少しあたたかく始まる気がします。

みなさんにも、ふと胸に浮かぶ人はいますか。
今は連絡を取っていなくても、自分と関わってくれた人、気にかけてくれた人がいると感じられると、心はふっと温かくなります。
そのぬくもりが、みなさんの1年をそっと支えてくれますように。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

誰と付き合ってもうまくいかない―不毛な恋愛を繰り返し離婚も経験した元・依存女子。心理学を学び自立した経験から、こじらせ恋愛体質の卒業/依存からの脱却/超自立男性との向き合い方など幅広い悩みに寄り添う。現在は超自立男性と50代で再婚、自分らしくしなやかなパートナーシップを築いている