結果に差がつく、応援のコツ!

「お母さんの応援、うるさい!」

子を思うが故に、応援につい熱が入る。手に力が入り、声も大きくなる——それは本当に素晴らしいこと。
ただ、同じ応援でも、何を伝えるか・どう伝えるかで、“結果”も“親子の関係性”も変わっていきます。

私自身も、息子たちの“応援団長”として、どこにだって足を運んで応援してきましたが、実は、この“声かけ”に失敗したことがありました。
ここに書く体験がどなたかのヒントになればうれしいです。

うちの息子たちはソフトテニス部でした。私は練習の見学や大会で、息子たちの成長を見るのが何よりの楽しみでした。少しでも結果につながるように、食事や体調のサポートも無我夢中でやっていました。
そりゃあ、気持ちも乗りに乗っちゃいますよね。コートサイドではつい声が出ます。
「足、動いてないよー!」
「もっと声出していこー!」
一生懸命、応援していました。息子の追い風になりたかったんです、本当は。

でも、中学になったある日の試合後、息子が困った顔をしてこう言ったんです。

「お母さんの応援、うるさい!」

その瞬間、頭が真っ白になりました。この子は、声がうるさいと言っているのではないのがわかりました。“応援という形”で否定的なことを言葉にしたり、煽るような言葉が嫌だったんだと思います。

——私の応援が、応援になっていない。

ここで一度、応援スタイルを見直す必要があると、心底感じた出来事でした。

 

「上手に読めました」の記憶—安心が“力”に変わる

思い出したのは、小学一年の国語の時間、教科書の「たぬきの糸車」の音読。
先生に指された私は、手は震え、声はかすれ、漢字は自信がないからゴニョゴニョと、ごまかしながら読んだのです。

読み終えた瞬間、恥ずかしくて消えてしまいたい気持ちで着席した私に、先生は一言こう言ったのです。
「上手に読めました」と。

もう衝撃でした!びっくりして先生の顔を見ると、ニコニコと優しい表情。
お世辞にも上手だったとは言えなかった。注意されることはあっても、褒められるだなんて!
でも、その先生は、終始そんな感じの関わり方をしてくれたのです。

体育の時間だって、私がどんなに足が遅くても、ゴールをすると、「最後までよくがんばりました」って、拍手で迎えてくれるのです。

私は、「もっと上手に読めるようになりたい!」と予習をするようになりました。挙手も増え、学校が少しずつ楽しくなっていきました。

あれから40年以上の時を経た今でも、記憶に残っている。
そのくらい、あの当時の私は、先生の言葉にたくさんの勇気をもらったと思います。

もし、あの頃の自信がない私に、
「もっと大きな声で読もうね」
「家で練習してこようね」
と先生が声をかけていたら——ごもっともで正しい助言なんですけど、私は、ますます自信を失っていたと思います。

この経験が、私の新しい“応援スタイル”のヒントになりました。
追い込まれて心が折れそうな、ここ一番のときに効くのは、正しい注意よりも、安心と自信を足す一言だと気づいたのです。

「私は、“背中を押す応援”を知っている!今こそ、それを使うときだ」——そう思いました。

 

背中を押す応援へ

それから私は、息子たちへの声かけを変えました。
「足、動いてないよ」ではなく「よく動いているよ。その感じ!」。
「声出して」ではなく「よく声出てるよ。いいよ!」。
すると不思議なことに、動きも声出しも良くなるんですよね。

言葉は、追い風にも向かい風にもなる。
正しさが、そのまま応援になるとは限らない。
あらためて、そう学んだ気がしました。
そして、言い方を変えていくと、私の内側の声も少しずつやさしくなっていきました。

前は、心の中でこんなふうに言っていました。
「本当に、片づけが苦手だよね」
「もっと、いいお母さんにならなきゃ」
「もっと、手際よく作れるようになんなきゃ」

それがいつの間にか、こうなっていきました。
「今日はここを片づけただけで十分!」
「手際も大事だけど、愛情たっぷり入ってる〜♪」
「愛してることは、きっと伝わってる!」

ちょっとした言葉の積み重ねが、結果にも、関係性にも、自己認識にも、変化をもたらしたのです。

 

ここまで読んでくれたあなたへ——自分にも追い風を

ここまで読んでくれたあなたに、やっていただきたいことがあります。
きっと、このコラムも、お子さんのために読んでくれたのだと思うのです。
ぜひ、そういう自分自身にこんなエールを送ってあげてくださいね。

「ここまで読んだ私、よくやってる!えらいよ!」
「そんな私は、もう十分優しいお母さん(お父さん)だよ!」
「子どものために、いつもありがとう!すごいよ!」

私からも送らせてくださいね!

「あなたは、すでに優しいお母さんです」
「どうか自信を持ってくださいね!」

私の経験が少しでもお役に立てたら幸いです。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

来週は、池尾千里カウンセラーです!どうぞお楽しみに♪

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

孤独感の中で生き続け、離婚や再婚、うつを乗り越えた経験から、パートナーシップや自分自身の問題を多く扱う。圧倒的な受容力と繊細な感性を活かし、言葉に出来ない感覚や感情にフォーカスすることが得意。問題に隠れた愛や魅力を見つけ、クライアントが安心して自己実現できるようサポートをしている。