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Lecture.616

問題を乗り越えるたびに自由になる〜「思い込み」を手放す〜

講師:みずがきひろみ
私たちは、みんなたくさんの信念や観念、思い込みを抱えています。それがその人らしさを作る面もありますが、時としてそうした「思い込み」で自分の言動や守備範囲を制限してしまい、人生を生きにくいものにしていることがあります。「問題」は、このような時代遅れの観念を手放すときがきたことを知らせてくれていると見ることもできます。慣れ親しんだ自分の「思い込み」にはなかなか気づきにくいものですが、不愉快な感じや嫌悪感がそのヒントになることは多いです。イヤだから避けて通るというだけではなく、その背景に自分がどんな「思い込み」を抱えているのか、それは時代遅れになっていないかを見極めることができれば、「問題」も、心が束縛から解放されてまたひとつ「自由」を手に入れるチャンスに変えることができます。
Keywords
観念、手放し、シャドウ、自由、適応

◎リクエストを頂きました◎
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よく問題のあるところには誤った「思い込み」があると言いますが、そうした自分への制限や自分に限界を設けるような観念、思い込みはどうやって作られるのでしょうか。自分に制限をもうけてしまった背景、観念や思い込みで自分を縛るようになったのは何故でしょう。また、そうした自分を縛る考え方に自分で気づき、それから抜け出すことはできるのでしょうか。
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リクエストをありがとうございます。

カウンセリングをしていると、往々にしてご本人もしくは周囲の環境についての誤った「思い込み」が問題を作っていることに気づかされます。「自分には才能がない(価値がない)からムリ」だとか、「誰も助けてくれない」など、自分に限界をもうけ、他の人から自分を孤立させるような制限や思い込みによって、状況が余計に苦しいものになっていることがあります。思い通りにいかない苦しい経験をどう受け止めたら、より自由に生きるための成長の糧とすることができるか考えてみます。

● 時代遅れの「信念」や「観念」が「問題」を作る

例えば、Aさん(男性)には「男は泣いてはいけない」という思い込みがあるとします。生まれて間もない赤ちゃんの時から、彼はそう思っていたのでしょうか。おそらくそうではないでしょう。成長するに従い、転んだ時、欲しいおもちゃが手に入らなかったとき、お母さんがそばにいなくて不安になったとき、その寂しい、不安な気持ちを「ビー」って泣いて表現しようとしては、「男の子は簡単に泣くものじゃない」と叱られた経験が続いたのではないでしょうか。痛い注射も泣かずにおとなしく我慢したら、「さすがに男の子だねぇ」と褒めてもらえたかもしれませんね。あるいは、Aさんが泣くたびにお母さんがとても心配したので、彼はお母さんを困らせないためにも「泣いてはいけない」と思い込んだのかもしれません。

成長の過程でまわりの人たちから刷り込まれたり、その環境の中で「うまくいった」と感じた成功原則が「思い込み」になりやすいようです。そして「こうしたらダメだ」「こうしたらうまくいく」「親がそう言っていた」という大小さまざまな経験則が膨大な思い込みの山を作っていきます。

ところが、子供の頃は「泣かない」ことで褒められた男の子も、大人になり、結婚して、妻の前でも弱音一つ吐かずに何があっても頑張ってポジティブ路線を貫いていたら、「あなたが何を考えているのかわからない」「寂しい」「あなたに感情はあるの?冷たいじゃない」なんて、褒められるどころかケチョンケチョンに言われてしまうこともあります。

成長のある時点での成功原則が、違うステージでの成功原則になるとは限りません。「男は泣いてはいけない」という思い込んだ時点では、それが正しかったかもしれないけれど、人生の別の局面ではその「思い込み」が逆に「問題」を作るということは、案外よくあることのようです。

● 「うまくいかない」ことを大切にできるだろうか

でも、いったん思い込んだら、自分が時代や場所に合わない思い込みがあるとは、なかなか気づきにくいものです。自分の「信念」が社会に受け容れられにくいことをわかりながら、それをどう理解してもらうかあのテこのテで働きかけるという道を自覚的に選ぶのなら、それはそれで素晴らしい生き方だと思います。でも、もし、何故だかわからないけれど何度やっても「うまくいかない」という壁に突き当たっているとしたら、そのやり方の背景にある、自分でも意識していないようなあなたの「思い込み」が、時代遅れになっているのかもしれません。「問題」の存在が、「そろそろその思い込みは手放す時期にきている」ことを教えてくれている、とも考えられます。

「うまくいかない」ことが次の成長課題を教えてくれているのですね。

●「イヤなこと」「イヤな人」は「自由」への扉かもしれない

そう考えると、「イヤなこと」や「イヤな人」というのは、どこで私たちが無自覚な「思い込み」に縛られているかを教えてくれる存在なのかもしれません。ちょうど「痛み」が身体の不具合を教えてくれるように、不快感は私たちに自分の心が「今」「ここ」の時点で許容できることの限界を知らせてくれます。その不快感を作る「思い込み」を一度ゆっくりと見つめ直し、それは今でも大事にすべき「信念」なのか、それとも「今」のあなたにとってはすでに時代遅れで窮屈な「制約」の一つになっているのかを見極めることが大事なのではないでしょうか。時代遅れの「思い込み」を手放せたらなら、心は束縛から解き放たれて、また新たな地平線に向かって前向きに生きることができそうです。

(完)

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