他人の評価に振り回されない〜承認欲求とのつきあい方〜

「嫌われるのが怖い」を卒業。承認欲求に振り回されない自分へ

「他人の評価が気になる」「承認欲求が強い」と悩んでいませんか?
この記事では、心理カウンセラーが承認欲求の原因である自己肯定感の低さや無価値感を解説。
他人軸から自分軸へシフトし、自己承認を高める具体的な方法(褒める、感情の受容など)で、振り回されない自分になるヒントを伝えます。

「人にどう思われるかが気になって、自分の意見が言えない」「誰かの期待に応えなきゃと疲れてしまう」「SNSの反応に一喜一憂する」といったことはありませんか?

その背景には「承認欲求」が関係しているかもしれません。承認欲求は誰の心にもある自然なものです。でも、承認欲求が強くなりすぎると、他人の評価を気にしすぎて、自分らしさを見失ってしまうことがあるようです。

●承認欲求とは

「がんばったことをわかってほしい」「認めてもらいたい」「必要とされたい」「価値ある存在だと感じたい」と望む気持ちを承認欲求と言います。承認欲求があるのは、心の健全な機能です。私たちは人との関係で受け入れられたり、認められたりすることで、「ここにいても安全」という安心感を感じるのです。

しかし、過度な承認欲求は、「認めてくれない」「評価されない」と不満を生み出し、人間関係をこじらせかねません。例えば、同僚ばかり評価する上司に批判的に接するきっかけになったり。恋人・夫婦の関係で、「わかってもらえない」「愛されていない」と感じやすかったり。

「認められたい」と望むのは自然なことですが、なぜ過度に求めてしまうのでしょうか?それには理由があるはずです。

●過度な承認欲求の背景〜自己肯定感の低さ〜

「ありのままの自分でいい」と自分を受け入れられている状態が自己肯定感が持てている状態です。この自己肯定感が不十分だと自信が持てず、自分自身で自分を認めることがしにくくなります。自分では認められないので、人から「すごいね」「あなたが必要だ」などの肯定的な言葉や評価が得られないと不安になってしまったりします。

自己肯定感があると、「私はがんばった」「私はよくやっている」「自分を誇りに思う」と自己承認ができるでしょう。自己承認ができていると、承認欲求が満たされるので、他人からの評価を気にしないでいられます。

●過度な承認欲求の背景〜無価値感が強い〜

「私には価値がない」「役に立たないと受け入れられない」「何かしないと愛されない」といった無価値感が強い場合も、承認欲求が強くなる場合があります。

自分で自分を認めることができないので、代わりに誰かに認めてもらおうとします。無価値感が強くて人から評価を得られないと、「私のがんばりが足りない」と思いやすく、無理してがんばり続けたり、休めなくなったりしがちで、燃え尽きてしまう人もいます。無価値感は恋愛では、尽くしすぎたり、自分を大切にしない相手との関係を引きずったりする原因になったりもします。

●「自分軸」と「他人軸」

承認欲求に振り回されて苦しくなるとき、自分の価値を認める基準が他人任せの「他人軸」になっている場合が多くあります。「人からどう思われるか」「人の期待に応えなきゃ」「みんなと同じにならなきゃ」と、人の顔色をうかがい、人の基準に合わせようとするため、自分自身の気持ちを押さえ込んでがまんしがちです。

心理的には、「私はダメだ」と思っているから、「こんなダメな私を、人もダメだと思うだろう」と思いやすくなり、「嫌われるのが怖い」「本音が言えない」と考えてしまうこともあります。「私はダメだ」「私が間違っている」と自分を否定して、他人の価値観を優先しようとするのは苦しいでしょう。

「私は何を大切にしたいのか」「私は何を望んでいるのか」「私は何を感じているのか」、自分の価値基準で物事を判断していく自分軸の生き方を選択すると、心に軽やかさが取り戻せるでしょう。

●「他者承認」から「自己承認」へ

承認欲求があるのは自然なことです。大切なのは、承認するのが「誰なのか」です。「人に認められたい」と願う他者承認が強いと、人が認めてくれないと気持ちが満たされません。一方、自分で自分を認める自己承認で心を満たすことができると、他人がどう思うかに振り回されることはありません。

●自己承認するために

自己承認に取り組む3つの方法を紹介します。

一つ目は、自分が感じることを、そのまま認めることです。たとえネガティブな気持ちでも、「今そう感じている」と認めていきましょう。感情は存在を認めると落ち着きやすくなります。

二つ目は、自分をほめることです。1日に3つくらい、小さなできたことを探してみましょう。「ゴミ出しできた」「予定通り起きられた」など、小さな「できた」をちゃんと認めてあげてくださいね。

三つ目は、自分にはどうにもならないことを認めることです。例えば、私が彼をどんなに好きでも、彼が私をどう思うかは彼が決めることです。自分が何とかできるのは、自分のことだけです。他人の感情や評価はコントロールできません。できることとできないことに境界線を引くと、相手の反応に振り回されにくくなるでしょう。

取り組みやすそうな方法から試してみてくださいね。自分が自分を認めることは、自分らしく生きる第一歩になるでしょう。

(完)

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己嫌悪セラピスト。心理学ワークショップ講師(東京・仙台) 「自分が嫌い」「自分はダメ」「私は愛されない」などの自己否定、ネガティブな感情・思考をリニューアルし、自信や才能・希望へと変換していく職人。生きづらい人の心が楽になる気づきや癒しを提供。テレビ・Web記事の取材にも多数協力。